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【市民公開シンポジウム】「脳卒中を知らんにゃあ、いけんじゃろう!」
【これって脳卒中? 自己診断のコツと対処法】
トップページ第13回講演会>これって脳卒中? 自己診断のコツと対処法>
【脳卒中予防のあれこれ、本当に効果があるの?】 ・ 【脳卒中はどこまで治せる? 最先端治療と限界】

豊田:  で、いまイクラの話でしたね。…イクラの話じゃないですね、動脈瘤が薄々になって破れると…これもすべて高血圧、あとお酒、タバコも悪い。 ここまでまとめてみてどういった人が脳卒中になりやすいんでしょうね。どういった人がなりやすいかを知らないと防ぎようがないので、この辺は知っておきたいですよね。何を気をつけたらいいのか・・・どうでしょう?
大槻:
(写真)大槻俊輔さん:クリックすると紹介ウィンドウが開きます
パネリスト:大槻俊輔さん
広島大学脳神経内科
診療准教授
 じゃあ、内科の脳卒中を診ている医師の立場から・・・。
 まず、血圧の高い方がたくさん救急車で来られますね。高血圧は上が140(mmHg)、下が90(mmHg)、お医者さんに測ってもらったり、家庭血圧計っていうのがありますね。 それによって140−90(mmHg)を越えてる方が多いです。160−90(mmHg)、180−90(mmHg)、という高い方がですね。 しかしながら最近は朝だけ高い方もなりやすいと言われております。つまり朝起きたあとだけ血圧が高くて普段は低い方とか。仕事中だけ高い方もなりやすいです。 これ(高血圧)は一番だろうかなと思います。 2番、3番はやはり糖尿病のある方ですね。食べ過ぎて、太って、しかし元気は元気でお医者さんに行かない方とか、脂っこいものをたくさん食べる方、太っている方も多いかと思います。 それからやっぱりタバコを吸われている方、それから非常に大量にお酒を飲まれる方とかも多いでしょう。 それから最近ではさきほど出ていましたが、心臓の不整脈、心房細動…脈が乱れている方、とくに年配の方は脳卒中になりやすいと思います。 こういう方はかかりつけのお医者さんに行って、ある程度生活指導してもらったり、お薬をもらうのもいいかも知れません。 こういう方はなりやすいので気をつけないといかんでしょう。
豊田:  松井先生はよく市民講座を出前でされてますけど、その中でこういう人がなりやすいか質問出ません?
松井:  脳卒中の出前講座で各地域回らせてもらっているんですが、家庭で血圧を測っている人はどれくらいいますか?ってことで、手を上げてもらったらですね、3分の1の方はご自分で測られてます。 でも測られる条件がまちまちで、朝起きてきちんと測る方もいたり、気が向いたときに測る人がいたり、寝る前には必ず測っている人とかですね、いろいろさまざま測る時間が違っている方が見受けられました。 文献とかいろいろ読んでみると、家庭血圧計で測ったものと、お医者さんのところで測ったものを比べてみたら、実際に測ったものより下げた値段で…、値段じゃなかった(笑)。 下げた血圧で報告するという値がでているらしいですね。
豊田:  うちで測ったら160(mmHg)ぐらいだったのが、病院にくると140(mmHg)ぐらいです…とか。
松井:  そうです。
豊田:  それ奥さんが高い買い物してきて旦那に値段をウソ言うのと同じですね。
松井:  そうですね。そういう方が多いらしいというのがありました。
豊田:  血圧はいつ測るのが正しいんですかね?…これ知りたいですね。いろいろ測るタイミングあるみたいですけど。朝測ったり・・・いつがいいんですか?
