放射線検査の被ばく線量管理について
2024年06月03日
2020年4月に医療法の改正が施行され、放射線診療を受ける者の被ばく線量の管理及び記録が義務付けられました。被ばく線量の評価は診断参考レベル;DRL(diagnostic reference level)を指標としています。
当院では2015年から線量管理システム「DoseChecker」(J-MACシステム社)を導入し、診断参考レベル(DRLs 2020)と自施設の線量情報を定期的に比較、検討を行っており最適な被ばく線量、画像を維持するよう放射線検査を行っています。
当院の放射線検査(CT、IVR、核医学)の被ばく線量は以下の表の通りになっており、診断参考レベルと比較して少ない被ばく線量になっています。今後も患者さんがより安全に検査ができるよう、良質な画像検査や情報提供に努めてまいります。
CT(Computed Tomography:コンピュータ断層診断装置)
検査名 | 診断参考レベル CTDIvol(mGy) | 診断参考レベル CTDIvol(mGy) |
---|---|---|
頭部 | 77 | 35.98 |
胸部 | 13 | 8.72 |
胸部~腹部 | 16 | 8.33 |
腹部~骨盤 | 18 | 9.91 |
肝臓ダイナミック(造影検査) | 17 | 10.89 |
心臓・冠動脈(造影検査) | 66 | 55.53 |
- CT:X線を利用して体内の断層面を撮影する検査です
- CTDIvol:CT検査で人体に吸収される線量の指標となる値
- mGy:放射線の単位
IVR(Interventional Radiology:画像下治療)
検査名 | 診断参考レベル Ka,r(mGy) | 診断参考レベル PKA(Gy・cm2) | 当院 Ka,r(mGy) | 当院 PKA(Gy・cm2) |
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TACE | 1400 | 270 | 175.98 | 32.13 |
成人心臓 診断 カテーテル検査 | 700 | 59 | 269.85 | 14.97 |
- IVR:エックス線透視やCTなどの画像診断装置を用いて、画像ガイド下にカテーテルや針を使用して行う治療です
- TACE:肝動脈化学塞栓療法
- Ka,r:患者照射基準点の入射線量
- PKA:面積線量積
核医学・RI(Radio Isotope:放射性同位元素)
検査名 | 診断参考レベル 成人の投与量 (MBq) | 当院 規格投与量(MBq) |
---|---|---|
骨シンチ | 950 | 555 |
脳血流シンチ(Tc) | 800 | 400 |
脳血流シンチ(I) | 200 | 111 |
心筋交換神経シンチ | 130 | 111 |
心筋血流 | 120 | 111 |
副甲状腺シンチ | 800 | 600 |
センチネルリンパ節シンチ | 120 | 30 |
腎シンチ | 210 | 185 |
肺血流シンチ | 260 | 185 |
ガリウムシンチ | 120 | 111 |
- 核医学:放射性医薬品を体内に投与して画像診断を行う検査です
- MBq:放射性医薬品放射能量の単位