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【講演】
街で見かける自動除細動装置(AED)の使い方
トップページ第12回講演会>【講演】街で見かける自動除細動装置(AED)の使い方

写真・中川五男先生 中川 五男
  中国労災病院  救急部部長
救急救命士の皆さん


 皆さん、こんにちは。大変長い時間でお疲れだと思いますから、簡単にやろうと思います。
 AEDというカウンターショックの人工蘇生をさせる機器のお話です。はじめに、スライドでAEDをどういうふうに使うかというのを見てもらって、それから外にも人形を用意してありますので、皆さんに実際に触ってもらおうと思います。 もし人が倒れたらどうしたらいいのかというのをね、ぜひ見てもらいたいと思います。

【一次救命処置】
スライド「救命の連鎖」
スライド「救命の連鎖」
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 さて、皆さんがお宅とか、外で歩いていて、人がバタッと倒れたときに、何とか人を助けたいという風に思われると思います。 そういうときにいかにしたら人を助けられるかという話をさせていただきます。
 一次救命というのは発生現場での救命処置のことをいいます。一次救命の最初にやること。とにかく119番通報しましょう。 まず電話をしましょう。それから心肺蘇生をしましょう。
 それからAED(除細動器)です。これはいま凄く普及しています。AEDという言葉、聞かれた方おられますか?  手を挙げてみてください。おっ、結構いらっしゃいますね。AEDという機械は、飛行機には必ず積まれています。 新幹線のホームにもあります。広島駅にも置いてあります。 よく気をつけると「AED」と書いてあるところがありますので、そこには除細動器が必ずあります。 地域社会を究極の救急処置室にしよう。一次救命処置は、我々もそうですけれども、町を歩いていて何の武器もないんですが、 武器のないままに人をいかに助けるか…。二次救命処置というのはそのあと病院に送っていろんな処置をするということです。 やはり心筋梗塞とか脳卒中というのがバタッと人が倒れるときに多い病気なんですけれども、これはアメリカの年間の発生数ですが、急性心筋梗塞でなんと150万人。 アメリカは日本の約倍くらいの人口2億人ですので、単純には計算できませんが、日本ではこの半分くらい発症している可能性があります。 そのうち死亡数が50万人に達しているんですね。脳卒中は発生数が50万人で、そのうちの4分の1が、何の処置もしなければ亡くなられる可能性があるということです。 心筋梗塞の半数は発症後の1時間以内に死亡するんです。逆に言えば、1時間以内に何とか蘇生をすれば助かる可能性があります。 脳卒中の場合は、最初のお話にも出たと思いますが、3時間以内であれば血栓溶解療法(t-PA療法)の効果が期待されるということで、 とにかく3時間以内にしかるべき施設に送っていただければ何とか助けられる可能性はあるということです。
スライド「急性心筋梗塞」
スライド「急性心筋梗塞」
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 ここにおじさんが「うっ」とうなっておりますが、胸のあたりを痛がられたらまず心筋梗塞を疑います。 危険因子としては、何かサッカーとか野球とかしてて「うっ」ということではなくてですね、安静時に何もしなくて急に「うっ」というのは非常に危ない心筋梗塞です。 それから20分以上持続する狭心症とか、どんどん悪くなる狭心症、こういうのは非常に危険だというこをご承知ください。 それから夜間に起こる狭心症も危ないそうです。
スライド「脳卒中」
スライド「脳卒中」
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 これは今日お話が出たかも知れませんけれども、突然、顔面神経麻痺が起こる、顔がぴゅっと曲がっちゃうというときは脳卒中を疑います。 それから、こっちのおばさんが手を上げてますけど、手を上げてもと一方の手が下がるというのは徴候のひとつです。 危険因子は意識が無くなったり、あるいは意識が低下した状態になったりする。出血によるものと脳梗塞によるものがあるんですけど、 出血によるものは症状が早くて怖いんだといういことはご承知ください。
スライド「一次救命処置」
スライド「一次救命処置」
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  一次救命処置というのはA、B、C、Dの順でいきます。Aというのは気道を確保します。Bというのは英語なんですが人工呼吸をします。 この順番でやるんです。それから心臓マッサージ。呼吸が先なんです。すぐに心臓マッサージじゃなくて、まず呼吸をしましょう。 呼吸をさせてあげて、それから心臓マッサージをして、最後に除細動です。 呼吸をさせて、心臓をマッサージしている間にAEDという除細動器を持ってきて処置をするという順番になります。
スライド「一次救命の流れ」
スライド「一次救命の流れ」
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スライド「気道確保」
スライド「気道確保」
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スライド「昏睡体位」
スライド「昏睡体位」
