豊田: |
さあ、それではみなさん、後半戦が始まりますので、お席のほうへお戻り頂ければと思います。
いま、言語療法の木村さんほうからいろんな体操などが紹介されました。皆様には今からいくつかの体操を体験していただきたいと思います。
お手元にイラストの書かれた紙が1枚入っていたと思いますが、これをご用意頂ければと思います。
それでは、中国労災病院で嚥下専門看護師として勤務している原さんをご紹介します。現場での嚥下のお話と、実際に体操を教えてもらいたいと思います。
原さんよろしくお願いします。(拍手)
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原 久美子 さん 中国労災病院看護部 摂食嚥下専門認定看護師*
よろしくお願いします。私は中国労災病院の7階西病棟で勤務している摂食嚥下障害看護認定看護師の原といいます。
今日は皆さんにお会いできることを楽しみにまいりました。今回、この講演の機会を頂いた豊田先生、スタッフの方、ありがとうございます。
豊田 : 原さん、どうぞ頑張ってやってください(笑)
(笑)今日は皆さんに、先ほど言語聴覚士の木村先生が嚥下体操についてお話されたので、皆さんと実際にやってみようと思います。
この嚥下体操のお兄さんの絵が描いてある資料を出してください。
まずは認定看護師についてお話したいと思います。労災病院には8分野8人の認定看護師、リソースナースが1人いて、合計9人で活動をおのおのがやっております。
嚥下体操とは何かというと、食べたり、飲んだりするときに、口の周りや舌、頬などの筋肉を使います。これらの筋肉を動かす体操のことです。
運動をする前に準備体操をすると思うんですけども、それは怪我をしないとか、どこかを傷めないために運動をスムーズにする準備体操なんですけど、
食事も一緒で、食事をする前に準備体操、この嚥下体操をすることで、食べたり、飲んだりすることをスムーズにする準備体操だと思ってください。
このスライドにある手を上げたり下げてる方の運動も準備体操、嚥下体操のひとつです。
それでは皆さん嚥下体操をしてみましょう。この紙に沿っていきます。これずっと私が写っているんですけど、木村先生に撮ってもらいました。
真正面だと写りが悪いんですけど、斜め45度で撮って頂いたら、髪型もいつもボサボサなんですけど、ちょっとちゃんと撮れてました。
先に口唇の運動として、第一のドアを閉じるということで、赤の○のところなんですけど、「パ」の発声練習をします。私が言うので皆さんも言ってください。
パッ。(会場「パッ」)
パピプペポ。(会場「パピプペポ」)
パッ、パッ、パッ。(会場「パッ、パッ、パッ。」)
この時、「パ」の発声練習が難しい方は、口のどこかが閉じてなくて空気が漏れていたりします。
食べてる時に、食べ物がこぼれたりとか、普段お話してる時に唾液が出たりするということは、「パ」の発声練習が難しい方です。
この「パ」の発声練習をすることで、口唇の周りの筋肉をつける運動のひとつです。
次は頬を膨らましてすぼめる訓練です。じゃあ、膨らませてみましょう。
膨らませてください。(原さん、思わずマイクを客席に向ける。会場もつられて口を膨らませる)
豊田 : いきなり会場にマイクを向けられてもですね・・・(笑)
しぼめる時は、梅干しを食べたときのすっぱい感じですぼめてみてください。(会場:くちをすぼめる)
では、膨らませてみてください。(会場、膨らませる)
膨らませたときに、空気が漏れて膨らむのが難しい方は、食べたりするときに、唾が端から出たりだとか、食べ物が出たりだとかする感じです。
この運動をすることで、少しでも口の周りの筋肉をつけて、こぼれたりとかするのを防ぐ体操のひとつです。
次は舌の運動で、舌は、さきほど横江先生も木村先生も言われてたんですけど、すごい大切な舌です。