 これは誰に聞いたらいいですかね・・・。どんどんお手を上げてくださいね。
大槻:  いつ測るのがいいか…なんですけども、日本高血圧学会のほうで指針が出ていますが、2009年にも改正される予定になっておりますけれども…。  たとえば家庭血圧計ですね、日本ですでに3000万台売れたという統計があります。つまりかなりの数があります。いろんなタイプがありますが、腕に巻くやつがいいと思います。 電気屋さんでだいたい8千円から1万円ぐらいの間で売っております。いま景気が悪いんでディスカウントされてるかも知れませんね。 比較的正確になっております。いつ測るかですけれども、学会では、少なくとも1日に1回、朝ごはんを食べる前、朝起きて尿を済ませます。そして朝ごはん食べるまでに少し時間がありますね。 そこで椅子に座って、3分か5分ちょっと一服してから座って測るようにします。機械で何回測るかですけれども、1回だけでもいいですし、3回測って3回とも数字をメモするのがいいかなと思います。 そしてできたら週5回とか、6回とかね、毎日測ると大変ですから、週5回6回が勧められます。 そしてもし可能だったら晩ですね。寝る前にも測るのをお勧めします。つまり高血圧学会は週14回…毎日朝晩測るのをお勧めしております。 朝、一番悪い数字が出ると思います。寝る前、お薬飲まれている方は一番いい数字が出るかも知れませんが、その数字を広告の裏でもノートでも、メモ帳でもなんでもいいから書いて、かかりつけの先生に診てもらう。 そしてそれで適切に塩分の指導とか、お薬の指導をするのが一番皆さんには賢いお得な方法になると言われております。
豊田:  機械は腕とか、指とかあるじゃないですか。どれでも大丈夫なんでしょうか。
大槻:  腕型が一番正確度が高いと思います。手首とか指先で測るやつもありますが、値段的にも安くなってきますが、少し正確性が落ちていきます。 とくに指先のものは正確性が落ちて、冬場とか測れないときもありますので、お勧めするのはちょっとバカデカくなりますけれども腕型のものが推奨されます。
豊田:  どう測ったらいいかも大事なことですね。最低でも朝は測っていただいて、できれば腕型と…。 別にデ●デ●(家電量販店)とかの回し者ではありませんので、買い替える必要はないと思いますが、ぜひ朝測ってください。
 松井さん、他にはどういった質問がありましたか?
松井:  さきほど心臓の話があったんですけれども、心臓の疾患を持ってらっしゃる方は、内科に行ってお水を飲むなと言われるんですが、 脳卒中の先生のところに行くとお水をよく飲めといわれるんです。どっちがいいんですか?・・・ってよく言われます。
豊田:  話が先に進んじゃいますけど、それよく出る質問だと思います。たぶん皆さんも病院に行って心不全の人は水を飲むな、脳梗塞の人は水をたくさん飲みなさい。 どっちにしたらええんや。これは心臓と頭と両方のご意見を聞かないといけないと思うんですが・・・
友弘:  心臓の立場から言えば、やはり水分を摂り過ぎるというのは心不全、とくに心臓の悪い方ですね、一度心不全を起こされているような方は、 水分制限をしないと心不全が悪くなって肺のほうに水が溜まって肺水腫という状態になって、夜間に呼吸困難になって救急車で運ばれてくるということになりますので水分は摂り過ぎないほうがいいというふうになります。
豊田:  どっちかというと制限して欲しいわけですね。では、頭の立場からいうと・・・?
大槻:  脳のほうから言うと、心臓の具合が悪い心不全の方が脳卒中を起こした場合は、いまと同じ水分摂り過ぎてはいけないと思います。 医師から、1日コップに何杯までとかね言われたとすると、おうちの普通のコップに5杯までとか、7杯までとか、それは守りましょう。 また腎不全がある方も摂り過ぎるといけないので、医師からの指導を守ればいいかなと思います。それ以外の方は必ずしも制限する必要はないと思います。 しかし、脳梗塞になるといかんから水飲みなさいよといって、ペットボトル2Lぐらいのやつがありますが、これを1日2本、つまり4Lぐらい飲まれる方おられます。 そうするとさすがにちょっと心臓とか具合が悪くなる方おられますので、私は普通のコップ、寿司屋のコップじゃないですよ、おうちのコップに1日7杯とかね、毎食後に、食間に、寝る前に7杯か8杯ぐらいがいいかなと思います。 そして水分は決してビールとかコーヒーとか、緑茶とか、ジュースとか、炭酸飲料ではなくて、普通の水、番茶、麦茶のことを意味しますのでよろしくお願いします。 スポーツドリンク剤は塩がたくさん入ってる場合があります。一部の野菜ジュースも、最近のやつは塩が入ってるものがあります。 一部はよくないことがありますので、医師が水を飲みなさいというときは普通の水、番茶、麦茶を意味しますので、決してお酒とかコーヒーとか、そんなんではないので間違わないようにしてください。
豊田:  確かにそうですね。水飲みなさいといわれて水道の水飲んだり、逆に世の中ではポカリスエットのほうがいいよとか、2L飲みなさいとか、いろいろ言うじゃないですか。 そこらもいま言われたように心臓の具合とかどうとか、何リッターとか決められないんでしょうけど、それを見ながらやるということ。飲み物に関しては中東先生どうですか?
