間欠的空気圧迫装置について
2024年12月03日
フットポンプの仕組みと役割
フットポンプは、患者さんのふくらはぎに空気で圧迫できるカフを巻き、加圧・除圧を繰り返して空気圧を加えることで、静脈血の循環を促進します。
この装置は、特に以下の状況で有用です。
- 手術中:薬の影響で筋肉が弛緩している場合
- 手術後:安静が必要で体動が制限される場合
ふくらはぎは、下半身の血液を心臓に送り返す重要なポンプ役割を果たすため、「第2の心臓」と呼ばれています。
手術や長期の安静による影響で、このポンプの機能が低下し血流が滞ることがあります。


深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PTE)のリスク
血流が滞ると、深部静脈血栓症(DVT)と呼ばれる血栓形成のリスクが高まります。DVTで形成された血栓が剥がれ、肺動脈に運ばれて詰まってしまうと、肺血栓塞栓症(PTE)を引き起こす可能性があります。PTEは呼吸困難や胸痛、最悪の場合は心停止を引き起こす危険な疾患です。
東日本大震災や熊本地震などで広く認知された、避難所生活や車中泊生活で起こっていたエコノミークラス症候群もこれに当てはまります。
中央臨床工学部では、今年度よりフットポンプの中央管理体制を整え、以下の取り組みを実施しています。
- 定期的な点検
- 安全使用の提供
- 適切な保守管理
これらの取り組みにより、患者さんの安全と医療の質の向上に貢献しています。
フットポンプは、特に周術期(入院~手術~退院(社会復帰))患者さんにとって、DVTやPTEの予防に不可欠な医療機器です。中央臨床工学部や医療スタッフの適切な管理や使用により、患者さんの安全性が確保され、合併症のリスクが軽減されています。
参考資料
周術期管理チームテキスト第3版
一般社団法人 日本救急医学会:https://www.jaam.jp/