舌は本当に、舌があるから食べることができると私はずっと思ってて、いつも患者さんに「アッカンベーして」って言ったり、「ベロを動かして」って言ってます。
まず舌を前後に「アッカンベー」してください。(会場、「アッカンベー」)
皆さんよく出てますね。上手ですね。
次は、舌を右の端に寄せます。(会場、舌を右に動かす)
いいですね。上手ですね。
次、左に寄せます。(会場、左に寄せる)
ちょっと余談なんですけど、ちょっとペコちゃんみたいに出たらいいんですけど、ここまでは難しいんですけど、可愛いので載せてみました。
次は、ベロを上にあげてもらって。(会場、さっそく上にあげる)
これ私、鼻のほうまでいってるかなと思ったら、意外とベロは上のほうにあまり上がらないんだなと思いました。でも皆さん上手ですね。
次は、「タ」「カ」「ラ」の発声練習です。「タ」と「ラ」は舌の先を使う発声で、「カ」は舌の奥、奥舌を使う発声練習です。じゃあ、私が言うので、皆さん言ってください。
タ、カ、ラ。(会場「タ、カ、ラ。」)
タ、タ、タ。(会場「タ、タ、タ。」)
カ、カ、カ。(会場「カ、カ、カ。」)
ラ、ラ、ラ。(会場「ラ、ラ、ラ。」)
ちょっと「パ」も追加して、
パ、タ、カ、ラ。(会場「パ、タ、カ、ラ。」)
皆さん、上手ですね。もう一個いいですか。
パンダのタカラもの。(会場「パンダのタカラもの。」)
皆さん、上手ですね、ありがとうございます。
次は、軟口蓋の挙上、第二のドアを閉めるということで、軟口蓋というのは上あごをベロでなぞってもらうと、最初は硬いんですけど、
奥に行くとやわらかくなるところがあると思うんです。分かりますかね。やわらかいところが軟口蓋というところです。
その軟口蓋が上がらないと食べる時に、食事中に鼻水が出るとか、鼻に上がったような感じがするとか、
横江先生の動画にもあったんですけど上がってる感じがあったり、あとお茶が出たりだとか、食べ物が出たりするという症状が出ます。
その症状を訓練するブローイング(深呼吸)をします。
鼻からゆっくり息を吸ってもらって、口から細く長い息を吐きます。(会場もすでに一緒にやっている)
では、もう一回やってみましょう。
鼻からゆっくり息を吸ってもらって、(会場も一緒に…)
口から細く長い息を吐きます。(会場も一緒に)
他にも、さきほどの木村先生のスライドにもあったんですけど、ペットボトルにストローを挿してブクブクブクブクってする運動や、
結構肺活量を使うんですけど。あと吹き戻し、百円均一とかにも売っていますので、軟口蓋の挙上の運動にも適していますので、
もし百均とかにいったら買ってもらって、家でも練習してもらったらいいと思います。
第三のドアを閉じる、声帯を閉じるということで、断続発声。
短く「アッ、アッ、アッ」と言ってもらうことで声帯が閉じる運動になります。では皆さん、私が言うので言ってみてください。
「アッ、アッ、アッ」(会場「アッ、アッ、アッ」)
「アッ、アッ、アッ」(会場「アッ、アッ、アッ」)
皆さん上手ですね。次いきます。
これは、声帯を閉じるということで、プッシング。(演壇に向かい両手を付くしぐさをして)壁がないのでこれを使って、押して、壁を強く押してもらって、
「アッ」って言ってもらうんですけど、皆さん座っていて出来ないんですけど、家とかで立ってやってみてください。これも私なんです、ちなみに。
豊田 : 壁を押しながら「アッ」って言うんですね。
はい。壁を押して「アッ」って言ってもらったらいいです。壁を押すと同時に…
豊田 : 押しながら?…
押してもらって「アッ」…。病院だったら他の患者さんがいるので、病棟ではあまりしてないんですけど。
次がプリング。皆さん座っておられるので、腰を掛けてもらって座板を全力で引き上げながら「アッ」って強くやってみてください。(会場、一緒に)
そうですね。そうです、そうです。上手ですね。そうです、そうです、いいですね。声が出てますね。いいですね。