中東:  そうですね。確かにいま言われたように、最近ウーロン茶とか自動販売機にありますけど、あれもですね、あまりお勧めできないんですね。 とくに脂肪を取るような働きがあるので、やはりたくさん飲み過ぎるとよくないというところがありますね。 もうひとつは、飲んだらいけないと言われると、高齢者は水を摂らない方が多くて、脱水症というのもよくあるんです。 夏場だけじゃなくて、これから寒くなると、部屋で暖房をしますとね、やはり脱水というのも起こしますので、やはりある程度は、さきほど言われたようにコップに7杯か8杯程度は要るんじゃないかなと思うんです。 制限するのはどこまでかというのは私も聞きたいなと思ってたんですが・・・。
豊田:  そうですね。トイレに行くのがおっくうになって、夜寝る前飲むのをついつい控えてしまう。 それで水分が足りない方がいらっしゃると思いますけど。まあだいたいその7杯とか8杯というところが目安なんでしょうか。
中東:  そうですね。よく私たち栄養管理するときにですね、体重1キロ(kg)あたりに30〜35ミリリットル(ml)を掛けた数字を摂っていただくというふうに計画するんですけど・・・
豊田:  1キロ(kg)あたり35シーシー(cc)ですか? 60キロ(kg)の人だとだいたい…
中東:  1800ミリリットル(ml)から2Lぐらいですね。で、入院してたりすると動かないので、そこまで要らないとは思うんですが、 日常生活されている方は汗もかきますね。不汗蒸泄というのもありますから、 やはりある程度は水分は必要かなと思いますので摂り過ぎない程度には摂っていただきたいと思います。
豊田:  お酒飲むと利尿がついたりするじゃないですか。ビールで500ミリリットル(ml)いっちゃったから、 あと1500ミリリットル(ml)水でいいのかなというのは、そうじゃない?
中東:  そうじゃないですね。お酒の場合はエネルギーが付いてきますし、コーヒーとかビールとかいうのは、利尿作用がありますからね、 逆に水分摂ってるんやら、出してるんやら分からなくなるので、さきほど言われたように水、番茶、普通の麦茶とか、 そういったもので対応していただいたほうがいいでしょうね。
豊田:  なるほど、皆さん気をつけてください。ついついのどが渇いてビールをくぅーっと飲むと美味しいんですけど、かえって危ない場合がある。 歌手の西城秀樹さんもそうでしたからね。ビール、ガーっと飲んでサウナ入って汗かいて脳梗塞になった。 すいません脱線ばかりして、次に進みましょう。
寺澤:
スライド・「脳卒中の主役は脳出血から脳梗塞へ」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「脳卒中の主役は脳出血から脳梗塞へ」
(クリックすると拡大表示します)
 脳卒中の3つタイプですが、時代とともに、脳卒中に占める割合が変わっています。いまから40年余り前、1960年代は脳出血が全体の7割以上を占めて、 脳梗塞が13%、くも膜下出血が2.4%でしたが、現在は、脳梗塞が全体の60%を占めるようになって、 脳出血の割合がぐぅっと減って26%、くも膜下出血が11.3%というふうになっております。現在は脳卒中の中では脳梗塞が圧倒的に多い頻度になってきております。
豊田:  なるほど。ご覧のように脳出血…血管が破れるほうから詰まるほうへ、なんでこんなに変わったんでしょう? 皆さん心当たりあります?
 食生活が大きく変わったんじゃないですかね、やっぱり。思い起こせば、40年前。皆さんが子供だった頃かも知れませんが、これ栄養学的にはどうなんですか。
中東:  確かに食生活というのは戦後かなり変わってきましたですよね。要は経済成長とともに色んな食品を輸入して、いま輸入ではかなり問題になってますけど、 いろんなものが入ってきて、戦後は野菜とか米がかなりの重量をエネルギー的に占めてたんですけど、最近は脂肪の摂る割合が多くなってきた。 それから魚よりも肉を好かれる方が多いんですよね、いまは魚、魚というふうに言われてるけど、だんだん肉を好む人が多くなってきた。 それと、野菜を食べるひとが少なくなってきた。野菜は料理するのが面倒ですよね。なので結構野菜を摂る量が減ってきたということで、 血液がドロドロ状態になり、血液の流れが悪くなって、脳梗塞、動脈硬化を起こすことがかなり増えてきたんじゃないかなと思いますね。
豊田:  確かに皆さん、考えたら変わったんじゃないですか、食事の内容。外国行ったほうがお寿司屋さん大流行りで、生魚食べなかった中国だって寿司屋ブームで凄いことになってますよね。
中東:  昔は漁業というのが結構盛んだったんですけど、今頃中国が魚をたくさん取ってるということで、日本も魚があまり入らないというふうな話もちょっと聞いたんですけどね。
豊田:  燃料が高くて漁師さん漁に出れない。
中東:  そうですね。ガソリン高騰でそれもありますよね(*当時170円/L越え)。
豊田:  この中でおそらく一番長くお医者さんやってる山根先生、経験的にどうでしょう? 変わってきてます?