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スライド「呼吸の確認」
スライド「呼吸の確認」
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スライド「心臓マッサージ」
スライド「心臓マッサージ」
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 これが一次救命処置の流れです。もう一回おさらいしますけども、バサッと倒れて意識がない人がいましたら、まず大声で叫んでください。 「誰か来てください」一人では絶対に人は助けられません。何とかたくさん人を呼んでください。それから気道を確保して、呼吸があるかないか、なければ人工呼吸をして心臓マッサージという順番です。 はい、じゃあ実際にやってみましょう。
 倒れている人を見つけました。「大丈夫ですか?」と声をかけてください。反応が全然なかったら、まず人を呼びましょう。「誰か来てください。」そして誰かおられたら「119番に電話してください。」 誰もいなかったら、携帯のある時代ですから、携帯を使って119番にまず電話してください。人助けするためにはですね、ひとりでは絶対に助けられませんから、とにかく人を集めてください。 そして119番に電話してください。それから、もしあればAEDを持ってきましょう。
 気道確保というのは、頭を後屈をして顎を挙げれば気道が通ります。今日は人形があります。 前にもありますので皆さん立ち寄って実際に触ってみてください。スライドのようにすると気道確保ができます。 意識がなくて、でも息があるという人は昏睡体位と言って、横を向かせましょう。横を向かせるだけで、呼吸ができることがあります。 上向いたら呼吸ができなくても横を向いたら呼吸ができることがあります。これを昏睡体位と言います。
 呼吸をしてるかどうかは、まず1番に確認してくださいね。まず1番に呼吸です。呼吸の確認はこういうふうに顔を患者さんの顔に近づけて、 胸が上下しているかどうかを見ます。それから呼吸の音がするかどうか、自分の頬に呼気を感じるかどうか、 ということで確認をしましょう。これは意外と分かりやすいです。呼吸をしているかどうかというのは割り簡単に分かります。
 それから、あえぎ呼吸。「お゛お゛〜」「え゛え゛〜」という絞り出すような呼吸をされる方がおられます。あえぎといいます。 あえぎはもう正常な呼吸ではありませんので、これは人工呼吸をしましょう。
 まとめますと、意識がなくて、呼吸がなかったら、これはもう心肺停止です。意識がなくて、呼吸がなかったら、心臓も止まっている可能性がありますので、 まず2回人工呼吸をして心臓マッサージをします。
 いいですか。まず呼吸をたしかめましょう。2回呼吸をして、呼吸が先です。それから心臓マッサージをしましょう。 心臓マッサージの位置は、何となく知っておいてください。心臓は身体のど真ん中にあります。左にはありません。 胸骨という硬いところがありますね、皆さん触っておられます硬い骨の真下に心臓はありますから、胸骨の下半分を揉んでください。 胸骨は15センチ(cm)から大きいひとで20センチ(cm)あります。
スライド「写真:心臓マッサージ」
スライド「写真:心臓マッサージ」
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 それでは中島先生、心臓マッサージのデモンストレーションをしてみましょう。人が倒れていた…。 気道確保をしてみましょう。頭部後屈、人工呼吸に関してはあとでやってもらいます。 心臓マッサージをしてみましょう。心臓マッサージはぐっと開けて、胸骨を探しましょう。 胸骨の下半分に手を当てて心臓マッサージをしてみましょう。ハイ、OKです。
スライド「正しい圧迫法」
スライド「正しい圧迫法」
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 胸骨下半分の身体のど真ん中を揉んでください。心臓マッサージの正しい圧迫・・・、細かいことを言いますと、 胸骨が4、5センチ(cm)沈むまで、今見てもらったようにですね、身体を預けてゆっくり揉んでください。 そうすると有効な心臓マッサージが出来ます。それから1分間に100回。あんまりゆっくりやると効果がないそうですので、 1分間に100回のペースでやってください。それから心臓マッサージを30回やって、呼吸を2回、 ふーっと吹いて、また30回を繰り返します。これだけ覚えておいてください。心臓マッサージは1分間に100回、 それから心臓マッサージと人工呼吸は30:2の割合です。
スライド「一次救命処置の流れ」
スライド「一次救命処置の流れ」
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 とにかく人が集まるまでは、絶え間なく心臓マッサージを繰り返しましょう。30回して2回フーフーとして、また30回。これはどんな方にも有効にできます。 これを頭の中に覚えていただければ、有効な心臓マッサージで人を助けることができますので、よく覚えておいてください。
 じゃあもう一回流れを言います。反応がない。意識がない。大声で叫んでAEDを持ってきてもらいましょう。 それから気道確保をして、呼吸があるかないかをすばやく耳をそばだてて確認します。 呼吸がなかったら、これはやばいということで人工呼吸をまず2回してあげましょう。 それから心臓マッサージを30:2という順番です。これをよく覚えておいてください。実際にやってみると簡単にできます。