これは、気管の入口、喉頭を上げる運動で、シャキア法って言うんですけど、仰向けで寝てもらって、私、この下なんですけど、あの、上のお姉さんを見てください。私、あんまりいい例じゃないので。
豊田 : なんか、下の写真はひきつってますね。(笑)
ちょっと出来なかった、私(笑)
両肩を床につけてもらったまま、つま先を見てもらうんですけど、結構大変ていうか、しんどいんですよね。私、結構患者さんに「してください」というだけで、実際やったら出来なかったんで、ちょっと患者さんには申し訳なかったなって思いました。自分が出来ないことを患者さんにさせるっていうのを…
豊田 : 原さん、この体操のポイントは肩は床に付けたままなんですね。
肩を付けないと、それがポイントなんですけど、肩を付けてあげるというのがポイントです。
豊田 : 首だけグーッと前に起こす形、つま先を見つめる形ですね。
上のお姉さんみたいな形で上げてください。
猫背の方とか、前かがみの方は、寝たままだったら訓練が出来ない、難しいので、そのまま上がってるので…
豊田 : 背中が曲がった方だったら、確かに難しそうですね。
座ったままで出来るおでこ体操があります。これは、この紙に、最後に付けさせてもらったんですけど、これは、写真は一人でしてますけど、
お互いに、隣同士で、どちらかの方がおでこに手を当ててもらって、下を向いて力を入れてもらう。お互いでもいいと思いますし、
家でやるんだったら家族の方にしてもらったりして練習してみてください。
次、発声練習です。発声練習は、新聞とか、好きな本とか、雑誌とか、声に出してもらうというのも必要なんですけど、私は歌を歌ってもらおうかなと、
今日思ってます。ちょっと口が開きにくいなあって方は、あごの練習として♪あんたがたどこさ♪とか、皆さんご存知だと思うんですけど、
♪アイアイ♪とかがいいです。口の端から食べ物がこぼれたり、つばが流れるということで、口唇の運動のために、♪鳩ポッポ♪か♪汽車ポッポ♪とかがいいんです。
ちょっと皆さんに歌ってもらおうと思います。
あごの運動として、♪あんたがたどこさ♪を今から歌いますので、この赤字の「さ」のときに口を大きく開けてみてください。
ちょっと私が2行ぐらい、歌は音痴なんですけど聞いてください。歌いますので「さ」の時だけ口を大きく開けてください。ちょっと2行ぐらい歌いますね。
あんたがたどこ「さ」 ひご「さ」 ひごどこ「さ」
こういう風に歌います。皆さん一緒に、ちょっと知らない方もおられるかも知れないですけど、一緒に歌いましょう。
あんたがたどこ「さ」 ひご「さ」 ひごどこ「さ」 くまもと「さ」 くまもとどこ「さ」 せんば「さ」 せんばやまにはたぬきがおって「さ」 それをりょうしがてっぽうでうって「さ」 にて「さ」 やいて「さ」 くって「さ」 それをこのはでちょっとかぶせ♪
拍手してください(拍手)
みんな思ってたより歌ってくださって嬉しいです。豊田先生に歌ってもいいですかねって聞いたら、どうぞどうぞと言われたんで、ちょっと歌ってみました、
私の音痴の歌を聴いてもらって。で、次は♪鳩ポッポ♪で口唇の運動なんですけど、これはちょっとアレンジしてるので、発声練習をしましょう。
じゃあ私が言うので、皆さん言ってください。2行ずついきます。
ぽっ ぽっ ぽっ 鳩ポッポ(会場「ぽっ ぽっ ぽっ 鳩ポッポ」)
ぽぽ ぽぽ ぽっ 鳩ぽぽ ぽ(原さん、咳き込み爆笑を誘いながら会場「ぽぽ ぽぽ ぽっ 鳩ぽぽ ぽ」)
すいません
豊田 : 原さん、今のつっかかりは嚥下障害ですか?(笑)
口がカラカラなんですいません(笑)
3つ目いきますね
ぽっぽ ぽっぽ ぽっ 鳩ぽっぽ ぽ(会場「ぽっぽ ぽっぽ ぽっ 鳩ぽっぽ ぽ」)
ちょっと難しいですね。次、4つ目いきますね。
ぽぽぽ ぽぽぽ ぽ 鳩ぽぽぽ ぽ(会場「ぽぽぽ ぽぽぽ ぽ 鳩ぽぽぽ ぽ」)
拍手!皆さん上手です。(拍手)
