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不整脈 見つかり次第 すぐ受診
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豊田:
不整脈見つかり次第すぐ受診
不整脈見つかり次第すぐ受診
図16:不整脈が原因で起こる脳梗塞
図16:不整脈が原因で起こる脳梗塞
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 不整脈、見つかり次第すぐ受診。 さきほど松田先生に詳しく教えて頂きましたけど、ドコドコドコ・ドコドコドコドコって脈が速くなったりする場合は早く病院で診てもらったほうがいいですね。 ちゃんと心電図をとってもらって、それから治療を考える。そうしないと、ポーンと心臓の血栓が飛んでいってどこかに詰まってからでは遅いですからね。
 スライドの心臓もドコドコって震えますが、ここで血液の流れが淀んで出来た血の塊(血栓)がポーンと飛んで行って脳の血管に詰まるわけです。 この場合太い血管に詰まることが多いので大きな脳梗塞になってしまうことが多い。太い血管がいきなり詰まるわけですから、 なった途端に意識がないとか重症になることが多い。それでノックアウト型とも言われています。ここに予防として抗凝固薬とか、抗血小板薬とか書いてあります。 一般に血液をサラサラにする薬とか言われていますよね。脳梗塞や心筋梗塞になられた方は大抵飲んでおられますよね。
 皆さんからの質問にもありましたが、今日は薬剤師の方がいらっしゃるのでお聞きしたいんですけど、血液サラサラの薬ですが、 血液を固まらないようにするためには抗凝固薬と抗血小板薬とがありますが、これは同じ薬ですか?
濱崎:  そうですね。抗凝固薬と抗血小板薬は厳密に言うと違います。
豊田:  ざっくりいうとどう違うのでしょうか?
濱崎:
写真:濱崎浩一さん
 抗凝固薬っていうのは皆さんが知ってらっしゃる薬だとワーファリンとか、最近ではノアックという薬とかがあります。 抗血小板薬というのはアスピリンとかそういったものがありますね。心原性脳塞栓とかに使うのは抗凝固薬で、 動脈硬化などで血管が細くなるような血栓には抗血小板薬を使うようになります。
豊田:  最初に脳梗塞の分類を杉本先生に教えて頂いたときに、脳梗塞のタイプによって治療が違いますよってお話でしたよね。この使い分けというのはいかがでしょうか?
杉本:  心原性脳塞栓症の場合には抗凝固薬を使い、ラクナ梗塞やアテローム血栓性塞栓症の場合には抗血小板薬を使います。
豊田:  ラクナ梗塞の説明で、ある年齢になってMRIなどを撮るとたまたま見つかることが結構あると言われましたよね。 そういう方には抗血小板薬が処方されている可能性があったりしますよね。それは心臓からの大きな脳梗塞には効かないんですか?
杉本:  そうですね、効かないですね。
豊田:  同じ血液サラサラといわれる薬でも効かないということは、抗血小板薬を飲んでいるから心臓からの脳塞栓の予防になるかというと、 それはまた別の話ということですね?
 脳梗塞になるメカニズムが違うのでこっちを飲んでいても意味がないということになりますね。
杉本:  そうですね。はい。はっきり、予防できません。
豊田:  皆さんそういうことです。ちゃんと検査を受けて、自分がどういう形の脳梗塞になっているのかを知りましょう。治療がまったく違うわけですものね。
杉本:  そうですね、最初のうちに病型を分けておく必要があります。
豊田:  最初に脳梗塞をキチンと分類したっていうのはそういうことだったのですね。そうしないと、ただただお薬飲んでも、意味のないお薬を飲んでは意味がないですものね。
 しかし、効かないだけならまだしも、副作用としては出血し易くなりますよね。
杉本:  そうですね。はい。
豊田:
図17:心房細動と脳卒中
図17:心房細動と脳卒中
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 怪我をしたら血が止まりにくいということになりながら、病気には効かない薬を飲んでいたということになりかねませんので、 一度は専門医のきちんとした診断を受けておいたほうがいいかも知れません。はい、次お願いします。

