大腸・肛門外科
はじめに
当科では大腸がんに対する外科手術を中心に大腸がんに対する化学療法を含めた集学的治療、憩室炎などの良性疾患に対する外科治療を担当しています。
大腸がんはがん罹患数が1位(2020年)、がん死亡数が2位(2023年)の病気であり、年間15万人が罹患し、現在日本人が最もなりやすいがんの一つとなっています。
大腸がんの治療は、①外科手術、②化学療法(抗がん剤治療)、③放射線治療、④内視鏡治療に分けられます。当科では、消化器内科(内視鏡診療科)、放射線科と連携しながら患者さんそれぞれの病状に応じてベストな治療法を選択しています。
治療方法
①外科手術
外科手術においては、根治性(がんを確実に取り除くこと)と安全性を第一に、さらに低侵襲性(患者さんの体の負担が軽いこと)と肛門温存を含めたQOLの維持(患者さんの術後の生活への影響が最小限になること)を重視して治療を行っています。
②化学療法(抗がん剤治療)
術後補助化学療法(治癒切除後の再発予防の抗がん剤治療)、切除不能進行再発症例に対する治療的化学療法を行っています。大腸癌治療ガイドラインに沿った治療を患者さんの体調、病状に応じて実施しています。
③術前放射線化学療法(抗がん剤+放射線)
下部進行直腸がん(肛門に近い位置にある直腸がん)に対して腫瘍の縮小や局所再発の低減を目的として抗がん剤治療と放射線照射による術前治療の後に、直腸がんの切除を行います。
特色
当科では初発大腸がんに対する手術の約90%に腹腔鏡や手術支援ロボットを使用した低侵襲手術を行っています。
腹腔鏡手術
腹部に5-12mm程度の小さな穴を5か所あけて内視鏡や手術のための鉗子(かんし)や鉗子を挿入するための筒(ポート)を挿入します。お腹をCO2ガス(炭酸ガス)で膨らませ(気腹)、ポートから挿入した内視鏡により腹腔内の状態をモニターに映し出します。術者はモニターを見ながら、他のポートから挿入した鉗子を使用し手術を行います。最後に切除した臓器を臍より摘出し終了します。出血量が少なく、内視鏡による拡大視野により丁寧で安全な手術が可能となります。小さな傷跡で術後の痛みも少なく、美容の点においても優れています。また術後の回復が早く、早期退院・早期社会復帰が可能です。
ロボット支援下手術
当院では2022年7月に手術支援ロボットであるhinotoriTMを導入しました。hinotoriTMは日本初の国産手術支援ロボットであり、当科では2023年9月からhinotoriTMを使用した大腸がん手術を開始しています。

