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【講演】 運動機能低下を早期発見!
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写真・豊田章宏代表
司会・豊田章宏さん
 それでは、第2題目の準備をしていただきましょう。
 さきほどロビーでは、広島県看護協会呉支部の皆さんによります「街の保健室」とゴムバンドを使った体操のコーナーがあったと思います。 その運動体験コーナーをしていただいていたのが広島県理学療法士会呉支部の皆さんですが、今日はその代表を務めていらっしゃいます、呉共済病院リハビリ科主任の片山先生にお越しいただいております。 今日は運動機能低下を早く見つけようというテーマでお話をして頂きます。お話の途中でも実際に運動を覚えてもらう趣向があるようですし、このお話の後の休憩時間中にもご希望の方には体操指導の時間をとってくださるそうなので、健康で長生きするためにぜひ習ってお帰り下さい。
 それでは、片山先生、よろしくお願いいたします。(拍手)

片山信久さん
片山信久さん
片山信久
   呉共済病院リハビリテーション科主任
   広島県理学療法士会呉支部長


 はい、よろしくお願いします。
 皆さんは理学療法士というのを知ってらっしゃるでしょうか、知っている方、手を挙げてもらっていいですか?
(半分以上の方の手が一斉に上がる)
 おお、結構知られていますね。
 私たちは、理学療法士という名前を皆さんに知っていただくようにこのようなイベントで、年に1回ほど活動をしています。 広島県理学療法士会は40周年ということもあり、今回、講演をさせていただくことになりました。今日、協力してくださったスタッフですけれども、呉市の急性期、回復期、維持期の病院の理学療法士です。 ちょっと立ってもらえますか。イケメンばかりで、あと可愛らしい女性スタッフもいます。よろしくお願いします。
 本日の話ですけれども、加齢に伴っていろいろ機能が低下していくか。そしていろんなテストをみんなでやっていただいて、どういうトレーニングをすればいいのか、簡単なトレーニングを説明したいと思います。 みなさん、どういった運動をされているでしょうか。インタビュアーがいますので聞いてみたいと思います。山本さんからお願いします。

山本(会場): (ご年配のお父さんに)
 はい、それでは、お話を伺ってもよろしいですか?
 普段、どのような運動をされていますか?
お父さん:  いまのところ、みかん山、ありまして、みかん作りで精一杯です。
山本:  じゃあ、結構、毎日山登って運動されてる…
お父さん:  そうですね。
山本:  足が疲れたりっていうような感じで、身体が弱くなってるような感じはないですか?
お父さん:  いまのところはないです。
山本:  じゃあ、しっかり運動されてる…。これからもしっかり続けてください。ありがとうございました。
片山:  ありがとうございます。じゃあ新田さんお願いします。
新田(会場):   (ご年配のご婦人に)
 じゃあこちらからもう一人聞いてみたいと思います。
 お話聞かせてもらってもいいですか?
ご婦人: (小声で)ラジオ体操しています。
新田:  ラジオ体操されてると…。毎朝ですか?
ご婦人:  6時半にラジオ体操をしております。
新田:  どこか、家の近くでラジオ体操されてるんですか?
ご婦人:  はい、ひとりでしております。
新田:  こちらのおかあさん、ひとりでラジオ体操されてるそうです。
片山:  毎日やっているんですか。素晴らしいですね。
 じゃあ、女性スタッフの林さん。お願いします。
林(会場): (がたいのいい中年おじさんに)
 じゃあ、こちらのちょっとがたいのいい日に焼けた方。
 運動か何かされていますか?