山根:  食事も大きな一面ですよね。もうひとつは、過去1960年代に実は脳卒中で亡くなられる方の一番多かったのは脳出血ですね、 それがまた脳卒中で亡くなられる死因の1番だったですね。その頃、原因は高血圧だろうということで日本全国で塩分を制限して、 高い人は降圧剤を飲んでいたということで、血圧のコントロールに力を入れてました。 その結果、脳出血の患者さんが激減しまして、こういう状況になってる。ただ脳梗塞がそのかわりに増えてきたということですね。 現在は、日本の疾病で脳卒中で亡くなられる方は3番目なんですね。癌が1番、心臓が2番、それから脳卒中ですね。 脳卒中で亡くなられる方はですね、実は減ってもいないし増えてもいないといいますかね、 脳出血は減ったんだけども脳梗塞がやっぱり増えてきてるために下がり切らない状況だと思いますね。
豊田:  昔、東北のほうにいましたから、秋田県は脳卒中県と言われて血圧高い方多かったんですよ。 外来に来られると「先生今日調子悪いわ、血圧160(mmHg)しかない」とか、普段はいくら?って聞いたら「210(mmHg)」とか。 完全にスピードオーバーで、それで脳出血が多かったですね。さらにお酒飲まれる方も多かったから余計に脳出血が多かったですね。
寺澤:
スライド・「脳卒中のいろいろな危険因子」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「脳卒中のいろいろな危険因子」
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 さきほどからいろんな話が出てきておりますけれども、脳卒中の発症には、さまざまな危険因子が関連しております。 ケーキとかハンバーガーとかお肉が並んでおりますけれども、食生活の欧米化が進んできました。 それからアルコールの飲みすぎ、それからタバコ、あと高血圧と一番関係しているのが塩分ですね。 塩分の摂り過ぎが高血圧、脳卒中に大いに関係しています。それから病気との絡みですね。 生活習慣病であれば、塩分の摂り過ぎに関係しているのが高血圧です。心臓が原因で起こる心原性脳塞栓症の一番大きな原因が歳とともに出てくる心房細動という不整脈ですね。 それから動脈硬化に大いに関わってくるのが脂質異常症です。 コレステロールとか中性脂肪が高いという病気ですけども、こういったものが脳卒中の発症に関わっているということになります。
豊田:  くどいようですけども、この辺は気をつけなきゃいけないということですね。あとこれ以外に脳卒中になりやすい人というのは年齢ですね。 あと男性のほうが多いんですかね? 性別とか歳というのは防ぎようがないです。私たちができることというのはこういうことなんですね。 あと結構質問があるのは、脳卒中は遺伝するんですか? 脳卒中家系、癌家系っていうじゃないですか。この辺はどうなんです? まあ感染ることはないにしても・・・。
大槻:  少なくとも生活習慣病からくるものに関しては、親から必ず遺伝するとか、そういうのはないかと思いますけど、ただし、親とか兄弟とか、同じ釜の飯を食ってて、食べるものが似てるんです。 脂っこいもの…てんぷらとかフライが好きとかね、焼肉は週2回ぐらい食べないといけない、野菜はあんまり食べないとか、そういうのがあるので、 同じような心臓病とか、脳卒中とか、同じような病気になりやすいというのがあるかも知れません。遺伝はしないですけど、なりやすさはあるかもしれません。 それから、くも膜下出血に関しては、脳外科の先生に伺ってください。
豊田:  動脈瘤は…、なんか関係あるんじゃないですか。
大庭:  動脈瘤は、やはり家系があります。動脈瘤の原因が2種類ありまして、血圧からくも膜下出血を起こされる方とか、 今回のテーマとはちょっと違うんですけれども、家系が関与している。身内とかにくも膜下出血がおられるかたは少し注意していただいたほうがいいと思います。 あと高血圧が原因で、さきほど言ったように血管が薄くなって血圧が高いがために、お餅が膨らんで破裂するような感じで発生するタイプもあります。
 一方、脳梗塞なんですけれども、私、若い頃、松江日赤というところで研修医時代を過ごしたんですけれども、向こうの方でも大根島とかですね、 隠岐のほうだとものすごく血圧が高いんですよね、食生活を聞いてても普通に食事されてて、体型を見ても太っておられる方はいないし、 なんでかなと思っていろいろ調べてみたら、やっぱり水がですね、向島なんかでも、生活水の中身が海水を含んでいて塩分が高いんです。 井戸水から汲み上げられた飲料水で小さい頃から塩分が自然のうちから摂取されてる…、それから隠岐のほうの方はいつも海の魚を食べられてますから、食材としてはいいんですけれども、 お醤油をたくさんかけられますよね。そういうようなことで知らないうちにちっちゃい頃からそういったお魚が好きで塩分が上がっているというパターンもあります。 心当たりにある方というのは、この会場にいらっしゃる皆さん方は、年配の方が多いと思いますけども、やはり若い人たちにそういったことを伝えていってですね、 注意してあげるのがいいかと思っております。