【AED】
スライド「写真:AED」
スライド「写真:AED」
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 さて、AEDというものはこんなものです。見せてあげてください。これをぽっと見せられてもどう使っていいのか何が何やら分からないのですが、 今日、この講習を受けたら「何やこんなもん」というくらい、もう小学生でもできる非常に簡単なものです。AEDというのは誰でもできるもので医療行為ではないんです。 うまくいかなくても法的に問われることもありませんし、損害賠償責任を問われることもありません。これは医療機器ではなくて、市民誰でもが使える家電、テレビとかラジオとかと一緒なんです。 これは覚えておいてください。欧米ではデオデオ(家電量販店)のようなところで売られているそうです。日本でもそういう時代がもうすぐ来ると思います。
スライド「AED使用の流れ」
スライド「AED使用の流れ」
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スライド「AEDの言うままに行動する」
スライド「AEDの言うままに行動する」
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 AEDの流れです。まず電源を入れます。パッドを胸に装着して、AEDが解析をしてボタンを押す。これだけなんです。まずやってみましょう。先生お願いします。
 ハイ。AEDを持って来ました。電源を入れてみてください。すると機械がしゃべり始めます。機械の言う通りにやってください。 まずパッドを装着します。こういうものが2枚あります。ここに貼りなさいと書いてありますから、これを胸に貼りましょう。 それからソケットが付いていますからAEDに挿し込みましょう。そしたら解析を始めます。ここで患者から離れてください。 除細動するときに感電して危ないですから、離れてください。「ショックが必要です」…というと、除細動ボタン…いま点滅していますね。 これを押すんです。はい押してください。…ボンッ。いまショックが出ました。これだけです。非常に簡単です。 実際に現場でやるとあたふたしてしまうんですけど、やることはこれだけなんですね。機械の言う通りにやってください。
スライド「写真:実際にやってみる」
スライド「写真:実際にやってみる」
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 ということで、AEDの流れは、心肺蘇生している間にAEDが到着しました。今のAEDの手順で解析をして除細動の必要ありということになると、ボンっと1回除細動をします。 「除細動は必要ありません」ということもあります。その時は除細動をせずに、再び心肺蘇生を始めるということです。
 それでは皆さん、もしよろしかったら実際に触れてみてください。ここに1台ありますし、外の廊下(ホワイエ)に4台、人形とAEDが用意してありますから、どうぞお帰りの際に触ってみてください。
 どうもありがとうございました。


写真:司会・豊田代表  中川先生、どうもありがとうございました。
 皆さん、これで今日のフォーラムで予定した全てのプログラムは終わりになります。帰りにこの会場から出られたら、みなさんどうかびっくりしないでください。 まるで殺人事件現場みたいに4体の人形が横たわっております。蘇生練習用の人形とAEDが用意してあります。是非ですね一度AEDの使い方を体験してから帰ってください。 いっぺん触っておくとですね、いざというとき慌てないで済むと思います。百聞は一見にしかずです。
 それでは、今日は長時間、本当にありがとうございました。気をつけてお帰りください。どうもありがとうございました。
講演当時の役職です)
 
終了後の風景(ホワイエ)
写真:AEDの説明をする救命士さん(1) 写真:AEDの説明をする救命士さん(2)
写真:AEDの説明をする救命士さん(2) 写真:AEDの説明をする救命士さん(4)
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