おじさん:  グランドゴルフを火曜と木曜、エスキーテニスを月曜と金曜にやってます。
林:  エスキーテニスですか。いろいろ、よく動かれているようです。

片山:
図1:現在実施している運動・スポーツでこれからも続けたいランキング
図1:運動ランキング
(クリックすると拡大表示します)
 ありがとうございます。みなさん結構運動されているのですね。
 これは、現在、実施しているスポーツでこれからも続けたいランキングというのを、財団法人 健康体力作り事業団が、50から80歳の人を対象に調査した結果なのですけれども、 だいたい歩くことが多いです。さきほどラジオ体操されている方もいましたが、28.1%。上位を占めておりまして、今日お話しする筋力トレーニングはちょっと下位に入ります。 さきほどの山を登られる方は最下位です。
図2:歩行の効果
図2:歩行の効果
 次に歩行の効果について説明します。酸素を消費して筋肉の必要なエネルギーを取り出す有酸素運動、よくテレビとかで言われていますけれども、この有酸素運動は身体の脂肪を燃やして、 肥満とか高血圧、糖尿病などに良いと、生活習慣病の改善や予防に良いことです。高齢者にとっては、歩くことによって、骨に刺激が加わるので、骨の質が良くなる、 骨量の維持ということが言われております。
図3:高齢者はウォーキングだけではダメなのか?
図3:ウォーキングだけではダメ?
 「私はウォーキングしているから大丈夫と思っていませんか?」と、たけしの家庭の医学っぽいんですけれども、実際、患者さんで骨折して、「私は1万歩歩いているのになんでこけるんかね」とけっこう病院でも言われるんですけれども、 歩くことは大変良い事ですけれども、歩くことでは寝たきりを予防することは難しいということを、これからちょっとお話していきたいと思います。
 どうして高齢者はウォーキングだけではだめなのか。ウォーキングは心肺機能を高める効果はあるんですが、筋力を鍛える効果はあんまりないんですね。 筋肉は個人のめいっぱい力を入れた筋力に対して一定の負荷をかけないと太くならない。ウォーキングを続けていても筋力そのものには影響がないということです。 で、1週間ぐらい風邪で寝込んだ場合には、すぐ衰えて、転倒の危険性が高まるということです。
図4:筋力低下の悪影響
図4:筋力低下の悪影響
 筋力低下の悪影響ですけれども、転倒による骨折、歩くスピードが遅くなる、遅くなると信号が渡れなかったり、目的地に行くのに時間がかかって面倒くさくなり外出が嫌になる。 そうすることによって、身体を動かす機会が減って、筋力低下が起こり、悪循環を招くということです。
図5:加齢に伴い生理機能が徐々に低下する
図5:加齢に伴う生理機能低下
 加齢に伴い、このように骨・筋肉・肺活量とかが低下し、血圧が上がったりなど嫌なことばかり書いてありますけれども、こういう症状はあまり表に出てこないんです。
図6:老年症候群
図6:老年症候群
 これが一番恐ろしいのです。この症状が出だした頃は、老年症候群といま言われているのですけれども、こういう症状が重なって、いわゆる寝たきりとか、 そういう方向に向かって、要介護度が上がっていくという流れになりやすいといわれております。
図7:要介護認定者の増加
図7:要介護認定者の増加
 要介護認定者ですけれども、年々増加傾向にあります。特に要支援および要介護1といった比較的軽度な方が増加しています。
図8:要介護度別の原因
図8:要介護度別の原因
 原因ですけども、重度者では脳血管とか、認知症が多いです。要支援、要介護1は、衰弱、転倒、骨折といった運動器、筋肉が弱くなっていく廃用症候群が多いです。 年齢でみると、前期高齢者(75歳未満)では脳血管疾患が多く、後期高齢者(75歳以上)では廃用症候群が多くなっています 。 寝たきりの原因疾患ですけれども、平成10年国民生活基礎調査では、脳血管が第一位、3位骨折・転倒があるということです。
図9:各要介護度別に出現する特徴的な動作障害
9図:要介護度別の動作障害
