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腎泌尿器外科

腎泌尿器外科 部長 ロボット手術センター長 小林 加直

「高度急性期医療を、より安全に、より低侵襲に提供します」

当科では、日本泌尿器科学会において認定された泌尿器科専門医らによるプロフェッショナルな高度急性期医療を行っています。
対象臓器は、腎・尿管・膀胱・尿道などの尿路および前立腺・精巣・陰茎などの男性生殖器、内分泌臓器の副腎、さらに後腹膜に発生する疾患です。具体的な疾患としては、腎盂尿管癌・膀胱癌などの尿路上皮癌、腎臓癌や前立腺癌などの悪性腫瘍をはじめ、尿路結石症(腎結石、尿管結石、膀胱結石)、前立腺肥大症、過活動膀胱、副腎腫瘍などの良性疾患に至るまで幅広いです。私たちは、最新のエビデンスに基づいて病状説明を行い、患者さんと一緒に最良の治療法を見つけていきます。
手術においては、負担の少ない腹腔鏡下及びロボット支援下手術を、より安全に、より低侵襲に行うよう目指しています。当科では、泌尿器外科手術の経験を豊富に持ち日本泌尿器科学会・日本泌尿器内視鏡ロボティクス学会が認定した腹腔鏡技術認定医のもとで手術を行っています

業務内容

【手術の特色】

国産初の内視鏡手術支援ロボットhinotori™を導入

腹腔鏡下・ロボット支援下手術の特徴は、皮膚に小さな穴をあけて、その穴から二酸化炭素を入れて空間を作り、鉗子などの機器を体内に入れて、お腹の中で手術を行います。腎泌尿器外科の対象臓器は後腹膜にあるため、従来の開腹術では大きな皮膚切開が必要でした。しかし、腹腔鏡下・ロボット支援下手術では、皮膚や筋肉を大きく切開する必要がないため、術後の疼痛が少なく、早期離床・早期社会復帰が可能となりました。

当院は、2022年7月に内視鏡手術支援ロボットhinotori™を導入しました。hinotori™は、川崎重工業とシスメックスの合弁会社メディカロイドが開発した国産型の手術支援ロボットで、手術アームの操作性の良さや鮮明な画像が特徴です。術者は、内視鏡と3本の鉗子の4つのアームをサージョンコンソールと呼ばれるコックピットから操作し、肉眼では視認できない細部(10-15倍)をフルハイビジョンで見ながら手術を行うことができます。
内視鏡手術支援ロボットは、呉地区で初めての導入、広島県内でも広島・福山地区以外で初めての導入となりました。2022年10月より前立腺癌に対しhinotori™によるロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術から開始しています。


hinotori™の紹介(メディカロイド社提供)


hinotori™が設置された手術室・ロボット手術センター


ロボット手術のトレーニングによる精緻な動き


hinotori™によるロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術ファーストチームのメンバー

3D腹腔鏡システムを導入した手術

2020年 腹腔鏡下手術に3D腹腔鏡システムを導入しました。偏光レンズ眼鏡をかけることにより、平面にしか見えなかった腹腔鏡の術野が、通常の立体視野で観察できます。立体視のメリットは、より正確な術野展開や鉗子操作ができることです。その結果、手術時間の短縮や合併症の低下につながり、患者さんにより優しい手術を提供できるようになりました。

3D腹腔鏡システムを導入した手術

尿路結石症の手術

尿路結石症の手術

尿路結石症は、40年前と比べて約3倍と大幅な増加傾向にあります。結石の破砕方法としては、経尿道的手術(TUL)や体外衝撃波手術(ESWL)があります。TULは、ホルミニウムレーザーでの高い破砕効果に加えて、バスケット鉗子を駆使して破砕片を体外に摘出できるため、治療成功率が高いのが特徴です。

過活動膀胱に対する新しい治療「ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法」

過活動膀胱に対する新しい治療「ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法」

過活動膀胱は、急に尿意を催したり、間に合わず尿を漏らしてしまう病気です。生活指導、行動療法、飲み薬による治療が行われますが、これらの治療でよくならない場合があります。そのような患者さんに対して、2020年新たに保険適応となった「ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法」を導入しています。

診療の実態

現在、医師は常勤4名の体制です。一般外来を3診体制で行っており、1日患者数は約50~60名です。患者さんには長時間お待たせしたりして大変ご迷惑をおかけすることもありますが、予約制を導入し改善をはかっています。

外来診察室には、残尿測定装置、超音波検査装置、尿流動態検査装置があり、膀胱尿道内を観察できる内視鏡検査室も併設しています。また、中央放射線部には腎泌尿器外科レントゲン撮影室、体外衝撃波結石破砕室があります。

