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【講演4】
退院後の生活について
トップページ第22回講演会>【講演4】退院後の生活について

豊田: 豊田章宏  ここまでいろんな話がありましたけど、どうですか? 我々元気な時には、病気になった時のことをあまり考えていないですよね。 でも、もしもなった時にはどうするか、本当は家族とよく話をしておくことが大切なのですが、なかなか機会がないのが現状でしょう。
 うちの両親も90歳を越えましたけど、自分では歳をとったつもりはないんですよね。「最近どんな?」って聞いたら「最近えろうなった」と言いますので、「何が?」と聞いたら、 「物忘れがえろうなった」って答えています。でも、もしもの時はどうしたいのかとか、高齢になってどういう暮らしがしたいのかっていうことを普段から話をしておくべきですね。 できるだけ家で暮らしたいんだとか、施設の方が楽でいいんだとか、そういった話し合いができることが一番大事なのかなと思います。 最近テレビのコマーシャルでも、「万が一、私ががんになったらどうする?」「やめてちょうだいよ、考えたくないわ」というのがありますよね。 がんは万が一じゃなくて二人に一人だっていう時代ですから、いつ自分がなってもいいように備えておくことが大事だということですね。
 さあ、それでは後半の話へ入りたいと思います。リハビリテーションの話まで来ましたけど、自宅退院のあと、どういう生活をしていくかという話に入ります。 さっき、退院してからもリハビリテーションをすぐやんなきゃだめですよって話がありましたが、そういった退院後の療養生活について、 ほっと・はぁとステーションてのひらの所長さんであります越部さんから、お話を伺いたいと思います。それでは越部さんよろしくお願いいたします。


写真・越部恵美さん 越部 恵美 さん
ほっと・はぁとステーションてのひら 所長



 はい、よろしくお願いいたします。皆さん、こんにちは。よろしくお願いいたします。(拍手)あ、ありがとうございます。私は広本町に事業所があります 「ほっと・はぁとステーションてのひら」という訪問看護ステーションと「居宅介護支援事業所てのひら」という介護保険をサポートする事業所で管理者をしております越部と申します。 私のほうからは、「退院後の生活について」という点について、訪問看護師の立場とケアマネージャーの立場からお話をさせて頂けたらと思いますのでよろしくお願いいたします。
図1:本日の内容
図1:本日の内容
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 本日私がお話させていただく内容なんですが、退院後の生活で必要なことってどういうことだろうか、っていうことと、あと、利用できるサービス、 支援ってどういうものがあるのかなっていうこと、不安なときどうしたらいいの?っていう点についてです。皆さん、一番心配なのは、帰らなきゃって思うときに、 でも帰れって言われても何から準備すればいいんだろう、どうしたらいいんだろう、実際にリハビリもあるし、これからどういった環境を整えていったらいいんだろうって、 なかなかイメージしにくいところがあるかと思いますので、そういったところを考えていくヒントを盛り込んでいけたらと思っておりますので、お願いします。
図2:退院後生活で必要なこと
図2:退院後生活で必要なこと
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 まず、退院後の生活で必要なことについてですけども、そろそろ退院を考えないといけないので準備をしていきましょうねって病棟の看護師さんや先生から言われた時に、 どういうふうに皆さんは考えられるでしょうか。えっ、今から帰るってどうしたらいいんだろう、どう考えていったらいいんだろう、まだ麻痺も残ってるし、 リハビリだってまだまだやっていかないといかないのに、先ほどの先生のお話にもありましたように、6ヶ月間は回復するのにかかるのに、 もうこんなタイミングで退院されてこれからどうしよう、っていうことで、本当に途方に暮れる状況に陥りやすい状態になるのではないかと思います。 実際に私が関わらせて頂いているご利用者の方も、相談受付時、実際に私たちが相談を受けるときっていうのは、「何が必要なのか分からないんです」とか、 「どんな生活になるんだろう、聞きたいこと聞かなきゃいけないことってどういうことなんだろう、何が分からないですかって言われても分からないことが分からないです。」 「何を整えたら生活できるかなんて帰ってみないと分からないじゃないですか」っていう形で、本当に不安をおっしゃられる方がほとんどです。
図3:どんな自分でありたいですか
図3:どんな自分でありたいですか