 このスライドは各要介護度別に出現する特徴的な動作障害を示しています。要介護1と2でさらに要支援で線を引きます。 要支援では、 立ち上がり、起き上がり、片脚での立位保持といった、筋力やバランス能力の低下が特徴となっています。 要介護1では、歩行などの移動能力の低下がみられ、要介護度が上がるに従って衣服の着脱などの巧緻性障害、そして嘸下機能や認知障害へと進展することが示されています。
図10:介護認定審査会での項目
10図:介護認定審査会での項目
 このスライドは呉市の介護認定の調査資料の様式です。このアップにした場所が先程の項目になります。 第2群って書いてあるところが日常生活能力がどれくらい介助が必要か印が入ります。
図11:転倒リスクの因子となる身体的特徴
11図:転倒リスク
 転倒のリスクの要因ですけれども、この研究でも転倒の原因はこの3つのより確率が高くなるといわれています。 逆にこれらの運動機能向上が、廃用症候群に伴う要介護度の進展を阻止する可能性があると推定できます。 さきほど筋力低下についてお話ししたんですけれども、次にバランス障害についてお話ししてみたいと思います。
図12:バランスの定義
12図:バランスの定義
 バランスの定義としては、平衡機能とか、バランス感覚と同じ意味で姿勢の安定を保つ能力で、やっぱり筋肉が必要になるんですけれども、 それを巧みにコントロールする能力をバランスといいます。
図13:バランスの低下
13図:バランスの低下
 バランスの低下が起きますと、加齢に伴い徐々に姿勢の安定を保つ能力弱くなります。その他に筋力の低下・筋肉や関節固くなります。 その結果不安定なため歩くスピードが遅くなり,階段に不安が出てきて手すりを使うようになったり,転倒しやすくなるということです。
図14:運動機能評価について
14図:運動機能評価について
 いまから、いろいろのテストについて少しお話をしていきたいと思います。 テストというのは、我々は評価っていうんですけど、若い人とか、スポーツ選手のテストというのは、評価は、競技力向上やトレーニング効果の判定をするための評価、テストなのですけれども、 高齢者の方は、どれだけ人より優れているかということよりも、安全に実施できる生活、活動範囲はどこまでか、 予備力はどれくらいあるかとか、生活基盤、生活に必要な運動機能を把握することが重要であるということです。
図15:ロコモティブシンドローム
15図:ロコモティブシンドローム
 いろいろな評価を紹介します。今日やるのがロコチェック、ロコモーションチェック、立ち上がりテスト、バランステスト、2ステップテストというのを紹介します。
 まず、ロコモティブシンドロームについて説明していきます。これは整形外科学会が2007年に発表されたのですけど、定義としては、運動機能障害のために要介護になったり、 要介護になる危険性の高い容態ということで定義されています。英語のloco-motive organというのでロコモと言っています。 日本語では運動器症候群と言われております。ロコモは、 「メタボ」や「認知症」と並び、健康寿命・介護予防を阻害する因子のひとつになっています。 メタボリックシンドロームは、心臓や脳血管などの「内臓の病気」で「健康寿命」が短くなったり「要介護状態」になるのに対し、ロコモティブシンドロームでは、「運動器の障害」が原因でおこります。 「ロコモ」と「メタボ」や「認知症」を、合併する方も多いという報告もあります。 早い時期にロコモに気づいてもらい、対策として運動を推奨することが重要かつ有効です。
図16:ロコモーションチェック
16図:ロコモーションチェック
 ではロコモーションチェックというのは、7つの項目があるんですけれども、いまから皆さん出来る方だけでいいので、立ってもらっていいですか?  ひとつずつ言っていくので、ひっかかった人は座って頂いていいですか。
 まず一つ目ですけれども、「2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難な人」いますか。という人は座ってください。(誰も座らない)
 素晴らしいです。次、「家のやや重い仕事が難しい。困難。」(誰も座らない)すごいですね。
 「家の中でつまずいたり、すべったりする。」(座る気配なし)いないですか。
 「15分くらい続けて歩けない。」(座らない)みんな元気ですね。
