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【講演】 リハビリと社会福祉
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杉山 美穂 杉山 美穂  中国労災病院 ソーシャルワーカー

 障害を受けた手足を訓練で元に戻すことはなかなか難しい場合が多い。 障害はあっても元の生活を少しでも取り戻していくことが重要なこととリハビリでは考えている。 患者さんの中には退院が近づいても家に帰ると、@寝たきりになってしまうのではないか。 A具合が悪くなったらどうしようか。Bトイレや入浴をどうしようか。 C介護の手が少なくいつまでやれるか自信がない。D施設には入れたくないし入りたくない。 などの不安が先に立ってなかなか生活に目が向かないことがある。 確かに病院にいれば施設は整っているし、看護婦さんもいる。 でも私達は実際の生活をしていくことがリハビリにつながるという考え方から、 在宅の生活の大切さをお話ししている。
 しかし、家に帰るためには動きにくい環境を、動きやすい環境に変える必要と、 それを出来る限りお金をかけないで済む方法を考える必要がある。日本の家屋は敷居が多いが、 三角の板を置いてその段差を少なくするだけで、動きやすくなり自立できることもある。 玄関の段差も補助台を置くだけで上がり降りが楽になる。 和式トイレはかぶせるだけで洋式に変わる便座を付けたり、 掴まり歩きができるように家中に手すりを付ける。 これだけの工夫でも一人で外出できるようになる場合がある。 風呂にも手すり、スノコ洗い場をつけるだけで楽に安全に入浴できる。 ベッドを使用すると起き上がり、立ち上がりも楽にできるし、介助も楽になる。 また家の構造によっては実際に自宅まで行って、やり方を工夫したり、介助の指導を行ったりしている。
 とはいえ、いずれにしてもお金の掛かることである。 福祉サービスとして概ね65歳以上を対象に市から支援を受けることもできる。 市の福祉事務所、あるいは各支所へ相談されるとよい。また保健所でも相談に乗ってくれる。 入浴サービスとしてデイサービスや、介護者の支援として利用できる短期入所サービス(ショートステイ)などもある。 大切なことは、まず自宅生活がその人の身体能力に応じてできるよう、工夫して可能にしていくこと。 その上で地域の介護支援センター、機能訓練教室、 各種施設などを活用しながら生活範囲を拡大してゆくことが自立へつながる在宅での大切なリハビリと考えている。
講演当時の役職です)

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