関連施設共用大腸癌データーベースの構築についての説明文書 患者さんへ
1.はじめに
医学の進歩は、臨床的研究の積み重ねの上に成り立っています。大腸癌の研究においては、今まで、関連病院各施設が独自に臨床データーを蓄積する上で、研究をすすめてきました。しかしながら、単独施設のみでは症例の解析には限界を認めます。そこで、広島県の関連病院各施設のデーターを共用することによって、大きいデーターを解析できるようになり、より臨床に反映することが期待できます。
その解析の結果、将来の新しい治療や検査、治療方法に応用し、患者さんの治療に役立てていきたいと考えています。また、この調査の結果、新たな発見があった場合には、新たに臨床試験を行う予定です。
2.お願いすること
一般診療で行われたデーターを保存させていただくので、新たにお願いすることはありません。
3.研究で行うこと
大腸癌と診断された患者さん全てが対象です。一般診療によって得られたデーターを共用化し保存させて頂きます。関連病院施設とは、広島大学病院、広島県立病院、広島市民病院、広島安佐市民病院、広島記念病院、広島JA総合病院、尾道総合病院、中国労災病院、JR広島病院、東広島医療センター、西広島医療センター、中電病院、吉田総合病院、呉医師会病院の計14施設です。研究対象者の選定期間は、承認後から平成38年3月31日までを予定しています。
4.個人情報の収集
この研究では以下の診療情報を収集します。
- 大腸癌の罹患、治療歴、病理組織学検査結果、術後経過(合併症、飲食開始時期、排便時期)
- 年齢、性別、身長、体重、血液型、家族歴、生活歴(喫煙、飲酒の有無等)、内服歴、既往歴、採血(血算、CRP、肝機能、腎機能、電解質、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9))、尿検査、CT、PET-CT、MRI、X線、内視鏡検査などの画像診断結果、肛門内圧検査結果、心電図、肺機能検査、再発、生存の有無
5.データーベースの管理と保護
データーベースは匿名化したデーターをデーターベースに登録し、個人情報が保護できるように厳重に管理されており、見ることができるのは、医療関係者および研究者のみです。また、プライバシー保護のため、あなたから提供して頂いたデーターは、匿名化された形で研究に使用させて頂きます。
6.研究成果の公開
未来の患者さん、あるいは医学の発展にとって大変役に立つと考えられる研究成果は、個人の特定がされない形で、学会、論文等で公表していきたいと思います。しかし、個人に解析結果を告知することはありません。
7.研究から生じる知的財産権について
研究の結果に基づいて、特許等の知的財産権が生じる可能性があります。この知的財産権は、提供されたデーターやそこにふくまれている情報そのものに対してではなく、研究者達が研究やその成果の応用を行うことによって初めて生まれてきた価値に対するものです。ですから、「治療経過のデーターを提供したから、その情報に関わる知的財産権を当然もつはずだ」と、あなたが主張することはできません。また、その知的財産権により経済的利益が生じても、同じ理由によりあなたはその権利を主張できません。
8.謝礼について
この臨床データーを保存、解析させて頂くことに対して、謝礼を支払うことはありません。
9.情報の保存、解析にかかる費用について
本研究を行うにあたり、費用の請求は致しません。また、診療や検査は、通常の治療と同じように保険診療にて行われます。情報の保存期間は、研究終了後5年間保管させて頂きます。
10.拒否の自由
本研究における関連施設共用大腸癌データーベースの構築への参加については、あなたの自由意思に基づくもので、強制ではありませんので、拒否して頂いても構いません。本研究に参加を希望されない場合は申し出ください。このことにより、あなたは何ら医療上の不利益を受けることはありません。
お問い合わせ
〒734-8551
広島市南区霞1-2-3
広島大学病院消化器・移植外科(第二外科)
教授 大段 秀樹
連絡先:082-257-5222