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院長挨拶

院長 栗栖 薫

皆さん、こんにちは。院長の栗栖 薫です。令和5年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。令和2(2020)年4月に赴任しましたので、あっという間に3年が過ぎました。この3年間の殆どが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応でした。その世界的流行(pandemic)が当院の運営にも大きく影響し、まさにコロナに明け、コロナに暮れた3年間でした。当院も各感染の波に応じ、一般病床を感染病床に変更し、また、呉・江田島地区の療養前診察によるトリアージを積極的に行ってきました。当院においてもオミクロン株の感染によるクラスター発生を経験し、多くの患者さんと職員が罹患しました。しかし、診療体制に大きく影響を受けながらも、全ての部署の協力により結果的に何とか乗り切ってきました。連携医療機関の皆様にもタイムリーにFAX等にて状況をお伝えしてご理解とご協力をご依頼申し上げました。このような対応を暖かく受け止めて下さり感謝申し上げます。

5年前の線状降水帯の影響による集中豪雨災害時の教訓から、BCP(Business Continuity Planning)を学びました。BCPは、自然災害などの際、その組織が本来持っている機能の障害を最小化し、活動を継続していく対策を意味します。また、その後、レジリエンスresilienceという言葉が頻回に使用されています。これは、復元力、回復力、強靭さ、などを意味します。組織においても個人レベルでもこれらの言葉の意味合いを強く意識することとなり、今年の当院の仕事始め式では、強いレジリエンスを発揮する組織、個人になろう、と呼びかけました。

感染症に対する対策の基本は、その感染症を「発生させない・拡げない」、に尽きると思います。広島でG7首脳会議が開催される前に、新型コロナ感染症の感染症法における位置づけが2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類に移行されます。しかし、基本的対策に変更はありません。マスク着用の基本は、「飛沫を飛ばさない」咳・くしゃみエチケットです。1)手洗い・うがいを実践する、2)正しくマスクを使用・着用する、3)乾燥から喉・鼻を守る、4)体調を崩さない、です。

さて、昨年令和4年の世相を表す言葉として「戦」が選ばれました。残念なことに、ロシアのウクライナへの侵攻が始まり1年が経過し、双方に多くの犠牲者が出て、物流や資源活用の停滞などから世界経済を巻き込んで非常に大きな影響が続いています。とにかく戦争が終結し、安全・安心な生活が一日でも早く訪れることを願うばかりです。

内視鏡センターが充実・拡張して、「内視鏡検査・治療センター」として診療開始となりました。ところが、まだ十分に地域の皆さまにご利用して頂けていないようです。検査中にしんどい思いをされる患者さんに、鎮静を行って検査後少しお休み頂ける対応も可能となりました。また、検査を依頼されたその日のうちに大腸などの下部消化管の検査も実施可能となりました。患者さんにとってより利便性の高い診療が可能になっております。

「総合実習・研修センター」が発足し、この原稿を書いている令和5年2月下旬は急ピッチでそのセンターの改修工事が進められています。当院は医学・医療系の学生さんの実習や、国家試験に合格した研修医や医療職、あるいは救急救命士の研修などを積極的に受け入れています。今年度も初期臨床研修基幹施設として定員の8名がフルマッチしました。広島大学病院とのたすき掛けの研修医と合わせて、2年次と合わせると結果的に18名で初期臨床研修を行うことになりました。新潟大学医学部卒業予定の研修希望者もおり、全国からやる気のある研修医が集まっています。これまでもそうでしたが、病院あげて臨床研修医の育成に取り組んでいきます。

外科領域では侵襲度を低減して内視鏡手術が発展して参りました。加えて、細かい操作をより確実に行うためにロボットが内視鏡手術を支援するシステムが普及して参りました。新たに「ロボット手術センター」を手術室内に設置し、昨年の7月に呉医療圏では初めて、県内では2台目になる純国産の内視鏡手術支援ロボットであるhinotori™を当院に導入し10月末から実際の手術を開始して、順調に安全に確実に前立腺癌摘除術が進められています。外科や婦人科の領域でも近い将来対応可能ですので、担当される先生方の研修を進めているところです。また、「遠隔医療」を積極的に取り入れました。まずは脳神経内科による頭痛やパーキンソン症候群を対象にして、患者サポートセンターの中に専用ブースを設けて開始しました。医療におけるDXも当院は進めています。

元来、救急医療、高度専門的医療、周産期医療の3本柱を当院の特色として診療して参りましたが、4本目に(独)労働者健康安全機構の病院たる所以である、「治療と仕事の両立支援」をいれました。疾患を持ちながらでも、そのコントロールを患者さんと一緒にしっかり行い、できるだけ通常に近い状態で生涯を過ごして頂けるように、我々中国労災病院の職員もチームワーク宜しく支援させて頂きます。

令和5(2023)年度の開始にあたり、本年度の当院の抱負を述べさせて頂きました。

引き続き、本年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。

独立行政法人労働者健康安全機構 中国労災病院
院長 栗栖 薫

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