豊田:  なるほど。家系というのは脳卒中にはあまり関係ないけれども、ただ、くも膜下出血の一部、血管のコブについては、もし親兄弟にある場合には調べておいたほうがいいかも知れないということですね。
 お魚を食べるのは体にはいいんですけれども、塩焼きのお魚に醤油をばっとかけて食ったんでは問題です。 食べ方も気をつけたほうがいいですね。では、これまでのまとめになりますけど・・・、「予防の十か条」を派手に読み上げていただきましょうか。
松井:
(写真)松井英俊さん:クリックすると紹介ウィンドウが開きます
パネリスト:松井英俊さん
呉大学
看護学部教授
 それじゃあ、後ろに控えてる4年生出てきてください。脳卒中予防十か条読み上げます。呉大学4年生学生です。
− 拍手 −
 いつも脳卒中出前講座を地域でさせてもらってるんですが、そのときに学生と一緒に地域に出かけて行って、脳卒中予防と対処法というのをやってます。 そのときの彼らが劇をして、ショートコント…コントじゃない、すんませんショートドラマをやるんですが、その時にこれを皆さんで読み上げるということで、 一番目に「予防にはタバコを止める意志を持て」というのがあります。けれども、いま学生がカードを持っていると思うのですが、ちょっと上に挙げて見せてもらえますか。 これを毎年配っているんですけれども、
スライド・「脳卒中予防十か条」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「脳卒中予防十か条」
(クリックすると拡大表示します)
このカードをお持ちの方、どれくらいいらっしゃいますか? 脳卒中予防十か条っていうカードなんですけれども・・・
− パラパラと手が上がる −
 あ、いらっしゃいます? ひとりふたり…三人、だんだん挙がってきましたね。これ帰りに準備してますので、お持ち帰りください。それでは皆さんで一緒にいきましょうか。
 「予防にはタバコを止める意志を持て」
− 学生の声が小さい −
 ・・・え、おい!?
豊田:  元気ないね(笑)
松井:  元気ないぞ。・・・いきますよ。ハイ。
 「予防にはタバコを止める意志を持て」
− 学生:「予防にはタバコを止める意志を持て」 −
(会場に向かって)皆さんも一緒にどうですか?
 「不整脈見つかり次第すぐ受診」
− 会場:「不整脈見つかり次第すぐ受診」 −
 「高すぎるコレステロールも見逃すな」
− 会場:「高すぎるコレステロールも見逃すな」 −
 「手始めに高血圧から治しましょう」
− 会場:「手始めに高血圧から治しましょう」 −
 え、抜けました?・・・あ、糖尿病抜けました。
豊田:  なんか自分に不都合な点ありますか?
松井:  すいません。このあいだ指摘されました。メタボリックと。ちょっと最近糖が高いんじゃないのって言われました。
 それじゃあもう一度、糖尿病から参りたいと思います。
 「糖尿病放っておいたら悔い残る」
− 会場:「糖尿病放っておいたら悔い残る」 −
 「手始めに高血圧から治しましょう」
− 会場:「手始めに高血圧から治しましょう」 −
 「アルコール控えめは薬過ぎれば毒」
− 会場:「アルコール控えめは薬過ぎれば毒」 −
 「お食事の塩分・脂肪控えめに」
− 会場:「お食事の塩分・脂肪控えめに」 −
 「体力に合った運動続けよう」
− 会場:「体力に合った運動続けよう」 −
 「万病の引き金になる太りすぎ」
− 会場:「万病の引き金になる太りすぎ」 −
 「脳卒中起きたらすぐに病院へ」
− 会場:「脳卒中起きたらすぐに病院へ」 −
 ありがとうございました。
豊田:  (学生に向かって)あの、あとで出てきてもらいます? 今日は出番多いですからね。ギャラはないのにごめんなさいね。 ちょうど眠くなってくる時間なんで、声出していただくと皆さん目が覚めるかと・・・。では次のテーマに参りましょう。お薬の治療の話になります。
寺澤:
スライド・「高血圧の診断基準」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「高血圧の診断基準」
(クリックすると拡大表示します)