 「横断歩道を青信号で渡りきれない」(座らない)ここにはいないですね。
 「階段を上るのに手すりが必要である。」(ほとんど座らない)
 これ難しいです、「片足立ちで靴下がはけない」(ぞろぞろと座った)。結構座りましたね。あとで立っている方テストをしてみましょう。ぜひ。
 じゃあ、いったん座ってもらってよろしいですか。(元気な方が)結構たくさんいるのでびっくりしました。
図17:色々な立ち上がり(筋力)評価
17図:立ち上がり評価
 それでは、いろいろな立ち上がりについて評価の話をします。いろんな方が報告されているのですけど、椅子からの立ち上がり、40cm、いま皆さんが座っているぐらいの椅子から立って、 5回行うテストでは14.5秒が転倒のリスクがあるんじゃないかなという報告や、CS30っていうのは、Cがchair(椅子)、Stand(立つ)、30は30second(秒)です。30秒で、どれくらい立ったり座ったりができるかっていう話ですね。 14、5回ぐらいできたら転倒のリスクはないのかなと言われております。ちょっとやってみますか。30秒測りますので自分で数えてください。準備はいいですか?30秒立ったり座ったりです。
 じゃあいきますよ。ヨーイ、ドン!(会場一斉に体が上下する)
 無理しなくていいですから。・・・30秒長いですよ。まだです。・・・あと10秒です。・・・はい、30秒です。
 15回以内の人手を挙げてください。(パラパラ)
 20回。(会場から声)
 じゃあ25回。(パラパラ)
 ちょっと、何されているか聞いてもらっていいですか? いつもどんな運動しているのですか? 林さんお願いします。

林(会場): (25回のお母さんに)
 25回された方。普段どんなことをされていますか?
お母さん:  朝晩、犬のお散歩と、週1回体操に行っています。
片山:  失礼ですけど、何歳ですか?
お母さん:  今月78(歳)になります。(会場から拍手)

片山:
 素晴らしい。これからも続けてください。
図18:WBI体重支持指数
18図:WBI体重支持指数
 ただこれが分かったからといって、どれぐらいの運動をしたらいいのかっていうのが全然わからないと思います。脚の筋力は指標であるWBI体重支持指数で力を測ります。 通常はダイナモメータで膝をまっすぐにするももの筋肉を測定し、体重(kg)で割って算出する方法 で測ります。 それの値が、0.4とか、出るんですが、一般的に、立ったり座ったり、軽く走ったり、階段の上り下りに支障がない、でもスポーツで思い切った動作ができない筋力を伴うのが0.6から0.8。 しかし、このような機械で測るには限られた施設でないとできません。
図19:立ち上がりテスト
図19:立ち上がりテスト
 そこで、台を色々使用した立ち上がり時のももの筋力と機械の筋力を比較した研究され発表されました。
 40cm、30cm、20cm、10cm、という台を使って立ってみるということで、このようにできるだけ、身体の反動を使わずに、腕を組んで、 立って3秒ぐらい保持できるということです。
図20:両足での立ち上がり(40cm)
図20:両足での立ち上がり(40cm)
 40cmなので、皆さん、いま同じ高さなんですけれども、
図21:両足での立ち上がり(10cm)
図21:両足での立ち上がり(10cm)
 これは10cmです。この方180cmあるんで、かなりちっちゃく見えるんですけれども、こういうふうに立っています。あとデモンストレーションします。
図22:片足での立ち上がり(40cm)
図22:片足での立ち上がり(40cm)
 これが片足で立つ。これも同じように3秒保持。
(会場では練習する人が…)
 いまやらなくても大丈夫ですよ。またやりますので。
図23:立ち上がりテストとWBIの関係
図23:立ち上がりテストとWBI
 立ち上がりができたらどうなのかっていうのがこの表です。40cmを片足で立てれば0.6。両足10cm、低いですけど0.5。0.5といのはここになります。 歩くことはできるが、日常生活が困難、痛みを伴う。0.4はもう、平地歩行ができる最低限の筋力という事です。
図24:バランスの評価法