豊田 : 原さん、これ最後もう鳩ポッポじゃなくなってますよ(笑)
そうなんですよ。ちょっとアレンジしてますから(笑)
次もまた歌を歌ってもらうんですけど、飲み込みに時間がかかるということで、舌がうまいこと送り込みが難しかったりすると飲み込みに時間がかかったりします。
そういうときには舌の運動として♪兎のダンス♪が有効だと言われています。あと食事中に鼻水が出たりだとか、お茶が上がってくる感じがするという方は、
軟口蓋の挙上がうまくできてないので、♪かえるの合唱♪がいいと言われていますので、皆さんに歌ってもらいます。
では、♪兎のダンス♪を皆さん歌いましょうか。
いきますね。この赤のところが「タ」と「ラ」が舌の運動にすごい適していますので、ここの赤のところを主に歌ってください。私も歌いますので。
(会場も一緒)ソソラ ソラソラ うさぎのダンス タラッタ ラッタ ラッタ ラッタ ラッタ ラッタ ラ 足でけりけり ピョッコ ピョッコ 踊る 耳に はちまき ラッタ ラッタ ラッタ ラ♪
ちょっともう一回歌いましょうか。ごめんなさい。
豊田 : いやもう十分いけてますよ。次をお願いします。
いいですか。皆、拍手してください。(拍手)皆さん上手です。
次は舌の奥の運動の♪かえるの合唱♪です。
(原さんが歌い始めると会場も合わせて歌い出します)
かえるの歌が 聞こえてくるよ
(原さん、まるでコンサート会場のように会場にマイクを向けた)
クワッ クワッ クワッ クワッ ケケケケ ケケケケ クワッ クワッ クワッ♪
豊田 : これ、子供の頃によく輪唱してましたが、輪唱しなくていいですね?(笑) 十分出来てましたね
十分出来てます。拍手します。(拍手)
最後になんですけど、食べたり飲んだりするときに、のどに食べたものが残ってるなというときがあると思います。
その時は一度ごっくんと飲み込んだあとに、もう一度唾液でごっくんとしてもらうと、のどに残ったものがなくなるという複数回嚥下っていう方法もありますので、
また覚えておいてください。
お知らせなんですが、10月27日木曜日に中国労災病院1階外来ホールで9時から15時に認定看護師フェアを開催します。
相談・体験コーナーが4つありまして慢性心不全看護認定看護師による血圧計の正しい測り方。皆さん測ってると思うんですけど、
あと感染管理認定看護師による日常に役立つ感染対策。いまからの季節、インフルエンザとか流行りますので、手洗い方法をすると言われてました。
あと緩和ケア認定看護師によるがんに関連した相談。私が歯磨き相談とか入れ歯・義歯の相談とかしたいと思っています。
もし10月27日に労災病院に診察された方とか、お見舞いの方、親戚の方が入院されててお見舞いに来られた時に、ちょっと寄ってみようとか、
もし興味がある方はお越し頂いたらとても嬉しいです。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
豊田: |
最後に認定看護師フェアのコマーシャルまでしてもらいました、行けばなんか景品とかもらえるのですか?
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原: |
(絶句)いや
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豊田: |
原さんの歌ぐらいは聞けますかね?(原さん、困惑)
はい、ありがとうございました。(拍手)
発声練習は大事だということがよく分かりました。会場には本格的な歌声の方が何人かいらしてましたが、
皆様も歌を歌って、しっかり声を出して、のどを使ってくださいね。
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(*講演当時のものです)
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