 脳卒中の一番多い原因となるのが高血圧です。高血圧の診断基準を示しております。 血圧というのは収縮期血圧(これは俗に言う上の血圧ですけれども)、それと拡張期血圧…(下の血圧ですけれども)とで表現されます。 上の血圧が140(mmHg)、下の血圧が90(mmHg)以下のものは正常範囲、基準値といわれております。 この中にはいっておけばいいんですけれども、その中でもとくに上が120(mmHg)、下が80(mmHg)以下が最も理想的で至適血圧、 120〜130(mmHg)、80〜85(mmHg)が正常血圧、130〜140(mmHg)、85〜90(mmHg)は一応正常範囲内なんですけれども正常高値血圧といいます。 で、上が140(mmHg)以上、もしくは下が90(mmHg)以上を高血圧といいます。 そして重症度によって軽症、中等症、重症のグレードに分かれてます。軽症の場合は、上の血圧が140〜160(mmHg)、あるいは下が90〜100(mmHg)。 中等症のほうは、上が160〜180(mmHg)、下が100〜110(mmHg)、重症とよばれているものは上が180(mmHg)以上、下が110(mmHg)以上です。 こういう場合はすぐに病院へ行って、血圧の治療をしましょう。
豊田:  皆さん心当たりのところあります? 正常のところに入ってます? だいたいいいとこ入ってればいいんですけど、これ逆に低けりゃ低いほどいいんですかね? どうなんでしょう。
大槻:  今日140−90(mmHg)と出ました。90(mmHg)よりもう少し低いほうがいい方というのが実はあります。 まず糖尿病の方、140−90(mmHg)ではないですね。さらに低く、130−80(mmHg)以下に下げたほうがいい。 もう少し低くしたほうがいいかも知れません。慢性腎疾患、もしくは腎臓病ですね、尿に蛋白がおりたり、血液中の腎臓の数字が少し上がっている腎臓病の方、これも低めに出なければいけません。 これ新しく次年度の日本の医師向けの治療のガイドラインに載りますし、今年、ヨーロッパの高血圧の治療ガイドラインに載りました。 メタボリック症候群の方も低めに設定されます。130−80(mmHg)以下になりました。 基本はやはり24時間にわたる厳格な降圧のほうがいいっていうことで、なんか難しいこと言われるんですけれども、一部の方は140−90(mmHg)よりさらに低いっていうことになります。 あともう一点は、低くなればなるほど絶対大丈夫ですか、ってことなんですけども、昔は低くなり過ぎると脳梗塞を起こしやすくなると言われてました。 しかし近年は、いまのところはそうであるとはっきり示すような医学データは出てないですね。だから少なくとも130(mmHg)とか120(mmHg)ぐらいまでの下げるということ自体は害はないと思います。 正常血圧で100(mmHg)とか90(mmHg)に下げるというのは不都合が出るかも知れませんので常識の範囲で低いほうがいいとお考えください。 あと、非常に高齢の方ですけども、たとえば80歳を越えてる方も下げてもいいですかということですが、これについてひと月前に欧米のほうから報告がありましたけれども、 つまり80歳、90歳であっても血圧は少なくても160(mmHg)前後以下ぐらいまでは下げても大丈夫ですよというのが報告されてますし、日本でも、高齢の方は140(mmHg)以下とは言いませんけれども、 160(mmHg)以下で脳卒中、心臓病の予防効果が上がるというのがきちっと医師が調べておりますので、皆さん方もある程度は高いのを放っておくのではなくて、下げて、また下げれるところまで下げるのがいいかも知れません。 あくまでも常識の範囲で下げるほうがいいかも知れません。
豊田:  これは心臓とか高血圧とか一緒ですよね。
大槻:  同じだと思います。
大庭:  そうですね。
豊田:  もともと血圧高いひとを下げるのにフラフラするぐらいまで下げる必要はないんでしょうけど、 普段からもともと100−60(mmHg)しかない人を120(mmHg)に上げるというわけではありませんので、 それはそれでちゃんと医師に相談してください。じゃ、次いきましょう。
寺澤:  高血圧が脳卒中の危険因子になるということなんですけれども、 先ほどお話があったように血圧が高ければ高いほど脳卒中を発症する危険性がずーっと高くなっていくということであります。
豊田:  やはり血圧は低いほうがいいってことですよね。
寺澤:
スライド・「降圧療法の効果」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「降圧療法の効果」
