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【講演】 介護保険とその実際
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杉山 美穂 杉山 美穂  中国労災病院 ソーシャルワーカー

 みなさんの中で介護保険は、どのように利用したらよいのだろう?と考えている方も多いのではないでしょうか。そこで今回、介護保険の利用の仕方について説明を致します。
 わが国ではこういった保険・福祉制度は、黙っていてはサービスを受けることができません。市町村の窓口に申請して初めてサービスを受けられるのです。この介護保険も申請しなければサービスを受けることはできません。
 ではどの様な流れで介護保険は受けることができるのでしょうか。
 まず住んでいる市役所に本人または家族の方が介護保険の申請をします。友人・親戚などではだめです。体が不自由・家族がいないなどの理由で市役所に行けないという方は、民生委員さんに相談してみて下さい。
 申請が終わると次に介護支援専門委員が、訪問調査のためにみなさんの家を訪ねます。(介護支援専門委員というのは、看護婦・保健婦・介護福祉士その他福祉関係・医療関係の仕事をしている方で、介護支援専門委員の資格がある方です。)訪問調査では、介護保険を受ける方が現在どの様な生活をしているのか、どの程度の介護が必要なのかを調査します。また申請をするときにかかりつけの医師を聞かれます。それは市町村が直接そのかかりつけ医師に意見書のお願いをするためです。意見書ではその患者さんがどの様な症状なのか書いてもらいます。
 介護支援専門委員による訪問調査の結果と、かかりつけの医師による意見書をもとに介護認定審査会で審査が行われ、みなさんの要介護度が決定されます。その後決定された要介護度に応じ、自分の受けたいサービスをどの様に受けるのか(ケアプラン)を考えていただいて初めて介護サービスを受けられるようになります。このような流れで介護保険を利用することになります。
 自分では「介護が必要です」と言っても介護認定で「自立」と認定されたら、その時点では介護保険を受けることは出来ません。適正にサービスを受けるためには介護保健専門委員の訪問調査のときに、現在の状態を正しく見てもらうことが大切です。
 訪問調査の時、介護支援専門委員から色々質問されます。たとえば「寝た状態から一人で起きれますか?」と聞かれた場合実際に起きあがれるかやって見せて、介助が必要なのかどうか、一人では全く無理なのか、ベッドの手すりなどをつかめば起きあがれるのかという詳しい説明も大切だと思います。

「起きられますか?」「はい、この通り・・どっこいしょ の よいしょっと。」
実演を交えながら分かりやすく解説。リハ科のスタッフの熱演に会場からは笑い声も…。

 毎日リハビリをがんばっていて少しでも出来ることを見ていただくのも大切ですが、出来ないことは出来ないとはっきり伝えることも大切です。
 また痴呆について「食べられないものを口に入れませんか?」といった質問もあります。このときいつも家族の方が注意していてそういった物を近くに置かないようにしていて問題がない場合、「大丈夫です」と言ってはいけません。もし手の届くところにあったらと仮定して解答するようにして下さい。
 介護保険の申請から決定まで、介護保険をどの様に利用したらいいのか、その実際について説明させていただきました。まだわからないことがある時は中国労災病院で仕事をしていますので訪ねていただければと思います。どうもありがとうございました。
講演当時の役職です)

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