トップページへ
【講演】 心臓疾患と脳卒中
トップページ第2回講演会>【講演】心臓疾患と脳卒中

榎野 新 榎野 新  中国労災病院 循環器内科医師

 脳卒中の中には脳出血と脳梗塞があり、脳梗塞の中には脳塞栓症と脳血栓症があります。
 脳塞栓症とは、脳以外の部位(左心房、左心耳など)から流入した血栓などにより脳動脈がつまり 脳梗塞をきたしたものをいい、心疾患が原因で心臓の中にできた血栓によるものが多いのが特徴です。
 心臓の中にできた血栓は経食道エコー法により診断されます。 この検査は胃カメラのように経口的に深触子を挿入し、食道から心臓を観察する方法で、 血栓のできやすい左心房、左心耳を観察するのに有用です。
 脳卒中の約15%は脳塞栓症であると言われ、重症になるものが多いため、 発症を予防することが重要です。
 脳塞栓症の原因(基礎疾患)として、心房細動・心臓弁膜症・心筋梗塞症後・拡張型心筋症・ 人工弁につく血栓・心臓の腫瘍(粘液腫)などがあります。 特にこの様な基礎疾患に心房細動などの脈の乱れが合併すると、心臓の中で血液が澱み、 血栓ができやすくなります。従って脳塞栓症になる危険率も高く、発症予防のための管理が必要になります。
 脳塞栓症の予防的治療として、基礎疾患の治療・心房細動の治療と共に、 血液を固まりにくくする薬(ワルファリン)による抗凝固療法を行います。 この薬は毎回血液検査を行い投与する量を調節するなど煩わしい面もありますが、 厳密に治療していけば脳塞栓症の予防効果は十分あります。
講演当時の役職です)

質疑応答
質問
回答
会場会場
 検診で脳塞栓症にかかりやすいかどうかわかりますか?
榎野先生榎野先生
 心電図で心房細動があれば心エコー検査などを実施し、基礎疾患・年齢などから 脳塞栓症のかかりやすさがわかります。
会場会場
 心電図はどれくらいの頻度で検査してもらったらいいのでしょうか?
榎野先生榎野先生
 現在不整脈のある人は定期的に病院を受診し、個々の病状に合わせて管理の方法を決定します。 不整脈のない人でも何らかの自覚症状があれば虚血性心疾患などの可能性もありますので、 病院を受診して欲しいと思います。  それ以外の人も健診として年に1〜2回心電図を取ることをお勧めします。
島先生島先生
 最近心房細動が増加しているのは…?
榎野先生榎野先生
 最近リウマチ性弁膜症によるものは減少していますが、 高齢化に伴い虚血性心疾患や高血圧が原因で起こる心房細動が増加しています。


Copyright(c) 2005 Stroke Forum All Rights reserved