肝臓・胆のう・膵臓外科
はじめに
当科では、肝臓、胆道、膵臓のがんおよび胆のう結石症などの胆道良性疾患に対して専門的な治療を提供しています。
肝胆膵領域の治療は、高度な専門性を要する手術・処置が多く、癌の状態や患者さんの状態もひとりひとり違うため、消化器内科と合同カンファレンスを毎週行い一例一例詳しく検討し、個々の患者さんにとって最適な治療を行っています。
少しでも不安なく治療を受けていただけるように、患者さんに寄り添った医療を心がけています。
1)当科で対応する疾患
肝臓 | 原発性肝癌(肝細胞癌、肝内胆管癌など)、転移性肝癌、その他の肝腫瘍、肝嚢胞、肝内結石 |
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胆道 | 胆道癌(胆管癌、胆嚢癌、乳頭部癌)、胆嚢結石症、急性胆嚢炎、胆嚢ポリープ、膵胆管合流異常症 |
膵臓 | 膵癌、低悪性度膵腫瘍(膵管内乳頭粘液性腫瘍、膵嚢胞性腫瘍、神経内分泌腫瘍など)、慢性膵炎など |
脾臓 | 脾腫瘍、脾機能亢進症 |
十二指腸 | 十二指腸癌、十二指腸腫瘍(神経内分泌腫瘍、GISTなど) |
2)治療法について
肝切除
肝臓の腫瘍、肝門部胆管癌、胆嚢癌が適応となります。
高度進行癌に対する大きな肝切除からできるだけ体の負担の少ない腹腔鏡下肝切除まで行っています。切除範囲は、癌の種類、癌の進行度、患者さんの肝機能などから総合的に判断して決めます。肝門部胆管癌などでは肝切除に加え胆管切除+再建が必要となります。
膵切除
大きく分けて2つの術式となります。
膵頭十二指腸切除術
膵臓頭部腫瘍、胆管癌、乳頭部癌、十二指腸癌が適応となります。
膵頭部(膵の右1/4~1/3)・胆管・胆嚢・十二指腸を切除し、さらに膵臓・胆管・胃と小腸を吻合再建する、お腹の手術で一番大きな手術のひとつになります。
膵体尾部切除術
膵癌、膵低悪性度腫瘍などが適応となります。
膵臓の左2/3程度を切除します。膵癌では脾臓も併せて切除することとなります。最近では、積極的に腹腔鏡手術(腹腔鏡下膵体尾部切除)を導入しています。
3)当科の取り組み
体に負担の少ない腹腔鏡手術を導入
肝胆膵領域の手術は大きく開腹する手術が多いですが、当科では腹腔鏡を用いた低侵襲治療(きずが小さく、体への負担が少ない)を積極的に取り入れ、患者さんの早期回復と生活の質の維持を目指した手術治療を行っています。これまで手術が困難とされていたご高齢の患者さんや複数の基礎疾患をお持ちの患者さんも、からだの負担の少ない腹腔鏡手術により手術が可能となることがあります。肝腫瘍や膵腫瘍に対して積極的に腹腔鏡手術を導入しています。
集学的治療
膵癌や胆道癌では、最新の癌診療ガイドラインに沿って、抗癌剤治療(化学療法)と手術を組み合わせた集学的治療を行っています。手術だけでなく、抗癌剤治療でも細やかなケアをしながら治療を行い、治療成績の向上を目指します。
4)診療実績
肝切除症例の推移
2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |
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肝細胞癌 | 6(2) | 16(1) | 10(1) | 11(3) | 5(2) |
肝内胆管癌 | 0 | 3 | 1 | 0 | 1 |
転移性肝腫瘍 | 3 | 5 | 6 | 4(1) | 5(2) |
肝門部胆管癌 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 |
胆嚢癌 | 1 | 0 | 1 | 2 | 0 |
その他 | 0 | 1(1) | 1(1) | 3 | 0 |
小計 | 11 | 24 | 20 | 21 | 12 |
膵切除症例の推移
2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |
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膵癌 | 6 | 7 | 7 | 7 | 3 |
遠位胆管癌 | 1 | 0 | 2 | 2 | 0 |
乳頭部癌 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 |
十二指腸癌 | 1 | 1 | 0 | 1 | 1 |
その他 (境界悪性など) | 4(1) | 4(2) | 1 | 0 | 0 |
小計 | 14 | 12 | 10 | 10 | 5 |
上記のうち 膵頭十二指腸切除/膵全摘 | 9 | 7 | 5 | 7 | 2 |
外来日:月曜日・金曜日
担当:和田 幸之
- お急ぎの場合は、外来日以外でも診察承ります。
- 肝胆膵の病気に関してお聞きになりたい方や相談されたい方は、遠慮なく和田までご連絡いただくか外科外来にお越しください。