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【コメント】 地域と医療をつなぐネットワークづくり
トップページ第11回講演会>【コメント】地域と医療をつなぐネットワークづくり

司会:  今日は、広島県の医療および福祉行政のトップであります、迫井正深広島県福祉保健部長にお越しいただきました。 この呉市民の脳卒中に関する意識調査の結果を見られていかがでしょうか。コメントをいただければ幸いです。
迫井:
迫井正深 広島県福祉保健部長
迫井正深
広島県福祉保健部長
 本日の話には、普段の仕事と共感する部分が多くありました。その中で特に二つ点についてお話をしたいと思います。
 広島県を全体でみてみますと、広島市という政令指定都市の大都会があり、瀬戸内海沿岸には多くの島々があり、一方、山間部(県北の方)には雪も深くて北海道や東北と同じような問題を抱えている地域があります。 このように、私自身を含めて地元の方々はあまり意識していないと思いますが、広島県は日本全体の問題を凝縮した課題を抱えているのです。 最近のテレビを観ていますと、救急医療やお産ができない地域の問題がよく取り上げられています。広島県でも例えば庄原市ではお産を扱う病院がなくなり、今後いかに医療を確保していくのかという問題があります。 また、小児科で夜間救急を受けてくれないという問題もあります。なぜかと言うと、昼間の勤務の大変さに加え、夜は救急外来の対象者が多数押し寄せてくるため、小児科の先生が疲れきって辞めてしまうからです。
 小児救急について言うと、いきなり救急車を呼んだり、大病院の救急外来に行くのではなく、お母さんはお子さんの調子が悪かったらまず相談をして欲しいのです。 もちろん相談できる小児科の先生自体が減っており、地域の人間関係も希薄になっています。昔のように大家族ではないので、おばあちゃんやおじいちゃんに相談することもできなくなっているので、どうしても不安になります。 こういう時に、もし相談する人がいたらとても安心です。 実際に受診が必要かどうかの交通整理ができれば受診の件数もある程度抑えられ、救急医療は必要な方にだけ集中してできるようになります。 そういった地域の人たちと医療との間を橋渡しするということがとても重要で、相談できる電話番号♯8000というキャンペーンを全国で行っています。 今各県が取り組んでいますが、実は広島県がその先駆けです。 こういうシステムができますと、小児科の先生の負担も減り、かつお母さん方も慌てないで、必要なときだけ病院にいくことができるようになります。
 今回の脳卒中市民アンケート調査の結果と共通すると思ったのは、とっさに症状が出たときにどうするかということです。 特に脳卒中では時間が勝負という場合が多いですから、救急医療に直接アクセスすることはもちろん大事ですが、かかりつけ医の役割も非常に重要になってきます。 普段相談できるかかりつけの医療スタッフがいれば、まず直接相談できるでしょう。高度な医療施設の門をたたく前に地域との間に入ってくれるような医療技術者やネットワークというものが絶対に必要です。 そこをどうやって作っていくかが私の課題です。
 もう一つの問題は、知識をテレビから得ている人が8割ということです。我々行政がいくらこういうことが大切だと言ってもあまり聞いてもらえません。 だから「みのもんた」さんがテレビでひとこと言うと野菜が売り切れたりするのはうらやましいのですが、たまにはちょっと待てよという内容があるのも事実です。 マスコミが作る番組というのはおもしろくないと見てもらえないので、ある意味極端だったり、偏った情報があるのも事実です。もちろん嘘は言いませんが、それをそのまま信じてもらっても困るのです。 では我々自身はどうしたらいいのかというと、口コミがあります。先程のアンケート調査の話のように、医療従事者・看護師だけではできない、その間に立つ人づて、口づて、地域のリーダーのようなおせっかいおじさん・おばさんのような方が絶対必要であるというのが行政の認識です。 この会場にいらっしゃる方々は意識の高い方で、おせっかいおじさん・おばさんになることは間違いありません。 それぞれの地区・マンションなどで、是非おせっかいおじさん・おばさんになっていただき、今日のパンフレットを回覧するとか、こういう話があったということを紹介いただきながら、地域と医療施設をつなぐようなネットワークができればいいなと思っております。
当時の役職です)

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