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 降圧療法という血圧をしっかり下げるという治療を受けることによって、脳卒中とか心臓病の発症の危険性がどれくらい下がるのかと言いますと、 上の血圧が14(mmHg)、下の血圧が6(mmHg)下がった1万人規模のデータなんですけども、脳卒中が降圧治療を受けられた方が30%〜40%近く下がる、 脳卒中による死亡率も同じく30%〜40%近く下がってると、心臓病のほうでも20%、虚血性の心疾患というのは、狭心症および心筋梗塞ですけれども、 それによる死亡も30%弱下がります。
豊田:  要は血圧をちゃんと下げとけば心臓病も脳卒中も2割から4割ぐらい悪くならないということですので、血圧は一番大事だなということです。 皆さんの中で、治療を受けられてる方も多いと思います。血圧の薬の飲み方について、いろいろ疑問に思うことないですかね。 朝1回の人、朝昼晩の人、夜の人いろいろあると思うんですけど、薬の飲み方というのはどうなんでしょうかね。 あ〜、ちょうど薬剤師さんいらっしゃるわ〜。
中嶋:
スライド・「薬を飲むときの注意」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「薬を飲むときの注意」
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 では、薬剤師の立場でお話をさせていただきましょう。 皆さん、お医者さんで処方された薬を、お医者さんで貰われたり、薬局で貰われたりすることがあると思いますけども、薬ちゃんと飲まれているでしょうか。 当然飲み方についての説明をお医者さんも薬剤師さんも一生懸命していると思いますけれども、その通り用法・用量を守って飲んでいただくのが当然ですね、基本です。 でもなかなかちゃんと飲んでいただけない。じゃあ忘れた時どうすりゃいいのか、ということがあるんですね。 多くの薬はですね、思い出した時飲んでいただいたらいいわけですね。たいていお食事の後に飲んでくださいというお薬が多いと思います。 忘れないために食後に飲んでくださいという場合が多いんですね。ただし、糖尿病とか特殊なものは別ですよ。必ず食事の前後でなければいけません。 それ以外の一般的なものについては食後忘れたら思い出した時に飲んでいただいていいお薬が多いわけです。 お薬もらえるとき、「忘れたらどうするん?」と薬局の薬剤師に聞いていただいたらちゃんと説明してくれると思います。
 2番目ですけども、お薬ですから副作用というものがですね、皆さん誰にでもお薬がちゃんと効いて、何の害もなければいいんですけれども、どうしてもお薬には副作用というものがついてきます。 ですから「お薬飲むたびに体がだるうなるんよ」とか「お薬飲んだら皮膚のほうがおかしい、痒い痒いなったりするんよ」とか、とにかくお薬を初めてはじめるときにですね、 貰って、飲まれて、変わったことが起こった時には、必ずお医者さんのほうに、または薬剤師さんのほうに報告していただきたいと思います。
 3番目が、他のお医者さんを受診される場合ですね、内科でお薬貰われて整形外科にかかります、眼科にかかります、耳鼻科にかかりますというとき、 必ず今飲まれているお薬についてはですね、お医者さんのほうに見てもらってください。いまではお薬手帳というので薬局のほうで配っていると思いますけども、 飲まれているお薬を記録する手帳というのがありますから、そういったのを利用してでもいま飲まれているお薬について、 他のお医者さんにかかられる場合は必ず見てもらうようにしてください。でないと似たようなお薬とかですね、飲み合わせが悪いようなお薬とか、出されることがありますのでね、 そのためにせっかくお薬飲んでいるのに体にかえって害になるということが起こり得ますから、そういったことを防ぐ意味でも、 飲まれているお薬というものはお医者さんのほうにお話いただきたいと思います。
 いまいったお薬同士だけの問題ではないんですね。4番目に食べ物、健康食品に注意とありますけれども、お薬飲んでたら摂ってはいけない食品というのがあるんですね。 いま高血圧のほうからお話でましたので高血圧の一部のお薬ですけれども、カルシウム拮抗剤という言い方をするお薬があるんですけれども、 これを飲んでいるときにはグレープフルーツ摂っていただいては薬の効果がですね、非常に強まる可能性があるんですね。
豊田:  それよく言われますよ、グレープフルーツ大丈夫ですかって。カルシウム拮抗剤っていうんですか?
中嶋:  薬の名前ですのでいろいろあるんですが、カルシウム拮抗剤でも中にはいいものがありますのでね、 そこらへんもどの薬がダメなのかっていうのはちゃんと説明されると思いますのでね、注意していただきたいと思います。
豊田:  グレープフルーツだけ? みかんもダメ?