図24:バランスの評価法
 それでは次にバランスです。静的バランスというのは、じっとして立つバランスです。片脚、片足保持はできるか。目をつむって、高齢者の多くは5秒以下、開眼の場合は20秒以下でふらついたりすると悪い。 運動器不安定症という病気があるのですけれども、これは目を開けた状態で15秒未満が判定の基準のひとつとされています。
図25:バランスの評価法
図25:バランスの評価法
 この動的バランス能力の評価法 timed up and go test(TUG)はリハビリではよく使います。座った姿勢から、ぐるっと歩いてまた座る。これが何秒で回るかというテストをやります。
図26:TUG
図26:TUG
 これもいろいろ発表されていて、20秒以内であれば「屋外外出レベル」、30秒以上かかる場合は「要介護レベル」と判定されます。 障害のない高齢者ではTUGは10秒以内であること、入院患者の屋外歩行自立の目安は12秒であると報告している。運動器不安定症の診断基準では、11秒以上要する場合をその判断基準の1つとしています。 色々な意見がありますが要は20秒以内であれば大丈夫かなと思います。
図27:障害高齢者の日常自立度と2ステップの関係
図26:日常自立度と2ステップ
 もうひとつは、2ステップテスト。2歩、大股で、行って止まった距離。最大2歩幅÷(割る)身長の値をだします。歩幅が150cmで、身長が150cmぐらいだったら1.0ということです。 歳をとると値が落ちていく、生活機能が自立している場合は自分の身長を下回らないそうです。
 障害高齢者日常自立度、J1の場合は交通機関を利用して外出が出来る人。J2の場合は近くなら外出できる。Aの場合、外出に介助が要ります。 でもベッドから離れて生活できる。A2の場合は外出の頻度が少なくて日中寝たり起きたりの生活をしている人がA2です。 これがさきほどの2ステップの関係で健常者で1.4、J1で1.2、J2で0.9、Aで0.6以下と、自立度の低下にせて2ステップ値も低下を示しています。
 ということで、テストをやってみましょう。私はやってみたいという人、5人ぐらい選んでみたいと思うんですけど、手を挙げてみてもらってもいいですか。やってみたい人。(手が上がらない)
 あれ、さきほどあんなに元気だったのに。(一向に上がる気配なし)
 誰か推薦してください。(…選抜時間。3名登壇。)

片山:  じゃあ、スタッフから見本を見せてもらおうと思います。体型がいい彼に。皆さんできそうだと思いますか。じゃあ片足立ちからいってみましょうか。
 40cmから(できた。会場から拍手)。
 じゃあ次々いってみましょう(30cmクリア)
 何歳?
写真:見本をするスタッフ
見本をするスタッフ
スタッフ:  26(歳)です。呉記念病院です。
片山:  すごいですね。身体大きいけど。(20cmもクリア)
 (10cm)ちっちゃいけど。やってみましょう。(ふらついた)お、あ、もういい?
 (再度挑戦)これくらいですね。運動は何やっているんです?
スタッフ:  テニスをやってます。
片山:  テニスです。
 じゃあ、こちらの方から。(若い女性の方)
 日ごろ運動していますか?…どれくらいからいけますか。…両足で立つ。じゃあいきましょう。(20cm軽く立つ)素晴らしい。 …じゃあ10cmいってみましょう。あ、もう軽々と。…じゃあ片足でどれぐらいいきましょう?…これくらいから行きましょうか。…あ、OKです。 …たぶん、これぐらいまでですね。ありがとうございます。もうちょっとお付き合いをお願いします。
 (次、若いお兄さん)
 日ごろ運動は何をされてます?
お兄さん:  ソフトボールです。
片山:  結構やってるんですか?
お兄さん:  もう生活の一部になってます。
片山:  選手です?
お兄さん:  補欠です。
片山:  どこから行きますか? (会場から)補欠でもいいという声が聞こえています。
お兄さん:  (会場に向かって)見ててください。(笑)
片山:  片足からですか! いきなり。(会場から拍手)OKです。ありがとうございます。
 (次は、最後に登壇した年配のおじさん)
 普段、どんな運動されてますか?
