低カリウム血症に対する高濃度注射カリウム製剤の使用に関する情報公開について
医薬品等は、医薬品医療機器等法に基いて厚生労働省が承認した方法で使用することが求められています。しかし治療の必要上、承認内容とは必ずしも一致しない方法で使用することがあります。当院では、このような薬剤に関しては、病院内の会議において使用の必要性・有効性・安全性等について問題ないか審議を行い、承認されたうえで使用することにしています。厚生労働省が承認した投与方法と異なる場合は、通常、医療者側から説明を行い、同意を得ることを原則としています。しかし、科学的に相当の根拠があり、倫理的な問題が極めて少なく、患者さんに有益であると考えられる際は、病院の会議(倫理審査委員会、医療安全委員会)で審議し、承認したうえで使用することとしています。また、説明・同意取得を例外的に簡略化し、病院ホームページ上に情報公開することにより実施しています(オプトアウト)。ただし緊急を要する治療となることが多く、拒否の機会を十分設けることができなくなる可能性と、場合により医薬品副作用被害者救済制度の適応外になる可能性があることもご了承いただければ幸いです。 内容について詳しくお知りになりたい場合や拒否されたい場合は、下記に記載された問合わせ先までご確認ください。
実施内容
低カリウム血症に対する高濃度注射カリウム製剤の使用
研究対象者
ICU/CCU入院中の患者さん
実施期間
承認後から永続的に使用
添付文書記載 (抜粋)
【投与量】カリウムイオンとして1日あたり100mEqを超えない
【濃度】カリウムイオン濃度として1Lあたり40mEq以下に希釈
【速度】投与速度はカリウムイオンとして1時間あたり20mEqを超えない
目的・概要
低カリウム血症に対する治療は通常内服薬でカリウムの補充を行いますが、重度の場合や内服困難な場合は注射薬を使用します。注射用カリウム製剤の使用方法は上記のような使用方法が定められています。しかし臨床現場においては輸液量を制限する必要がある場合や、急な補正が必要な場合に高濃度で使用する場合があります。当院では集中治療室においてカリウム製剤の添付文書に記載された使用方法を超える濃度、速度、投与量での使用を認めています。その際は中心静脈等の適切な経路から輸液ポンプを使用し投与を行い、投与の際は頻回の血液検査とモニタリングを行います。
予測される不利と対策
カリウム補充により予想より血清カリウム値が上昇することがあります。その場合不整脈や心不全をきたす恐れがありますが、異常が確認された場合は速やかに減量または中止を検討します。低カリウム血症が改善され次第、高濃度カリウム製剤の使用は終了し、添付文書に定められた使用法、内服薬に変更します。なお使用する場合は定期的なモニタリング(心電図モニター、血液検査、血液ガス分析等)を行い、高カリウム血症となっていないか随時確認します。
承認日
令和7年7月25日
〒737-0193 広島県呉市広多賀谷1-5-1
独立行政法人労働者健康安全機構 中国労災病院
(本研究責任者)職名:循環器内科部長 氏名:松田 圭司
TEL 0823-72-7171
FAX 0823-74-0371