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 まず、病気の発症から治療の急性期病院、先ほどから急性期、回復期というお話がありましたが、病気の発症から治療の急性期病院を経て、機能回復を目指して機能訓練、 リハビリを行う回復期病院、先ほどリハビリをしっかりしていくといったところがありましたが、そこから今度、自宅に退院して病気や障害と向き合いながら療養生活を送る生活期という流れで経過していくかと思いますが、 生活期ではなりたい自分はどんな自分だろうということ、ご自身とご家族がしっかりと考えて自己選択、自己決定していかなければならない場面がたくさんあります。 分からないんだから教えて欲しい、どうしたらいいんだろう、何を考えていったらいいの?と言われても、それぞれどんなふうな方向で、自分自身の人生ですから、 そこをどのように調整していくが、どんな選択をしていくかっていうことは、人任せではなくて、やはり自分自身でしっかりと考えて前に進んでいかなければならい状況となります。 なので、病気になってからいろいろなことを考えるのではなかなか先のことが考えられない状況の中で、日頃から何かこういうことがあったときにはどういうふうにしていくのか、 どんなことを誰と相談していくのかっていうことを元気な時から考えていくっていうのも大事ですし、そういうふうな状況になった時には誰とどういう相談をし、 どのように考えていきながら、先ほど自立支援ということがあったかと思うんですけれども、この自立には自分がする自立だけでなくて自己決定という自律も入っています。 そこで自分自身がどういうふうな生活をしていきたいか、どうなっていきたいかっていうことを、やはり自分で選択をして決定をしていかなければならない状況があります。
図4:どんな自分でありたいですか
図4:どんな自分でありたいですか
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 皆さんはどんな自分でありたいですか? ちょっと頭に思い浮かべていただけたらと思います。何か病気になったとしても、お料理はずっと続けられるようにしっかりと機能を維持していきたいな、 お孫さんと一緒にこういうふうに遊ぶ時間は取りたいな、自分の趣味については継続していきたいな、運動もいろいろな友達とサークル活動にも参加していきたいな、 そのためにもやはり自主トレーニング、訓練をしていかなきゃいかないし、リハビリも頑張っていかないといけないな、でも、それでも難しいところは何らかのサポートを受けながら自分で自分らしく過ごすことを考えていきたいな、 それぞれのイメージされる状況っていうのがあるかと思います。で、このイメージされる状況っていうのは、今思われている状況と、実際に何らかのご病気になられたときに、 どういった障害がご自分の体に生じているのかっていうことによっても、また支援の在り方とかなりたい自分の目標っていうものは違ってくるかと思います。 だけれども、ここで考えていかないとならないのは、どんな状況だったとしても自分自身のありたい姿っていうのは常に思い浮かべておくということが大事ですし、 それを伝えておくということも大事なことになります。自分の生活、自分自身の尊厳を考えたときに、こうなりたいんだということを、人からこうしてください、 ああしてくださいと言われてなかなか頑張れない、こんなに頑張ってるのに何でそんなことを言うの、って言われるかと思うんですけども、こうなりたいんだっていう自分があるときには、 そんなツラいハードルを乗り越えるだけのエネルギーが湧き出たりすることもありますし、そのエネルギーが湧き出るために周りはサポートをしていくためのいろいろな支援をすることができますので、 やはりそういったところを考えていかなければなりません。
図5:介護保険の申請について
図5:介護保険の申請について
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 じゃあ、実際に何らかの障害が起きた、何かの支援を受けなくてはならなくなったというときには、介護保険という制度をよく耳にすることがあるかと思うんですけれども、 実際に介護保険の申請を周りの方がしておられる、自分自身ももう申請をして実は予防給付なんです方もこの中にはおられてだと思うんですけれども、 少し介護保険について聞いてはいるんだけれども詳しくは知らないなという方のために流れを説明させていただきますと、まず要介護認定、要支援認定の申請を行っていきます。 何らかのサービスを使いたいなと思った時には、ベッドを借りるにしても、ヘルパーさんに来ていただくにしても、何らかの介護認定というものを受けないと利用することができませんので、 ここで申請を行っていきます。これについては市役所の介護保険課のほうに手続きをしに行ったり、各地域の支所のほうで手続きをすることもできます。 