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【コメント】 呉市の医療福祉
トップページ第11回講演会>【コメント】呉市の医療福祉

司会:  呉市における診療ネットワークについて考える時に、医師会の存在は非常に大きなものがあります。今日は豊田秀三呉市医師会長にお越しいただいております。 激しく変化する医療政策の中で、呉市の医療福祉はどうなのでしょうか。今日の脳卒中フォーラム全体の感想も含めてコメントをお願いいたします。
医師会長:
豊田秀三 呉市医師会長
豊田秀三
呉市医師会長
 私の親戚の話をさせていただきます。息子は開業医なのですが、本人は医者ではありません。妻も息子もちょうど出掛けていた夜中の1時頃に脳梗塞を起こしました。
 息子に電話をかけたのですが、たまたま応答できなかったようです。翌朝の6時になってようやく私のところに電話をかけてまいりました。しかし「あー、うー」としか言いませんので、最初はいたずら電話かと思いましたが、よく聞くと発語障害で、叔父の声に似ているなと思い、すぐに家へ行ってみました。 やはり電話の相手は叔父でした。叔父の様子から脳梗塞が疑われたので、すぐに救急車を呼ぼうとしたら、ズボンを履くとかシャツを着替えるとか非常に格好を気にしまして、結局、治療を受けた時には発症から3時間以上経過しており、t-PAの対象にはなりませんでした。
 その後、手足はだいぶ動くようになりましたが、構音障害が残ってしまいました。もしその時、恥ずかしがらず近所の人に頼んででも、すぐに救急車を呼んでもらっていたら、後遺症がなくて済んだかもしれません。 皆さんも自分がこういう状態になったときには恥ずかしがってはいけません。中には何でもかんでもすぐ救急車を呼ぶ困った人もいますけれど、自分でこれはおかしいと思ったら、すぐ誰かに救助を求めてください。
 それから診療ネットワークについて山根先生のお話がありましたが、呉市医師会ではいろいろな事業を行っています。訪問看護、ホームヘルプ、通所リハビリテーションも行っています。それから医師会病院では、いろんな患者さんを診療しています。
 先ほど広島県の福祉保健部長も話しておられましたが、政府は医療費抑制政策を行っています。我々医師会としては、国民の健康に使うお金くらい一生懸命払って欲しいと思いますが、このような医療情勢の中では、医師も様々な協力をしていかなければなりません。 そのひとつが在宅療養支援診療所です。要するに開業医は24時間患者さんを診て、往診もしてくださいということです。厳しいことを言うようですが脳梗塞になると家族の手が掛かります。そうするとご相談に来られるのは、どこかの施設に入れていただけないでしょうかということです。 近年は少子化、核家族化が進み、昔のような大家族はありません。介護をするにも手が足りず、施設に入れて、一生なんとかそこで看てもらえないかと考えます。しかし政府は、財政上それはできないと言っているわけです。
 このような状況ですから、我々開業医は在宅療養支援診療所として在宅支援をしていこうと懸命に取り組んでいます。病状が悪化したらすぐに病院へ入院していただき、状態が良くなればまた自宅に戻って、在宅で診るという繰り返しです。 呉市には往診をする医者も沢山いますから、何か異常があれば我々が往診して、病院へ入院すべきか、それとも在宅でよいのか、ご家族と話し合って最もよい方法を考えます。この時には、現在かかっている病気だけでなく、新たな病気にならないように予防をしていくことも大切です。
 医療が今急速に変わってきており、我々医療者側が非常に戸惑っているので、一般市民の方々はもっと戸惑っていると思いますが、皆様方と協力しながら呉市民の健康を守るために医師会としても努力して参りますので、ご協力の程よろしくお願いいたします。

当時の役職です)

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