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【講演】 いよいよ始まる介護保険制度
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神垣 昌人 神垣 昌人  広島県医師会 理事

 2000年4月より、いよいよ介護保険制度が実施される。  この新たなる制度には、介護支援サ−ビスという考え方が組み入れられている。すなわち介護を必要とする人に対して、個々の解決すべき課題や状態に即した介護サ−ビスが、適切かつ効率的に提供されるように、保健、医療、福祉にわたる介護サ−ビスが、総合的、一体的、効率的に提供されるサ−ビス体系を確立することであり、要介護・要支援者やその家族の自立を支援し、生活の質を高めることにある。そして、その役割を担う者として介護支援専門員(ケアマネジャ−)という新たな職種が誕生した。
 ケアマネ−ジャ−の仕事は、@ 要介護認定の調査(呉市においては、市の職員が行っている)、A ケアプランの作成、B 介護サ−ビス事業所間の連絡及び調整(ケアプランが上手く行われているか定期的に訪問をしながらモニタリングすること)が主なものである。
 介護サ−ビスを受けるまでの流れとして、まず利用者(本人又は家族)が市に申請をする。この申請については、ケアマネ−ジャ−に依頼し、代行申請ということも可能である。認定をされると、ケアマネ−ジャ−によってケアプランの作成が行なわれる。その後で、サ−ビスが受けられるということになる。
 ケアプランの作成は利用者が作成してもよいことになっているが、これは無料であり、地域におけるサ−ビスの現状を全部把握するということは難しいので、ほとんどの方はケアマネ−ジャ−に依頼することになると思われる。
 介護認定についてだが、呉市においては、市の職員が訪問調査を行っているが、85項目について聞き取りで調査をする。それをコンピュ−タ−に入れて判定をする(一次判定)。それとは別に、主治医(かかりつけ医)に意見書を書いてもらい、その意見書と一次判定結果と調査票の特記事項を参考にし、「介護認定審査会」という所で審査・判定を行う。 その結果、要支援あるいは要介護(1〜5)に認定されると、そこで初めてサ−ビスが受けられる。しかし、ここで自立と判定されるとサ−ビスは受けられない。主治医(かかりつけ医)がおられない方には、「指定医」に市が依頼をして、主治医意見書を記入していただく。申請から認定、結果の通知は、30日以内で行うことになっている。
 次に呉市における介護認定審査会の運営内容であるが、全部で10の合議体がある。合議体というのは、認定審査を行うひとつのチ−ムのことであるが、呉市においては川尻町、黒瀬町、蒲刈町、下蒲刈町の委託を受けているので、それらを含めて10の合議体がある。ひとつの合議体は医師会から1名、歯科医師会及び薬剤師会から1名、それから保健関係から1名、福祉関係から2名の計5名で構成されている。
 −呉市における要介護認定実施状況、要介護度の割合、二次判定における変更率等の紹介(数字は省略)−要介護認定が進んでくるといろいろな問題が出てきている。
 まず、申請の問題点として、まず申請をしないということがある。これは自分は介護を必要としないと思われている方や、何らかの理由で申請ができないなどいろいろな状況があると思われる。
 次に訪問調査についてだが、通常の状態と調査をした時の状態がかなり違う場合があると問題にされている。要介護認定で一番重要なのは訪問調査とそれによる一次判定である。正確な状態把握をする上で、立会人の同席を求めたり、たくさんの方から話しを聞いたり、あるいは特記事項にいろいろなことを記入してもらい、正確な状態を把握したいと考えている。調査員のレベルの向上も重要なことである。
 それから、認定審査会の問題点であるが、委員間の意見の統一が難しいということがあるが、合議体間の均等化・平準化をはかっていき、公平公正で客観的な審査判定を目指していきたい。
神垣 昌人  要介護認定を受けるとケアプランを作成する。これは、サ−ビス担当者会議を開き、ケアマネ−ジャ−を中心として作成される。そして、最後に利用者の同意であるが、これが一番重要なことであり、ケアプランは利用者本人が作成するということである。
 今まで、「在宅介護支援センタ−」というものがあったが、介護保険では新たに、「居宅介護支援事業者」というものができてきた。実際には、支援センタ−はほとんどその居宅介護支援事業者を併設する。一言で言うと、介護保険の対象になる方の仕事をするのが「居宅介護支援事業者」であり、対象外の方の仕事をするのが「在宅介護支援センタ−」ということになる。先ほども延べたが、両方を併設している所がほとんどなので、これらの業務の分担、連携が今後重要になってくる。
 介護保険において、各サ−ビスを行う事業者あるいは居宅介護支援事業者は、必ず苦情・不服を受け付ける窓口および担当者を設置しなければならない。ただ、実際にサ−ビスを受けている所に不服を申し出るのは難しいかと思われる。そういった場合に相談する窓口として、市町村の窓口やケアマネジャ−(居宅介護支援事業者)が皆さんの窓口になるかと思われる。なお、呉市においては、1999年10月1日よりすこやかセンタ−の中に苦情相談窓口を設置している。
 つい最近、政府の特別対策というものが出てきて、介護保険に携わるものに動揺を与えている。介護保険についてはまだまだ流動的なところがあり、今後も導入までに混乱が続くものと思われる。
 呉市において、介護保険のサ−ビスで上乗せサ−ビスあるいは横出しサ−ビスの具体的なものを教えてほしいと質問があったが、現在のところ、呉市では考えられていない。このサ−ビスをすることにより、1号被保険者の保険料が上がってくるということがある。
 もうひとつの質問に呉市の介護保険料はいくらかというものがあった。これは、来年度の介護報酬単価が出ないと正式に決定できないが、現在のところ3100円前後ではないかと言われている。
講演当時の役職です)

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