そうすると調査員の方が入院中であると病院のほうに来られますし、お家で過ごされている方については在宅の方に調査に来られます。 で、そこの調査の一次判定という部分とかかりつけの先生の意見書、必ず自分のかかりつけの先生の意見書というものを頂いて、 それらを基に認定審査会があって要介護認定というのがおりてきます。だいたいこの認定結果が出るまでに、申請をしてから結果が届くまで1ヶ月と言われています。 じゃあ1ヶ月の間に退院もしなくちゃいけないのにサービスが使えないのかって言ったらそうではなくて、暫定プランといってだいたいこのくらいの認定かなということで前倒しでサービスを使っていくこともできます。 なので、そういったところの中で、もう帰らなきゃならないって言った時に、まず取り急ぎ調整が必要なことってどういうようなことなのかな、 これは後でも大丈夫かなっていうことについても一緒に話をしていきながら、まず優先度の高いところからどんどん調整を図っていくことが必要になってきます。 そういった中で要介護1から5と認定を受けられた方については居宅介護支援事業所という事業所で、居宅サービス計画というケアプランというものを作成してサービスを利用していただくようになりますし、 要支援1、2という方については地域包括支援センターっていったところが介護保険の窓口になりますのでそちらのほうでプランの作成をいたします。 で、要支援1、2の方の地域包括支援センターっていったところについては、ご自分の居住地のエリアの包括、呉には8か所の地域包括支援センターがあるんですが、 この広地区であればこの建物の3階にある東部地域包括支援センターになりますが、呉の中央であれば中央地域包括支援センター、焼山であれば昭和であるとか、 宮原、警固屋であれば宮原・警固屋、天応、吉浦であれば天応・吉浦ってところにそれぞれ包括がありますので、予防の方については管轄が決まっています。 ただ、介護認定を受けられた要介護1から5の方については、居宅介護支援事業所っていうのは、自分たちがここの事業所にお願いしたいっていうところ選ぶことができます。 で、呉の中に何か所あるかなっていうのを私も呉市のホームページで数を数えてみたら呉市内の中には71か所の居宅介護支援事業所がありますので、 一覧表をホームページでも見ることができますし、支所なんかでも見せていただくことができますし、逆に認定が下りた時にそういった一覧表が同封されて送ってくるんですけれども、 その中から事業所どこにしようかなっていうところ決めることができますので、どういったところがどんなことをしてくれるのかなということを知っておくということ、 周りからいろんな情報を聞いておくというのもとっても大事なことになってきます。そして、そういったところのケアマネジャーと一緒に相談していきながらサービスのプランを立てて実際に利用してくという流れになっております。
図6:介護支援専門員
図6:介護支援専門員
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 で、先ほど介護支援専門員と言いましたが、介護保険法におけるケアマネジャー、イコール、ケアマネジャーが介護支援専門員、ふたつの名前が出てきますが同じです。 なので、ケアマネジャーは要介護認定を受けた方、要支援認定を受けた方々が自立した日常生活を営むのに必要な援助について専門的な知識や技術を有する者でありますので、 そういった者がいろいろなお身体の状態の相談に乗りながらケアプランという介護サービスのプランの組み立てを行っていくというふうな状況があります。
図7:生活環境の調整
図7:生活環境の調整
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 で、先ほどから、脳卒中の場合、いろいろな麻痺が出てきたときに、さっきの起居動作、立ったり座ったりとか、寝たり起きたりとか、というときに、どういうふうにしたら起きやすいかな、 そこに自立って入ったときに、自分ひとりでしようと思った時には、どういうふうな環境を考えていかなければいかないかなって考えたときに、こういったベッドですね、福祉用具のレンタル。 で、このベッド、特殊寝台というものになるんですが、それについては要介護2以上だったらそのままプランに位置付けることができますが、要支援1、2とか要介護1の場合は、 先生の意見書やサービス担当者会議で介護保険のサービスを利用されるか、もしくは自費レンタルと言う形での借り方になってきますので、 で、なぜそれが必要なのかということが明確に定義づけられれば介護保険で借りることもできますので、そういった話し合いを行っていくことも必要になります。 