薬が増えすぎていませんか?──安心して続けるための見直し
年齢を重ねるにつれて、血圧や糖尿病、心臓や骨の病気など、いくつもの病気を抱える方が増えてきます。その結果、毎日飲む薬の数も多くなり、「朝昼晩で10種類以上」ということも珍しくありません。こうした状態を「ポリファーマシー(多剤併用)」と呼びます。
薬はそれぞれ大切な役割を持っていますが、数が増えすぎると「飲み忘れや重複」「副作用が強く出やすくなる」「薬同士の相性で思わぬ体調不良が起こる」といった問題が出てきます。実際に「ふらつき」「眠気」「食欲不振」など、年齢のせいだと思っていた症状が、薬の影響だったというケースも少なくありません。
また、以前ちょっとした症状で処方された薬が、そのまま続けて出されていることはありませんか? 気がつかないうちに「今はもう必要のない薬」を飲み続けてしまうことがあります。
こうしたリスクを減らすために大切なのが「薬の見直し」です。医師や薬剤師が一緒になって、現在のお薬を確認し、「本当に必要な薬か」「似た作用の薬が重なっていないか」「やめてもよい薬はないか」を丁寧にチェックします。ただし、一つだけ注意したいのは、自己判断で薬をやめてしまうことです。これは絶対に避けてください。必要な薬まで中止してしまうと、病気が悪化したり、新たな不調を招いたりする恐れがあります。
ご家庭でできる工夫としては、お薬手帳を必ず持ち歩くこと。複数の医療機関にかかっていると、同じような薬が重なってしまうことがあるため、情報を一元化することがとても大切です。病院を受診するときには、必ずお薬手帳を携帯しましょう。
さらに、以下のような “気づきのサイン” があれば、遠慮なく医師や薬剤師に相談してください。
・飲み残しが増えている
・体調が以前と違うと感じる
当院薬剤部では、患者さんやご家族と一緒にお薬を見直し、安心して治療を続けられるようお手伝いしています。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。