 心房細動があるとないで脳梗塞のリスクが違うというのは先ほど勉強しました、ここに男性、女性って書いてありますけど、男女の差ってあるものですか?松田先生。
松田:  男性に多いんですけど、女性のほうがなったら脳梗塞になる率が高い…
豊田:  そうなんですか! 心房細動自体は男性に多いけど、脳梗塞になるリスクは女性のほうが高いってことですか?
松田:  心房細動になった場合は、リスク因子のひとつに相当しています。
豊田:  それは男女の差なんですか?
松田:  ということになるんだろうと思うんですけど、心臓の病気も男性の方がなりやすいですけど、なった場合は女性のほうが悪くなる。 ちょっと厳密な原因はよく分かんないですけど、そういう形で男女差はあるという風に言われています。
豊田:  ちょっと不公平な感じがしますが、気を付けなければいけないですね。
松田:  まあ、どちらがいいか悪いか問題になりますけど、男女どちらも気を付けられたほうがいいです。
豊田:  そして、年齢が高くなるほどなりやすいのですね?
松田:  はい、年齢はもう確実な危険因子ですので…
豊田:  じゃあ、女性のほうがだいたい長生きされますから、女性が高齢になって心房細動になると厳しいですね。
松田:  なってしまうと厳しいのかも知れないです。
豊田:
写真:豊田章宏さん
 その辺も気を付けて治療を受けていきましょう。心房細動は早く見つける。お薬をちゃんと飲むというお話でしたが、他に気を付けることってありますか?
 そうそう、心房細動のある方は運動とかしてもいいのですか? 脳梗塞予防のためには運動したほうがいいと思いますけど。
松田:  そうですね。心房細動の人は脈が速くなりやすいので、よく主治医の先生と相談しながら運動量を決めないと普通の方よりちょっと難しいです。 少しのことで脈が速くなる方とか、治療しているうちに逆に脈が多くなりすぎてペースメーカーがなくてはならなくなる人とかいろんなパターンがあるので、 運動もある程度はしたほうがいいとは思うのですけど、運動量については設定が難しいかなと…
豊田:
図18:心房細動と脳卒中の予防
図18:心房細動と脳卒中の予防
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 皆さん、予防のために運動するときには、どのくらいの運動量にするのかなども気を付けなきゃいけないようですね。
 もう一点、心房細動になって血液をサラサラにする薬を飲み始めたと、飲み始めたら一生飲み続けなければいけないもんなんでしょうか、 ある程度したら治っちゃうもんでしょうか?
松田:  基本的には飲み続けることになります。最近はカテーテルアブレーションっていう治療で心房細動自体を根本から治すという治療も発展してきてますので、 そういう治療が成功した方で中止する場合もあるとは言われてますが、基本的にはそういう方でも確実に不整脈が出ないかどうか分からないので、 一度心房細動って言われてしまうと、やはり脳梗塞というのはすごく重篤な病気で、その後の人生を変えてしまうので、 言われた時点で薬を飲むと考えて頂いたほうがいいかと思います。
豊田:  脳の専門の先生がたの立場でもそうですかね? やっぱり飲み続けて頂くようですか?
杉本:  基本的にはそうですね。最終的にはいろんな条件の方がいらっしゃるのでケース・バイ・ケースということになります。
豊田:  実はこういう質問もたくさん頂いておりました、血圧のお薬を飲み始めたけれど、止められるのか止められないのか?  飲み続けるべきなのか。このあたりもちゃんと主治医の説明を受けながら、基本的には飲まなきゃいけない薬だということをご理解ください。
 心房細動の治療には古くからワーファリンが使われてきました。いまはコントロールが楽な新しい抗凝固剤も出ていますけど、 大切なことはこういった薬をドクターの説明をキチンと受けて、正しく飲んでくださいということです。はい、次お願いします。

講演当時のものです)
 
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