で、夜間だけでもポータブルトイレ、ベッドの横にトイレを置かないと夜に再々起きたり寝たりで体が冷えて寝れないわとか、夜に転倒しそうだからっていう場合にはこういったトイレを設置したり、 廊下に住宅改修で手すりを取り付けることもできれば、工事はできないから、っていう場合には据え置き型、天井から突っ張るタイプとか床から置くタイプの手すりを置くこともできますし、 状態によってはエアマットといいて床ずれの予防マットであるとか、エアマットまでは要らないんだけれども痩せちゃって骨が当たって痛いんだっていう場合は褥瘡予防マットというものを借りたりっていうこともできます。 実際に家のサービスだけじゃなくって、デイケア、先ほどありましたように、外に出て行ってリハビリをするサービス、デイケアっていうのがリハビリ、 デイサービスっていうのはレクレーションとかっていう形になっていくんですが、そういった外に出るサービスを利用されたり、また車いすを借りたりといったところで、 いろいろな生活環境を調整していくということを考えながら、そこでもサービスをあてがうということではなくて、こういう生活がしたいからそれをかなえていくためにどういった環境を整えなくてはいけないか、 どういった用具を使っていかないといけないか、それについては必要なくなるかも知れないからレンタルのほうがいいか、 これは住宅改修でしっかり取り付けてずっと使い続けていくものだからっていう形で使っていったり、それぞれ適用になるもの、ならないものっていうものがありますので、 いろいろな状況を伺いながら調整をはかっていくことが大事になっていきます。
図8:体調面のサポート
図8:体調面のサポート
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 そしてお身体の面のサポート。せっかく治療をしてリハビリをしてお家へ帰ってこられたんですけれども、そこで再発をしないための病状管理も大事になっていきます。 そして、いろいろな合併症とか二次障害の予防も必要ですので、体調面の管理で定期的な通院の継続であるとか、どうしても障害の部分が重くなって通院が難しい場合は、 訪問診療といって先生に来ていただくような形をとっていただくとか、実際に看護師が訪問して体調管理であるとか、お薬の管理や相談、お身体の皮膚の状態とか、介護相談であるとか、 いろいろなことの相談にのったりすることのできる訪問看護という、私たちの事業所なんかもそうなんですけれども、そういった訪問看護の導入についての検討であるとか、 薬剤師さんが自宅にきてくれる訪問薬剤管理、お薬の相談をのってくれたり、先生から処方された薬をわかりやすく組んでカレンダーとかに入れて一緒に薬の飲み忘れがないか確認をしてくださったり。 あとですね、お口のケアとして訪問歯科診療、先ほど誤嚥であるとか肺炎予防とかありましたが、お口のケアはとっても大事になっていきます。 なので、そういったところでの訪問歯科診療を検討したりと、健康面でのサポートを組み立てていくということは、リハビリと同時進行でとても大事なことになっていきます。 あと嚥下の問題で胃瘻ですね。これ絵なのでちょっとわかりにくいかも知れませんけれども、お腹に管が入って栄養がいくといった場合には、胃瘻の管理のサポートとか、 嚥下の訓練であるとか、このような胃瘻を誰がどういうふうに管理していくのかということについても考えていかなければならない状況があります。 胃瘻というと様々なイメージがあるかと思うんですけれども、やはり年齢とか障害の状態と様々な背景はありますが、実際に私が関わらせていただいてる方でも、ご家族とが準備とか手伝って、 ご自分で接続して注入開始という形で管理をしておられる方もおられます。で、それはどこまでがご自分でできてこれは難しいかなっていうことを相談していきながら、 難しいことを全部が全部ご自分でやってくださいねっていうことではなくて、やはり安全に継続していけるとうことも踏まえて上で、誰がどういうふうにしていくのか、 どういうことなら可能なのかていうことを考えていくということが大事になってきます。
図9:リハビリの継続
図9:リハビリの継続
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 そして、先ほどもリハビリは継続が必要ですって、一日も休むことなく回復期でもリハビリをやっていきますよって話があったんですけれども、 先ほど1週間経ったらずいぶん機能が落ちますという話があったんですが、やはりお家に帰ってからすぐリハビリが継続できるように、お家で自分ひとりではなかなか難しいなっていう場合には、 先ほどの通所リハビリという形で通っていくリハビリもあれば、そうはいってもお家の環境、自分の生活動作、生活リハビリっていうのも大事なので、 日常生活動作のなかでどういうふうな訓練をすればいいのかなっていうことを実際にお家に来ていただき、訪問リハビリで生活に即したリハビリを継続するという方法もあります。 