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第2章「知って得する食生活の話」
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豊田章宏:
(写真)中東教江さん
中東教江さんさん
済生会広島病院
栄養管理室長
 今、お話があったなかで食生活というのは非常に大事なので、第2部はそのお話にいこうと思います。
 第2章として「知って得する食生活の話」済生会広島病院栄養管理室室長の中東さんです。拍手でお迎えください。
 実は去年のこの会にも出ていただきました。去年は6人の方にパネリストで出ていただいて、やしきたかじんのテレビ番組「そこまで言って委員会」を真似たかたちでやったなかのマドンナ役をしていただきました。 そして、今日もおきれいに出てきていただいていますけれども、去年も中東さんは一番お話が分かりやすかったということで、今回もう一度、栄養の話はきちんと聞いておこうということです。 これは明日から生かせますので、皆さんが帰って、お父さん、お母さんが食事を作る上でのメニューのこと、それから外食される方はどういうことに気を付けたらいいのかとか、 ちょっとしたコツを今日は聞かせていただこうと思います。よろしくお願いいたします。
中東:
スライド・「血液サラサラ食生活7か条」(クリックすると拡大表示します)
血液サラサラ食生活7か条
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 よく肥満防止と言いますが、ご自分の適切なエネルギー量をご存じですか。まず自分がどれぐらい食べたらいいかというのを知っていただきたいと思います。
 その基準になるのが、ご自分の身長と身体活動量、どれぐらい体を動かしているかということで計算します。
 肉は飽和脂肪酸を多く含みます。この飽和脂肪酸が多いと、動脈硬化を招くというふうに言われています。カロリーも高くなるので、できるだけお魚を食べるようにしましょう。

スライド・「肉の部位による脂肪の差」(クリックすると拡大表示します)
肉の部位による脂肪の差
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 ただ、お肉を食べたい方もおられると思います。肉も場所、部位を選んでいただきたいと思います。これはすべて60gを基準にしてエネルギーを出したのです。 ヒレ肉でしたら約70kcal。脂も1.1gと結構低いです。豚のもも肉で脂のちょっと少ないところ。エネルギーが90kcal、脂肪が3.6g。ロースは少し脂が入っていまして、カロリーが上がってきます。 約160kcalです。脂肪も11.5gとかなり増えます。バラ肉、これは脂肪がいっぱい入っている肉です。ヒレの3倍近いエネルギーで232kcal。
豊田章宏:
 同じお肉でも部位によってこんなに違うんですね。でも、どこもおいしいですよね。
中東:
 皆さん、結構バラ肉を食べていらっしゃいますね。お話を聞くと、野菜炒めをするのも、このお肉を買われる方が多いのです。 この白い脂がコレステロールです。
 魚の脂は常温で固まっていませんが、肉の脂というのは常温で固まっています。私たちの体は常温ですよね。どうですか。食べたところを想像してみてください。
豊田章宏:
 これが血管にくっついていると思うと気持ち悪いですね。
中東:
 そうですね。できるだけこういう脂の多い肉は控えたほうがいいですよ。

スライド・「料理方法による油の含有量の差」(クリックすると拡大表示します)
料理方法による油の含有量の差
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 油を使って料理をしますね。エビはすべて同じで40g、32kcalのものですが、それが炒めもので油が2g入るとエネルギーが50kcal。 唐揚げ、衣を付けずに揚げた場合は3gの脂肪が入って60kcal。天ぷら、衣が少し付いていますので、油が4g、エネルギーが110kcal。 フライは小麦粉と卵とパン粉が入るので120kcal、油の量も増えてきます。 選ぶとしたらフライよりも、できれば天ぷら、唐揚げというふうに料理をするときに考えていただきたいと思います。

 高血圧予防には、塩分です。脳卒中予防、これも塩分です。高血圧の方では6gと言われています。 一般では男性で1日10g、女性で1日8g未満ということなので、かけじょうゆや漬物、塩分の多く含まれたものや汁などを控えていただければ、 かなり下がってくるのではないかと思います。

 「野菜をしっかりとる」。高血圧や肥満、コレステロールを予防するには、この食物繊維です。野菜をしっかりとっていただきたいと思います。 海藻類、キノコ類、それからコンニャク類にも食物繊維が入っていますので、これらもとってください。
 1日に350g。できれば朝昼晩の3食にこれを分けていただきたいので、朝も100gの野菜をとっていただきたいです。

スライド・「血液サラサラ効果のある食品」(クリックすると拡大表示します)
血液サラサラ効果のある食品
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 「血液サラサラ効果のある食品」。香りの強い食品には、アリシンいうものが入っていて血栓や血小板を凝固させるのを防ぐ働きがあります。 また、酸味の強い食べ物、酢や柑橘類。酢の中にはクエン酸、エネルギー代謝のときに必要なクエン酸が入っています。 それから、ねばねば食材。納豆や長芋、山芋、モロヘイヤ、オクラ、こういったものもいいと言われています。ただ、心臓病の人に納豆は良くないと言われています。 しかし、もう片方の面では血液サラサラの予防があるということなので、心臓が悪くない人は、納豆をしっかりとっていただけたらと思います。
 野菜に含まれる食物繊維。切干大根は、ダイコンを干していますので線維がたくさん残っています。ゴボウやレンコン、タケノコとか、そういったものもいいと思います。 ブロッコリーやキャベツなどもビタミンCが入っていますので、こういうものをしっかりとっていただいたらいいと思います。
 黒い食べ物。黒ごま、これにはセサミンが入っているのでいいのですが、糖尿病の交換表で言えば油の仲間に入ります。たくさんとると、 エネルギー過剰になる可能性もありますので、とり方には気を付けてください。
 もし動脈硬化が起きていても、そこから脳卒中を発症させない。発症させるのが活性酸素です。 それを防いでくれるのが抗酸化作用のあるものと言われています。それらがベータカロチンやビタミンCであったりするので、野菜をしっかりとっていただけたらと思います。
 今日聞いたお話を自分の得にするには、皆さんが今日からやっていただくことで、しっかり得になりますので、ぜひ実行していただきたいと思います。
豊田章宏:
 ありがとうございます。お話を伺っていると、やはりお薬の前に食べ物ですね。高いお金を払わずとも、毎日のメニューなかに入っている栄養素がいっぱいありますね。
中東:
 そうですね。生活習慣病というのは毎日の積み重ねです。食事をとらない人はいないと思います。 食事を毎日積み重ねていくことによって、病気にもなるし、予防にもなるということなので、ぜひ心掛けていいものを食べていただけたらと思います。
豊田章宏:
(写真)豊田章宏さん
豊田章宏さん
 なるほど。ファイティング原田さんというボクサーがいらっしゃいますね。私は昨日、東京でお話を伺う機会があったのですが、あの人たちは減量に減量をしていって、 とにかく絞り込む。でも、昔は試合の日の朝まで減量でしたが、今のボクサーは前の日にチェックがあるから、それが終わったら食べるらしいのですね。 いっぱい食べられるから試合でパンチを食らったら吐くのだと。ですから、ギリギリまで頑張ってやればいいのだとおっしゃっていました。
 われわれはそこまで厳しい減量する必要はありませんが、今日のお話を聞いていますと、やはり体にいいバランスのとれた食事が必要ですね。あとは季節の旬のもの、 値段ではなく本当に質のいいものを食べていただいて、ぜひ皆さんに健康になっていただきたいと思います。中東先生ありがとうございました。

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