地域のかかりつけ医とともに前立腺がん手術後の患者さんを見守ります〜術後も安心、当院の“つながる医療”〜
2025年08月20日
「地域連携クリニカルパス」――一度は耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。今回は、前立腺がん手術後の患者さんが、地域のかかりつけ医と連携してスムーズに経過観察を行う新たな仕組みについてご紹介します。
当院では2022年10月より、国産初の手術支援ロボット「hinotori™」を導入し、前立腺全摘除術の件数も着実に増加しています(図1)。その一方で、手術後の外来通院や検査の集中による「待ち時間の長さ」や「診療の混雑」が課題となってきました。
そこで私たちは、広島県が推進する「わたしの手帳」を活用した「地域連携クリニカルパス」に取り組むことにしました。この仕組みは、患者さん・かかりつけ医・病院の三者が協力して診療を継続する体制で、まさに“つながる医療”を実現するものです(図2)。
この手帳には、手術後の経過や検査結果、日常の健康状態などが記録され、地域のかかりつけ医と当院の主治医が情報を共有します(図3)。患者さん自身も自分の健康状態を把握しやすくなるのが特徴です。
また、病状が安定した患者さんは、3〜6ヵ月ごとのPSAチェックなどを地域のかかりつけ医にお願いし、年1回は当院にて専門的な診察を行うという仕組みです(図4)。再発の兆候があれば、速やかに当院に再紹介されるため、安心して生活を送っていただけます。
「手術をしたら終わり」ではなく、「術後こそ大切」。地域と病院がしっかり連携し、患者さんをチームで見守るこの新しい医療のかたちが、少しでも皆さんの安心につながればと思っています。
図1 当院の前立腺全摘除術の件数および術式


図2 地域連携クリニカルパスの全体図(広島県公式サイトより)

図3 「わたしの手帳」表紙イメージ(広島県公式サイトより)

腎泌尿器外科 小林加直