中嶋:  みかんは大丈夫なんです。
豊田:  あーそうなんですか。
中嶋:
(写真)中嶋都義さん:クリックすると紹介ウィンドウが開きます
パネリスト:中嶋都義さん
呉市薬剤師会理事
ホワイト薬局
 グレープフルーツの系統がダメなんですね。ぼんたんとかですね。 そういったグレープフルーツの系統がダメということになっております。柑橘類すべてがダメというわけではないんですね。
 今日は脳卒中のお話ですから脳卒中を予防するために飲まれているお薬ですね、血を固まりにくくするお薬飲まれていると思います。 さきほどから血の塊で血管が詰まるというお話しょっちゅう出てきていましたので、血を固まりにくくするお薬飲まれている方が多いと思いますけれども、 その場合でも注意していただかなければならない場合があるんですね。ワーファリンというお薬飲まれている方多いと思うんですけれども、 これ飲まれている方は、納豆ですね、ダメなんですね。ビタミンKを含んでいるものがダメなんです。 納豆とか青汁、健康食品のクロレラ・・・
豊田:  (会場に向かって)青汁もダメですって。
中嶋:  ダメなんですよ。
豊田:  いま「えー、なんでやねん」って声が聞こえてきました(笑)。健康にいいと思って飲んでたんですよねぇ。
中嶋:  非常に残念なんですけどね。さきほどの高血圧の薬は強めると言ったんですけれども、こちらは逆にワーファリンの効果を落としてしまうんですね。 弱めてしまうんです。健康のために飲んでる方いらっしゃると思うんですけれども・・・
豊田:  納豆だって血液サラサラになるって言われて食べてますからねぇ。
中嶋:  そうなんです、納豆にはナットウキナーゼと言ってねぇ、血をサラサラにするけえ、ええんよって言う方いらっしゃるんですけれども、 ワーファリンを飲まれている方はごめんなさい、他の関係で摂っていただくことができません。あと緑色野菜ですね。 緑色のほうれん草とかにもビタミンK含まれていますので、ただこれ、全然摂ったらいけんと言ったらツライですね。 栄養バランスの上でも困りますよね。ですから緑色野菜については一度に摂り過ぎないとかですね、一定の量を毎日摂るとかですね、 過剰にならない程度で摂っていただければ栄養のほうにも問題なく薬との問題も非常に低くなるんではないかと思います。
 5番目。処方されたお薬は他の人に飲ませないとあります。お薬貰われてねぇ、飲み忘れて余ったり、 風邪とかだったら早く病気が治って薬が残ったりすることありませんか? 残った薬を他の方にあげたりする方いらっしゃるんですね。 非常に危険です。同じ症状であっても先生方がその症状に合わせて、あなたに合わせてお薬決めてられますから、他の方が飲まれると非常に危険な場合があります。 もらい薬、あげ薬は決してしないようにしてください。もし薬での副作用が起きてしまった場合ですね、 皆さんがちゃんとお医者さんや薬局で貰われたお薬についてはちゃんと救済制度があります。 副作用被害救済制度というのがあります。重篤な副作用が出た場合にちゃんと補償してもらえます。 でも貰った薬、あげた薬、これで副作用が出てしまった場合、誰も補償してくれません。あげた人、もらった人、それぞれで責任をとってください。 重篤な副作用だったら大変な目に遭いますからね。決して処方されたお薬、お医者さんが決めたお薬は知り合いにあげないように注意してください。
 最後に脳卒中を予防するお薬として、さきほど食べ合わせの問題をお話ししましたけども、脳梗塞を予防するお薬は血を固まりにくくするお薬ですから、 出血するような治療がされる場合、お薬を休まないといけない場合があります。大きな手術を受けられるとか、出血を伴う可能性のある検査を受けられるとか、 そういった場合には一定期間お薬をやすまないといけない場合がありますのでね、 そういう場合必ずお医者さんのほうからいつからお薬をやめなさいという指示が出るはずですから、必ずそれを守っていただきたいと思います。 ただ、歯科の治療がですね、以前は歯科治療の場合でもお薬を休むということが言われていたようなんですけれども、最近では歯科治療については、 こういった脳梗塞を予防するお薬を休まなくてもいいよっていう方向にいっているようですのでね、ただ先生方のお考えいろいろあると思いますので、 必ず先生にご相談することをお勧めします。以上です。
豊田:  食べ物とか健康食品とか、これ切実ですよねぇ。体に良かれと思って中には結構高いお金払ってる方もあるんですよ。ねぇ?  それでアカンかったらつらいもんがありますよ。まあ、何を合わせて飲んだり食べたりするとダメなのかだけちゃんと薬剤師さんに聞いたり、主治医に聞いたほうがいいってことですね。
中嶋:  そうですね。
豊田:  それともらい薬はやめましょうね。つい「おっ、抗生物質持ってるでぇ」とかいって他人にあげたりしてアレルギーショックを起こしたりすると困りますので、 まぁ湿布ぐらいならいいのかも知れませんが、飲み薬は危ないかも知れませんね。あと、最後のところで言われてた手術なんかで絡む、 血を固まりにくくする薬ですが、歯を抜くときに昔は止めてましたけど、今は抜歯でも止めずに・・・?
中嶋:  はい、出血の程度によると思うんですけども、基本的には歯科のガイドラインで普通の治療では中止しない方向というふうに伺ってます。
豊田:  眼科のほうでは白内障とか出血が少ない場合は止めないというふうに言われてますね。 大きな手術の場合は確かに薬を止めておかないと出血が止まらないと、だーだーに血がでると困りますので止めますけど、 病気によっては止めてしまったために脳梗塞になってしまってはこれも困りますのでよくよく相談をされてください。

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