【実演】
もしも脳卒中になったら、 あなたはどうしますか? |
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松井 英俊 呉大学看護学部 看護学科教授* & 看護学生のみなさん 皆さんこんにちは!私たちが脳卒中出前講座を始めて30回を超えました。おかげさまで、会場にお越しくださった方には脳卒中予防が浸透し“起きたらすぐに病院へ!が合い言葉になっているのではないでしょうか。 しかし、中には片方の手足がしびれてきたが、明日になったら治っているだろうと思い、翌日に病院受診を延ばされた方が、麻痺と言葉の障害が残ってしまい、「早く受診していればよかった」と後悔されておられるケースもあります。 脳卒中の前ぶれを知って、早く病院に受診すれば脳卒中に罹っても軽度で済むこともあるのです。この寸劇にあるような症状と似ているなと思ったら、早く病院を受診してみてください。 事例1 脳梗塞が起こった人の救急対応 道中庄助(仮名)さん 66歳 朝起きてトイレに行こうとしていた。少しフラついていたが、昨日のお酒が残っているんだろうと思っていた。しかし、いつもより右手が重いような、しびれているような感覚がする。まだ手も指も動くがなんだかいつも違う。おかしい! そして用を足しているとき突然右手が重くなった。右足に力が入らなくなった。倒れそうになるのを必死でこらえて妻のもとに行く。 が、妻はまだ寝ている。呼ぼうとするが声が出ない。そうしているうちに身体のバランスがとれなくなって倒れてしまう。ビックリして妻目覚める。 「おとうちゃん…どうしたん…」 右手が動かない、声も出ない、しゃべろうとするが言葉になってないようだ。 妻はどうしようかと慌てている。突然・・・そうか!と手をうつ。呉大学の講座で教えてもらった脳卒中の救急対応があることを思い出した。 すぐに電話の前に行き「そうなったとき連絡表」をみて119番通報をした。 「そうなったときの連絡表」は第9回講演会「脳卒中の予防と対処法(松井英俊先生)」にあります。 (↑クリックすると、新しいページで開きます) 事例2 心臓疾患由来の脳塞栓の人の場合 山野介護(仮名)さん 56歳 今日は一ヶ月ぶりのゴルフの日である。久々のラウンドに気持ちが高ぶっていた。昨夜も興奮してあまり眠れていなかった。 ここはすでにグリーンの上、まさに今からカップインというところであった。 急に動悸がしてきた。気分も悪くなり足元がおぼつかなくなった。そして、目の前が暗くなっていくような感じがしてその場にガクンと膝から落ちて前のめりに倒れてしまった。 「大丈夫か?・・・歩けるか?」 とっさにとった行動は、山野さんの意識を確かめ、歩けるかどうかを確認した。意識はあった。 そしてゆっくりながらも歩くことができたため木陰に横にならせた。上着のボタンをはずし、ズボンのベルトをゆるめ、楽な姿勢にさせ救急車の到着を待った。 山野さんがノドが渇いたというので持っていたタオルに水を浸し、唇を潤す程度に押し当てた。うっかり飲ませると飲み込みが悪く気管に入ってしまう恐れがあるということを知っていたからだ。 「ここがどこかわかりますか? 名前はいえますか?手を握ってください。ちょっと目をみせてください」 発見後、緊急対応がよかったことやすぐに救急車を呼んだことが幸いし、山野さんは6時間後には麻痺もしびれも改善していた。様子観察のため1週間入院するが、後遺症もなく退院することができた。 事例3 脳出血の人の場合 ヤブサカ伝の助(仮名)さん 45歳 ちょっと太りぎみな体型を少し気にしていたが、いつもの暴飲暴食、喫煙、不摂生きわまりない生活を送っていた。仕事はパソコンに向かってのデスクワークを行っている。 ストレスがたまるばかりで、食べてストレスを解消していた。妻や娘たちも、父の肥満には文句を言っていた。それもストレスとなった。ヤブサカさんはストレス解消と肥満解消をねらって週に1度スポーツジムに通いはじめた。 なんという心地よい汗をかくものだと、ジムに通いはじめたことを喜んでいる。普段は運動をしないヤブサカさんは次から次へとメニューをこなしていった。 ある日、ランニングマシンをしていた同年代の人をみていたら自分はもっと長時間走れるだろうと思い、ランニングマシンに乗って開始した。 ピッチを上げているときにその瞬間急に頭が痛くなり、そして頭の中が真っ白になり、足元のローラーベルトに膝を落としてしまった。その後、急に左手が麻痺し、動かなくなった。 それをみたスタッフはすぐに駆け寄り、意識を確かめた。目はつむっていた。呼びかけるが返答がない。すぐに携帯から119番通報した。 「もしもし、こちらスポーツジムリカバリーです。お客さんの意識がなくなっています。どうしてそうなったかわからないんですが、見たときには膝が床について手足がだらりとなっていました、すぐにきてください。」 「ここがどこかわかりますか? 病院ですよ! 名前いえますか? 手を握ってください。指を追ってください。目を見ますよ〜」 その後、ヤブサカさんは血圧を下げる薬を投与され、麻痺は軽度で済み、リハビリが開始され、順調にすすみ退院し職場復帰に至った。 事例4 くも膜下出血の人の場合 茶花かおる(仮名)さん 女性60歳 毎日朝早くから起きて、朝はラジオ体操からはじまり、犬の散歩をして、そのあと孫と息子と嫁の弁当を作ることが毎朝の日課であった。 昼間は2級ヘルパーの資格を持っているため近所のヘルパーステーションでヘルパーの仕事をしていた。 夜は週3回、ヨサコイ踊りの稽古に余念がなかった。さらに、空いた時間には、お華を教えているなど、超いそがしく超幅広い活躍をしていた。 そして、健康には人一倍気をつけており、食生活は3度3度きっちりと食べ、十分に気をつけていた。酒もタバコもたしまず、健康には人一倍留意していた。 しかし・・・ 仕事中介護しているおじいさん宅で食事介助をしていたときであった。突然頭をカナヅチで殴られたかのような痛みがはしった。その後、頭を抱え吐き気を催し、その場に倒れてしまった。 しかし意識はあったので何とか連絡しなきゃと思った。訪問の仕事にきていたのでその場には、茶花さんとおじいさん二人になってしまい介護の必要なおじいさんは車椅子だったため電話がかけられない状態であった。茶花さんは力を振り絞り携帯電話で救急車を要請した。 病院では主治医のブレイン先生が手術適応ありと判断して準備をしていた。カルテには以前、動脈瘤があるためくも膜下出血の可能性が高いと記載があった。このたびは動脈瘤が破れてしまっただろうと予測し最善の準備に余念がなかった。 無事手術も終わり、茶花さんは3週間入院し、麻痺、後遺症もなく退院することができた。今はまた前と同じような生活パターンを過ごしているが、激しい踊りは控えている。 脳卒中予防と対処法の講演をご希望の方は、呉大学看護学部松井までご連絡下さい。 hidemomo@kure-u.ac.jp まで ※メールアドレス収集防止目的でアットマーク(@)を全角文字にしています。ご注意ください。 (*講演当時の役職です)
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