そして訪問看護によるリハビリなんですけれども、訪問看護ステーションという事業所には看護師はもちろんいるんですけれども、事業所によっては理学療法士とか、作業療法士とか、 言語聴覚士が所属するステーションがあります。そういったところから訪問看護の位置づけでリハビリを計画していく場合もありますし、 看護師自身がそういったところで連携をはかりながら行うリハビリというものもあります。それは本当に、お身体の状態とか、地域の資源の状態とか、 実際にどこをどう目指していくのかっていうことで、調整をはかりながら整えていくということが大事になってきます。そして何よりも自主トレーニングです。 実際にサービスで受けられる時間って限られた時間になってきますので、残りの時間をご自分でどういうふうに継続していくことが必要なのか、 どんなことだったらやっていけるのかっていうこともしっかり考えて取り組んでいかなければならないという状況があるかと思います。
図10:生活面のサポート
図10:生活面のサポート
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 そして生活面のサポートといったところでは、訪問介護ですね。ヘルパーさんの部分については介護保険でできるサービス、そして介護保険外で、 介護保険というのは結構いろんなくくりがあるのでできることできないことっていうのがやはりあります。なので、保険外で自費でできる支援もありますので、プラスアルファ実費で、 やっぱり実費でもお願いしたいっていう部分については実費で、もしくは有償ボランティアという位置づけで訪問介護事業所が設定しているサービスというものもあります。 なので、こういった介護保険のサービス、介護保険外のサービスっていうのは、地域の情報っていうのはなかなか自分だけでは集めにくいところがあるかと思いますので、 ケアマネジャーに相談していきながら、こういうことはどうだろうか、こんな資源はこの地域にないだろうかということを相談していって、 そこで実際にどこにお願いしていくかというふうなところはサービスで組んでいく、ここは実費でここは介護保険でといったところの組み立てをしていきながら生活を整えていくということが必要になります。 そして介護保険外の部分としては、ご近所さんとの関わりというものが、やはりとても大事になってくると思います。今は介護保険、 本当にサービスだけではなかなか賄っていけないことがたくさんなので、インフォーマルサービスといって地域の力をどのように発掘していくかといことが注目されています。 日頃からいいご関係の中で、地域がそんな介護保険のサービスを使わなくても声かけたら助けてくれるよという地域もあれば、 なかなか声かけにくいよねという地域もあるかと思うんですけれども、そういった地域の中でも、やはり日頃から声が掛け合える関係性、ここは難しいけれど、 ここだったら声かけれるかなっていう関係性を作っていく地域づくりがとても大事になっていきます。これはリハビリとか、介護保険とかのことだけではなく、 生活をサポートするという意味でもとても大事になっていきます。7月の豪雨災害のときに、実際に被害が大きかった地域、 なかなか救助が来るよりも自分たちで警報があったときに逃げなければならないといったときに、話としてよく伺ったのが、 地域で声を掛け合って避難所まで行くのは危険だからここに逃げよう、ここの家にみんな集合しよう、このルートは危ないからこっちに行こうということを、 まず声を掛け合って逃げたということをよく伺いました。本当に避難指示で避難所まで行ける方ばかりではない中で、そこでは地域の中で、 あそこにはちょっと声を掛けて手助けしなきゃいけない人がいるから、とにかく声を掛け合ってこうしていこうということが日頃からできる環境をどう作っていくかということが大事になってきますので、 なかなかご病気になられたときに近所の方に知られたくないって思いは強いかと思いますが、だけれどもそういったところでちょっと声を掛けていったりというような中で日頃からそういう声かけやすい関係性を作っておくということはとっても大事なことではないかなというふうに感じております。
図11:不安が大きい時
図11:不安が大きい時
