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【講演】 住み慣れた地域で生活するために
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橋口 洋子 橋口 洋子  呉市役所川尻支部

 介護が必要な状態になっても、住み慣れた地域で暮らしていきたい…というのは多くの人の願いではないでしょうか? 住み慣れた地域でよりよく生活していくために上手に福祉制度を活用してください。

1 福祉サービスの種類
 介護が必要な人(要介護者)が使える福祉サービスには、主につぎの三つがあります。

○高齢者福祉…
 おおむね65歳以上の方が利用でき、窓口での申請が必要です。
○障害者福祉…
 障害者手帳※を所持していることが利用の条件になります。
 ※障害手帳には、身体障害者手帳・療育手帳(知的障害)・精神保健福祉手帳があります。
○介護保険…
 (後述)

 今回は介護保険を中心にお話していきたいと思います。

2 介護保険の対象者
 介護保険の対象者は二通りあります。
  1. 介護が必要なすべての65歳以上の高齢者
  2. 40歳以上65歳未満の医療保険加入者で指定された疾病が原因で介護が必要になった方
 2.の指定された疾病には15種類の病名があって、この中に脳血管疾患(脳卒中)も含まれています。

3 介護保険サービスを利用するために
 介護保険を利用するための流れは、次のようになります。

  介護度には、要支援と要介護1〜5の6段階あり、数字が大きくなるほど介護の必要性が高い状態といえます。  そして、介護度が重いほど利用できるサービスの量が多くなりますが、その反面、利用したサービスの量に応じて自己負担額も多くなります。
 また、介護状態に該当せず、非該当(自立)と認定されることがあります。この場合、介護保険の対象にはなりませんが、おおむね65歳以上の方であれば高齢者福祉サービスを利用できることがあります。

4 住み慣れた地域で生活するために
 介護サービスには、施設サービスと在宅サービスとがあります。施設サービスというのは特別養護老人ホームなどの施設に入所して介護を受けるサービスです。 一方、在宅サービスは住み慣れた自宅にいながら、デイサービスセンターに通ったり、自宅にホームヘルパーさんに来てもらったりして介護を受けるサービスです。

 次のグラフは介護が必要な状態の人に対して、「どこで介護を受けたいですか?」という質問をした結果です。

 介護サービスを利用したことのある人と、サービスを利用したことのない人に分けて聞いた結果ですが、実際に使ったことがある人ほど自宅で介護を受けたいと答えた人の割合が大きくなっています。 これは、実際に施設を利用してみたところ、自宅に勝るものはないと実感した結果かも知れません。

5 在宅で利用できる介護サービス
 それでは、在宅で使える介護サービスには、どのようなものがあるかといいますと、次のとおりです。
(1)訪問介護(ホームヘルプサービス)
 ホームヘルパーが食事や排泄、入浴などの介護や調理、買い物など生活の援助を受けることができます。
(2)適所介護(デイサービス)
 デイサービスセンターに適所して入浴、食事などの介護を日帰りで受けることができます。
(3)適所リハビリテーション(デイケア)
 医療施設等に適所して、医師の指示に基づいた機能訓練を日帰りで受けることができます。
(4)訪問着護
 看護師が自宅を訪問してくれ、看護を行ってくれます。
(5)訪問入浴介護
 事業者が移動式の浴槽を持って、自宅に訪問して入浴の介護をしてくれます。
(6)短期入所(ショートステイ)
 介護者の都合や病気などのために、一時的に自宅で介護が受けられなくなった場合や介護者の休養のために、短期的に施設に入所して介護を受けることができます。
(7)居宅療養管理指導
 医師、歯科医師、薬剤師などが通院困難な方を訪問して医学的な管理指導をしてくれます。
(8)福祉用具の貸与・購入
 車椅子やベッドなどを借りたり、ポータブルトイレや入浴補助用具などを購入したりすることができます。
(9)住宅改修
 要介護者が自宅で生活しやすくなるように、手すりの取り付け、浴室、トイレなどの改修をすることができます。
 以上のようなサービスを利用することによって、自宅での生活をより快適なものにすることができます。 また、介護保険以外の福祉サービスには、高齢者福祉サービスと障害者福祉サービスがありますのでそれぞれの窓口に気軽にお問い合わせください。

【各サービスの申請・問い合わせ先】
 介護保険サービス…介護保険課(すこやかセンター)、呉市役所及び各支所
 障害者福祉・高齢者福祉サービス…福祉保健課(すこやかセンター)、呉市役所及び各支所

6 介護保険を申請する時期
 私が介護保険の仕事をしていて感じることがあるのですが、たまにホームヘルパーさんをお手伝いさんと勘違いして、何でも代わりにやってもらえると思っている人もいらっしゃるようです。
 介護保険は、要介護者の自立を助けるための制度です。自分ができないところを支援してもらい、できるだけ自立した生活を送るようにすることが目的です。 自分のできることまでやってもらおうとするのは、間違った考え方です。
 また、以前こういうことがありました。一人のお年寄りから介護保険の申請があったので、訪問調査のためお宅に伺いました。
すると調査対象の方が「今、2km散歩してきました。」と元気いっぱいで迎えてくれたのです。「今は元気だから介護は必要ないけれど、もしもの時のために介護認定を受けておきたいから。」というものでした。
 介護保険の申請は生命保険のように、“もしものときに備えで”前もってしておくものではありません。持っているだけで安心の“お守り”ではないのです。介護が必要な状態になった時点で申請していただくものです。

7 元気にいきいき過ごしましょう
 余談にはなりますが、最後に「ボケを防ぐ6か条」をご紹介したいと思います。
(1)ものを作ったり、楽器の演奏をしよう
 料理を作ったり、子供のころに作ったことのある竹とんぼを作ってみたり、楽器を演奏するなど手先を使うようにしましょう。
(2)人と話そう
 年をとると人と会ったり、話したりするのが面倒になって、家に閉じこもる人がいますが、できるだけ外に出て人と接して話をするように心がけましょう。
(3)文を書こう
 日記や手紙などを書くと、頭を使って文章を考えて、指先を使って文字を書くという効果があります。窓口業務をしていると、たまに、自分の名前さえ書かずに済まそうとする人もいますが、できるだけ文章を書くようにしてください。
(4)自分でやろう
 できるかぎり人に頼らず、自分でできることはなるべく自分でするようにしましょう。
(5)外気に触れよう
 家に閉じこもっていないで、外に出て外気に触れるようにしましょう。
(6)年をとったら引越ししないようにしよう
 急な環境の変化はボケの原因になることがあります。
 今回の話のテーマに結びつきますが、年をとったらできるだけ引越ししないで、住み慣れた地域で生活したいものですね。

 以上の6か粂を参考にして、皆さんこれからも元気にお過ごしください。ご静聴ありがとうございました。

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