おじさん:  (実は、労災病院脳外科の沖田先生)
 まったくしてないです。(会場から笑い)たまに7階まで階段で上がります。(笑)
片山:  (沖田先生だと気付いていない)
 それはやってるんじゃないんですか?
沖田:  たまにです。
片山:  どれくらいですか、週に?
沖田:  いやあ、最近とくにやってないないです。ダイエットとかも全然やってないです。
片山:  じゃあたまにやりましょう。これくらいから両足でいきましょう。
(40cm)余裕ですか。…(30cm)余裕ですね。…(20cm)余裕ですね。
さあここからですね。…(10cm)腕組めたら、まあなしでもいいです。…無理ですか。…いいですよ、立てますか。
お歳はいくつですか?
写真:沖田先生の立ち上がりテスト
沖田先生の立ち上がりテスト中
沖田:  56(歳)です。
片山:  あと片足でこの一番高い(40cm)のをやってみてください。…あ、できますね。まあ、これぐらいですね。ありがとうございます。

 では、次、TUGいってみましょう。ちょっと表を出してみますね。さきほど最後の方は、片足立ちで40cmができたので0.6。 日常生活は大丈夫、スポーツがちょっと、無理しないようにいう感じですね。筋力つけましょうという感じですね。 じゃあTUG(Time up and Go)、タイムアップゴーテストですね。見本を守下くんお願いします。古川くん測ってみましょう。ヨーイ、スタート。 (9秒ジャスト)大丈夫、運動器不安定症じゃない。11秒以上があぶないとさっき出ていたんですけれども、じゃあどうぞ。
(女性の方)ヨーイ、スタート。(6秒3)(見本をやったのスタッフに向かって)負けとるじゃないですか。ありがとうございます。バランスいいですね。
 じゃあソフトボールプレーヤー補欠のお兄さん。
(男性の方)ヨーイ、スタート。(8秒)8秒です。
 じゃあ階段7階まで上がるお父さん。
(沖田)ヨーイ、スタート。(7秒)素晴らしいですね。ありがとうございます。みなさん合格です。
 次が2ステップテストです。見本をまずやってみますね。2歩大股で…。じゃあどうぞ。1、2。 (まさかの1.5mのメジャーが出てきた)足らないかも、メジャーが。全然足らない。(笑)
 2m80cmです。身長は?
スタッフ:  170(cm)です。
片山:  スカートですけどやってみてもらっていいですか。
(女性の方)身長どれくらいですか?…141cm。(歩幅)2m20cm、素晴らしいです。計算は出来ないですけど、多分すごいです。じゃあどうぞ。
(男性の方)これはレギョラーを狙えるかも知れません。(歩幅)290cmです。身長は?…172cm。すごいですね。では、次、無理しないでね。どうぞ。
(沖田先生、結構いった!)うちの病院にはいないです、こんなに元気な患者さんは。(歩幅)250cm。
写真:2ステップテスト、測量中
2ステップ、測量中
写真:2ステップテスト中
2ステップテスト中
豊田:  片山先生、この方は一応、労災病院の先生なんです。
写真:沖田先生と片山先生
沖田先生と片山先生
片山:  ええっ!先生ですか。失礼しました。(会場爆笑)
豊田:  なんかお二人似たタイプかなと思ったんですけど。
片山:  似ているなあと思いました。申し訳ありませんでした。だから7階なんですね。労災病院の…。おかしいなとは思ったんですけど。
 みなさん、ありがとうございました。拍手でお願いします。
 さあ、オチがあったみたいです。

 次は筋力トレーニングについて、方法を説明して、みなさんでやってみたいと思います。足の筋肉です。ポイント3つ。お尻の横にある中殿筋、これが体の支えをするところで、つぎに大殿筋、お尻の筋肉です。さきほど出た大腿四頭筋です。 これは筋電図、筋肉の動きを記したものですが、立ち上がり、立位、座るときの動作で、さっきの3つの筋肉があれだけ収縮していますよという、ブリッジというのは、寝ていてお尻を上げる動作なのですけれども、中殿筋・大殿筋も強いですね。
図28:ロコトレ(ダイナミックフラミンゴ運動)
28図:ダイナミックフラミンゴ運動
