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【講演】 地域医療と介護保険制度
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中崎哲郎 中崎 哲郎  呉市医師会 理事

 地域医療は大きく分けて外来医療と入院医療とに分かれます。 しかし今求められているのは第三の医療といわれる在宅医療であります。 在宅医療はシステム医療といわれ多くの人が関わっています。 在宅医療に携わる人は人的資源といわれ、医師,歯科医師,保健婦,看護婦,社会福祉士,介護福祉士、 ホームヘルパー、社会福祉協議会、民生委員、ボランティア、 在宅専門委員がチーム医療を行います。
 脳卒中の方が退院してどのようにして行政との連絡をとるのか?  在宅福祉サービス利用対象者調査表に記載され、医療機関から呉市在宅ケア情報を提出して 呉市へ伝わり、老健施設入所の方が在宅情報を提出されると呉市へ伝わります。 脳卒中の方が退院するとき医療機関から呉市へ伝わる脳卒中情報システムというのがあり、 退院したらどうなるかという心配はいらないようになっています。 在宅ではリハビリテーションが必要で、これまで障害者の機能回復がメインでしたが、 現在では階段に手すりをつけたり、玄関にスロープをつけるなど物的整備を計る事が 必要になってきました。在宅リハのプログラムとして、機能訓練、日常動作の指導、 生活環境の整備、介助方法の学習などがあります。
 日本は世界に類を見ない急速な高齢化が進展しています。 2000年には介護を必要とする高齢者が280万人、25年後には約520万人に増加します。 高齢者が増え、要介護人が増えます。介護する側も60歳以上の人が50%以上で、 お年寄りがお年寄りを介護している状態が進んでいます。65歳以上で亡くなった方では 平均8.5ヶ月寝たきり状態でその介護の90%を親族が看ており、今では介護地獄とも言われています。
 介護保険制度は新しい社会保障で、介護の責任を家族から社会で看ようというものです。 介護保険の保険者は市町村が行います。第1号被保険者65歳以上、第2号被保険者40〜64歳の人で、 40歳以上の人は皆被保険者です。現在のところ2500円の負担を予定しています。 65歳以上の要介護状態、要支援状態になった人が保険給付の対象になります。 40〜64歳の場合は特殊な場合のみで、40歳未満は受けることができません。 給付の種類は現物給付で介護型ヘルパーと家事型ヘルパーがあります。 それと予防給付として紙オムツ、マット、ベッドの給付、市町村特別給付が受けられます。
 介護保険はどのようにして受けられるのか? 市町村の福祉の窓口に要介護認定の申請をします。 すると市町村の職員または市町村の委託を受けた介護支援専門員の調査員が訪問調査を行い、 かかりつけ医の意見書とあわせて介護認定審査にあげられます。 要介護認定は要支援状態から介護度1〜5までランクづけされ、 介護度に応じてサービスを受けられます。サービスを受けた人はそのサービスに応じて 負担(応益負担)があります。現在、1割負担となっています。
 介護保険は保険事故として扱い、掛け捨てです。40歳以上の方は全員公平に負担し、 給付については介護認定審査会で公平に審査します。 また、高齢者の自立支援を応援していくものです。介護保険はサービスを受ける施設が自分で選べ、 自己選択性=自己責任としての介護保険のシステムとなっています。
講演当時の役職です)

質 疑 応 答
質問回答
会場会場
 かかりつけ医がない場合、脳卒中などで救急車で運び込まれたとき、 かかりつけ医としての意見書を書いて頂けるのか?
中崎先生中崎先生
 救急車で運び込まれた時、最初は介護保険は関係ありません。 症状が固定して医療から手が離れて自宅でリハビリをうける場合、 介護が必要な時、かかりつけ医としての意見書を書いてもらえます。
会場会場
 家族で介護をしている場合、介護保険はどうなるのか?
中崎先生中崎先生
 家族介護に対して現金給付はしません。現物給付(介護)をするのが原則です。
会場会場
 家族が看病しても現金給付を受けられないのなら、 家族が介護を放置してしまう可能性があるのでは? また行政としてその対策は?
中崎先生中崎先生
 看病してもらう側も家族の介護を望んでいるが、現実に年寄りが年寄りを看病するというのは 困難で現金給付をしても解決できず実質的な介護給付も必要です。 現物給付か現金給付の自己選択性も模索中です。
島先生島先生
 介護保険についての質問などの窓口はどこですか?
中崎先生中崎先生
 市の福祉(すこやかセンター呉)でお願いします。


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