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【講演】 ボケないための町づくり
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香川治子 香川 治子  呉市保健所所長

 21世紀は少子高齢社会、超高齢社会と言われるような時代になってきている。65歳以上の人が全人口に対して占める割合、 いわゆる高齢化率は、国では16.2%であるが、呉市はもうすでに昨年20%になり、5人に1人は高齢者ということである。 平均寿命は、男性が77.19歳、女性は83.82歳で、世界最長寿国と言われるように延びてきた。 しかし、それは最後まで元気でいられるかどうかということが問題で、現在は平均寿命もさることながら、 いかに健康でいる期間を長くすることができるかで、寿命の質が問われる時代になってきている。
 皆が元気でいる、そういったことで今、長野県では、ピンピンコロリの里というのがある。 80歳を過ぎても元気でピンピンとして、最後は3日くらい患って亡くなる。それが理想で、なかなかそうはいかないが、 普段からそういった努力をしていくことが非常に大切だと思っている。
 広島県は、平均寿命でみると日本の中では第8位くらいであるが、お達者度でみると28位くらいであり、 寿命は非常に長いが、介護のいる期間が少し長いのではないかという状況である。
 少子化というのは、高齢者が増え、子供の数が減ってきていることである。1人の女性が一生に産む子供の数が、 今や1.39人と非常に少なくなってきている。だいたい1人の女性が2.08人の子供を産めば、人口の増減はないと言われているが、 今や1.39人であるため、これからの日本は人口減少の時代に向かってきている。
 ボケの原因として、脳血管性のもの、アルツハイマ−、そしてその混合性のものに分けられる。 脳血管性のものは、高血圧や高脂血症、糖尿病といったいわゆる生活習慣病がベ−スになっている。 これらを予防することは脳卒中の予防にもつながり、ひいてはボケの予防にもつながる。 アルツハイマ−も原因がはっきりしない部分がたくさんあるが、物事にこだわる性格であるとか、 社会性がなく閉鎖的な性格、年をとってからの引越し、病気などによる寝たきりがボケにつながってくる。
 ボケもちょっとおかしいかなという時、家族や周りの人がしっかりと受け止め、話をきいてあげたり、 外に連れ出してあげるなどいろいろな関わりをすることで、ボケの進行を防ぐことができる。ボケ予防対策であるが、 生活習慣病の予防はもとより、自分たち一人ひとりが幾つになっても感性を磨き、 前向きに努力をしていく生き方が非常に予防にはつながってくる。
 今年は国際高齢者年である。自立・社会参加・ケア・自己実現・そして人としての尊厳の5つが 国際高齢者年のキ−ワ−ドである。自分たち一人ひとりが、自立した高齢者であることが非常に大切である。 健康の定義であるが、病気でないことを健康ととらえるのではなく、病気があっても、 その人がその人らしく自立して生き生きと過ごせたら、それを大きな意味で健康ととらえている。
 そして最後に、"輝く人がいて、輝くまちがある"というのは、私たち一人ひとりが輝いて生きていくことが、 町全体を輝かせる。そして、ボケを防いで皆で元気に年をとっていくことのできる町になるのではないかと思っている。 そんなお手伝いを私たち保健所はしたいと思っている。
講演当時の役職です)

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