放射線治療科
診療科の紹介
いろいろながんに対して放射線治療は行われます。がんに関連したご質問にもお答えします。
放射線治療は、体への負担が少なく、外来通院でも可能ながん治療法です。
前立腺がん・乳がん・肺がん・子宮がん・肝臓がん・食道がん・すい臓がん・直腸がん・皮膚がん・脳腫瘍・胃がん・頭頸部がん、等の様々な種類のがんの「根治療法」として、また骨転移・脳転移・肺転移・肝臓転移・リンパ転移などの種々のがん転移にともなう痛みや出血、閉塞等への「症状緩和」治療として有効です。
また、がんに関連したご質問にも可能な範囲でお答えいたします。
診察内容・特徴
放射線治療は、手術療法、薬物治療とともにがん治療の3本柱として以前より重要な役割を果たしてきました。その中で近年の放射線治療技術の進歩は、手術に匹敵する高い精度の放射線照射を可能とし、緩和治療のみならず根治治療に占める役割が増してきました。特に、手術と比較して「麻酔」や「切開」といった侵襲が少ないため、高齢者や合併症をもつ患者さんのみならず、「がんを切らずになおす放射線治療」の意義が高まって参りました。実際の臨床現場においても、特に前立腺がん、食道がん、舌がん、喉頭がん、子宮頸がん、肺がんは早期であれば放射線治療単独で90%以上の局所制御が可能であり、手術と同等の治癒率が期待できるようになってきました。また乳がん、頭頸部がん、直腸がん、脳腫瘍、等においても手術と併用して放射線治療を受ける患者さんが増加しています。その他に、手術の難しい膀胱がん、すい臓がん、胃がん、肝臓がん等に対しても放射線治療は有効です。様々ながんからの骨転移による痛みや脳転移による頭痛や麻痺に対する治療効果も非常に高いものがあります。図1は、当院で放射線治療を行っているがんの内訳を示します。

- 前立腺癌の根治+術後再発が年間20-30例
- 肺癌の化学放射線治療が年間10-20例
- 乳癌術後照射が年間15-25例
- 直腸癌術前化学放射線治療が年間5-10例
放射線治療には根治目的および緩和目的にさまざまな臨床場面で有効な場合があります。原則的には1日1回10-15分で毎週月曜日から金曜日までの週5回、合計で25-37回(5-8週間の通院治療)で実施しますが、病変や病態によっては5-10回(1-2週間)の短期照射や1回1日のみの超短期照射が行われる場合もあります。
中国労災病院における放射線治療は、放射線科の一部門として今までは、広島大学からの非常勤医により担当されていました。しかし近年の放射線治療の著しい進歩の中で、令和5年6月に新たに中国労災病院に放射線治療科が創設されました。放射線治療には放射線治療医と放射線治療担当看護師、診療放射線技師が関わります(図2)。当科では適切な患者さんに適切な時期に適切な放射線治療を実施することを努めてまいります。2024年には、1500日間連続放射線治療を達成し、図3のように表彰されました。


またより高精度の放射線治療が必要な場合は、広島大学病院および広島がん高精度放射線治療センターと連携してまいります。
放射線治療は他診療科の先生方との緊密な連携が非常に重要であり、院内外の色々な診療科の先生方とご相談しながらがんの診療を進めて参りたいと考えております。
がんで放射線治療の適応があるかどうかをお悩みの場合はどうぞお気軽にご相談ください。
スタッフ紹介
広島がん高精度放射線治療センター名誉センター長
日本医学放射線学会 専門医
日本放射線腫瘍学会 認定医
日本放射線腫瘍学会 放射線治療専門医
ACR(米国放射線医会)フェロー
FARO(アジア放射線腫瘍連盟)事務総長
日本臨床腫瘍学会功労会員
日本肺癌学会特別会員
医学博士
外来担当医表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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放射線治療 | 大学医師 | 永田 | 大学医師 |