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 ただ、そうはいっても不安が大きい時っていうのは、やはりひとりで悩まずに、自分たちだけで悩まずに、しっかり相談していくということが大事になっていきます。 退院前に調整できることはしっかり調整していく。先ほど、病院の認定看護師さんのほうから、退院の時には退院調整看護師さん、メディカルソーシャルワーカーさんですね、 医療の相談員さんであるとか、退院につなげる窓口のほうで、これからの生活について考えていきますよっていう話があったかと思うんですが、 そういったまず入院中は病院の外につなげる窓口に相談していきながら、じゃあ、自分たちの地域、自分自身はここのところにお願いしたいといったところの事業所をまずそこで見つけてもらって、 病院のほうで退院前のカンファレンスの場を設けて頂いて、で、実際に家に帰るまでにどんな準備をしておかないといけないのか、環境のことであれば、福祉用具のこと、住宅改修のこと、 で、すぐに入らなきゃいけないサービスのことっていうことについての話し合いをしっかりしていきながら、帰ってからの調整では、ずいぶんと遅くなってしまうことがありますので、 入院中に取り組まなければいけないこと、そして、家に帰ってから途切れることなく継続して支援ができる体制を考えていくことが大事になっていきます。 そして、帰ったときに相談できる対象者っていうのは誰かじゃないといけないということではなくって、やはりケアマネジャーや訪問看護、主治医の先生、 そして関わっている関係職種の方にしっかりと伝えていくということが大事になっていきます。こんなこと言ってもなあって思って、話をされないと、 大丈夫なのかなっていうふうに判断される場合もあります。だけれども言葉にして伝えることによって、ああこんなことに困っておられたんだ、こんなことが心配なんだっていうことで、 そこの調整に動くことができます。そこの発信するというのは自分自身の自助の部分ですね。まず自分自身が伝えていくという役割をやはり担っていかなければならない。 その発信に対して、じゃあどういう方法だったら可能かということ、サポートするメンバーが一緒に考えていきながら、 なりたい自分っていうものをしっかりサポートできる体制をとっていきます。本当にいろいろな状況の中で、可能なこと、不可能なことというのがあるかと思いますが、 不可能だからできないではなくて、そこをじゃあどうすればできるかなっていうことで代替えできるかなということ、 一緒に考えていくことによって、そこから向かっていく時間というのはとても効果的に過ごせるのか、もしくは本当に大変っていう苦労だけで過ごしていくのかって、ずいぶん違ってきます。 なので、ひとりで悩まない、家族だけで悩まない、そして自分たちだけで閉じこもらずに発信していきながら、やはり自分らしい生活ってどうなんだろう、 自分がもし障害が残ってしまったとしても、そこをカバーできるだけの動きをとっていくってどういうことができるんだろうか、 その介護に疲れない家族の支援ってどういうことなんだろうかっていうことを、一緒に考えながら生活っていうものをとらえていけたらなっていうふうに思っております。
図12:さいごに
図12:さいごに
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 尊厳あるひとりの人間として、住み慣れた地域で生活できる環境を共に考えていけたらと思っておりますので、気軽に声を掛けていただけたらと思います。
 ご静聴ありがとうございました。(拍手)

豊田:  ありがとうございました。地域っていうのは本当大事ですよね。しかし、地域行事やお祭りもだんだん少なくなって、隣が誰かも分からないマンション暮らしばかり増えてくると、 昔ながらの「お隣同士声を掛けあって」というのは難しい時代になりましたよね。
 さて、病院では相談窓口がありますけど、地域でどうしようっていうときには、一体どこに相談に行ったらいいですかね?
越部:  まったく、サービスとか関わってなくて?
豊田:  ええ、ええ。
越部: 写真・越部恵美さん  えっと、どうしようっていうときには、まず地域の包括支援センターさんに相談していただくのが、一番身近な相談窓口になるかと思うのですが、 そこで包括さんのほうでいろいろ助言を頂きながら、じゃあちょっと確実に介護度が出そうだから申請をして、 事業所さん一緒にここに相談してみましょうかという形で提案をしていただけますので、まずどこに行こうかと思った時には包括さんに声を掛けて頂いたらいいですし、 もし、ご近所に、呉には71か所居宅介護支援事業所がありますので、そこに相談に行かれて、まず1からの手続きであればそこで状態をお伺いしながら、 こういうふうにしたらいいですよっていうことの相談はできるかと思いますので、包括さんでも、居宅介護支援事業所さんでも・・
豊田:  地域包括支援センターには直接相談に行ってもいいってことですね?
越部:  はい、大丈夫です。
豊田:  急な病気でなくても、だんだん歳を取って、身体も弱ってきてどうしようかなってことはあると思いますので、そんな時には近くの所居宅介護支援事業所にも相談して糸口を見つけるといことでよろしいですかね。
越部:  はい。
豊田:  はい、ありがとうございました。
越部:  ありがとうございました。(拍手)
講演当時のものです)
 
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