 実際、ロコトレをやってみましょう。スタッフの方、前でモデルをやってみましょうか。皆さん立ってもらっていいですか。 非常に簡単な運動なので、多分大丈夫だとは思うんですけども、片足で立って、フラミンゴのように片足で立ってください。それで1分。 一回下ろしてもらっていいですか。さっき上げていた方は反対の足でいきましょうね。ヨウイ、ハイ。1分、…長いですよ。…スタッフでもふらついている人がいる。
写真:会場の様子
会場の様子
 …無理しないでいいですから。…こけそうな方は前の椅子を持ってください。このスライドのように台を支えているので、無理しないでいいです。 …あまり持ったらダメですよ。…指で支えるぐらい。…あと10秒です。ハイ、いいですよ。これが1分です。これを左右1日3回やってみてください。これがダイナミックフラミンゴ運動です。
図29:ロコトレ(スクワット)
29図:スクワット
 次は、スクワットですけれども、普通スクワットというのはしゃがんだりするんですけど、それは無理なので、モデルのようにちょっと腰をかがめて、立って、これで10秒から12秒かけてゆっくり下ろしてゆっくり立つ。 これを繰り返して6回ぐらいです。これを1日3セット。テーブルに手をついて、立ち上がる。
図30:つかまっても立てない場合のスクワット
30図:スクワット
 これでも無理な人は、これ立ったり座ったりですね、これでも立てない人はこうやってお尻を少し上げるだけでいいです。 結構キツイです、これでも。台は支えてくださいね。無しではもっとキツイです。これはさっきの大腿四頭筋の強化になります。
図31:ブリッジ
31図:ブリッジ
 もうひとつが、家でやってもらったらいいんですけれども、仰向けで膝を立てた状態でお尻を上げる。ここのお尻の筋肉を強くするのにぜひ家に帰ったらやってみてください。これ1回に5秒から6秒、できたら10秒ぐらい止めて、やってみてください。
 筋力トレーニングというのはもう、いまほんとちょっと紹介しただけなのですけど、なんでもいいと思うので、いろいろやってみてください。
 最後になるのですけれども、高齢化社会、サクセスフルエイジング、豊かな老いですね。これの達成にはやっぱり、健康寿命の延伸が必要不可欠ではないか、老化と廃用症候群の悪循環、先ほど説明しましたけども、こういうようなのをいかに絶つかというのを、早期発見と対応に取り組むことが必要と思います。 紹介したテスト、測定評価、それをちょっとでもやってみて、気づいてもらって、こういう運動をしてもらったらいいのではないかと思います。私の話は以上です。
 あと、休憩時間にセラバンドっていうバンドで体操の指導を行います。体操の紙とか結構余っていますので、ぜひもらって帰って、バンドとかは、今頃スポーツ店で売っていると思うので、そこで買われてもいいと思います。 ぜひやってみてください。ありがとうございました。(拍手)
豊田:  片山先生、ありがとうございました。実際に身体を動かしてやってみると、お話だけよりも本当に分かりやすくていいですね。ただ運動は人と競ってやるとペースを超えてしまってかえって危ないことがありませんか?
片山:  危ないですね。でも、みなさんとやるのもいいものですね。
豊田:  自分のペースで、あんまり競って「負けないよー」とやっているとポキッって骨折なんてことがありますので、その辺は加減してやるってことですね。
片山:  無理をしないことですね。
豊田:  いろいろな方法を教えて頂いて本当にありがとうございました。それでは、しばらく休憩時間を取らせて頂きますが、その間、会場の外でも体験コーナーをやってもらえるんですね?
片山:  はい、ぜひ、お土産もあんまり残っていないんですけど、やられてないかたはやってみてください。
豊田:  それでは休憩時間を10分ちょっと取りますので、ぜひ体験してみてください。では、改めてありがとうございました。
講演当時のものです)

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