入院患者数は、年間約550名で、手術室での年間手術件数は約230件です。膀胱がんの経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)と前立腺肥大症の経尿道的前立腺切除術(TUR-P)の両者で年間約100件を占めます。主な観血的手術では腎(尿管)摘除術、前立腺全摘除術、膀胱全摘除術などがあります。

診療内容
前立腺肥大症について
治療は、薬物療法と手術療法があります。内服での治療効果が不十分な場合には、手術療法を積極的におすすめしています。最新の生理食塩水灌流システムを用い、ハイビジョンの視野で安全かつ正確な手術を心がけています。
尿路結石について
自然排石が難しい尿路結石症に対しては、結石の破砕術を施行しています。破砕方法には、経尿道的結石破砕術(TUL)と体外衝撃波結石破砕術(ESWL)があります。TULは、尿管鏡という細い内視鏡を尿道から尿管・腎臓まで挿入し、モニターで観察しながらホルミニウムヤグレーザーで砕石する手術法です。大きな結石に対しても破砕効果が高く、破砕片も回収できるため、確実な結石の除去が可能となります。一方、ESWLは、体外から直接衝撃波をあてて砕石する方法で、比較的小さな結石の治療に適しています。

尿路性器がんについて

◆前立腺がん
前立腺がんは、食生活の欧米化や高齢人口の増加により急速に増加しています。血液検査でPSAが高い方は前立腺がんの疑いがあり、前立腺針生検(2泊3日の検査入院)にて組織診断を行います。治療は、手術(ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術)・放射線治療・ホルモン療法・化学療法などがあり、病状にあわせて治療を行っています。50歳をすぎれば、年に1度のPSA検査をおすすめします。

◆膀胱がん
一番多い症状は、痛みを伴わない血尿です。血尿がすぐに止まっても、腎泌尿器外科で精密検査を受けてください。初期の膀胱がんには、最新のシステムであるNBI(Narrow Band Imaging)システムを用いた経尿道的手術を行います。進行した膀胱がんには、腹腔鏡下膀胱全摘にて根治を目指します。症例によっては(抗癌剤併用)放射線治療による膀胱温存療法も行うこともあります。一方、転移のあるがんに対しては、QOLも意識した抗がん剤治療を行っています。

◆腎がん
大きながんでは、血尿、腹部腫瘤、疼痛、体重減少、貧血などさまざまな症状がみられます。近年、超音波検査やCTの普及により、症状のない小さながんが発見されるようになってきました。治療の基本は手術療法です。体腔鏡下による低侵襲手術を行っています。

スタッフ一覧表

役職名 氏名 専門分野・資格・その他
腎泌尿器外科部長 コバヤシ カナオ
小林 加直
日本泌尿器科学会専門医・指導医、医学博士
hinotori™ cockpit surgeon認定、泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 代議員
UTI共同研究会理事、日本性感染症学会認定医
泌尿器科領域 周術期感染予防ガイドライン2023作成委員
泌尿器科領域 感染制御ガイドライン2017作成委員
三学会合同抗菌薬感受性サーベイランス実務委員(尿路感染症)
インフェクションコントロールドクター
Doctor of Doctors Network優秀専門臨床医2023-2025
広島大学医学部 臨床教授
医長 シゲマツ ヨシノリ
重松 慶紀
日本泌尿器科学会専門医・指導医、医学博士、日本泌尿器内視鏡学会腹腔鏡技術認定医、臨床研修指導医、hinotori™ cockpit surgeon認定
医師 アキヤマ コウスケ
秋山 耕亮
泌尿器科全般、hinotori™ first assistant surgeon 認定
医師 オガサワラ ノリマサ
小笠原 法真
泌尿器科全般、hinotori™ first assistant surgeon 認定

Doctor of Doctors Network 優秀専門臨床医

小林 加直 腎泌尿器外科部長が、T-PEC株式会社から、医師の評価によって選ばれる"Doctor of Doctors Network優秀専門臨床医2023-2025"に選出されました。

優秀専門臨床医とは、患者からも医師からも信頼がおける高いレベルの専門性を有した現役の臨床医で、ドクターオブドクターズネットワーク評議員会において全会一致のもと選考された医師が認定されます。

現在、日本全国で2,719名の医師が認定されています。(2018年7月現在)

優秀専門臨床医の推薦基準

評議員本人もしくは、家族が入院や手術が必要となった場合に、お願いしたいと思う専門医。
患者からも医師からも信頼がおける高いレベルの専門性。
人間味豊かで患者の立場にたった治療。
現役の臨床医。

優秀専門臨床医の選考基準

評議員全員(関東評議員会、関西評議員会、東海評議員会、北海道評議員会、東北評議委員会、九州評議委員会)が選考。
評議員一人でも反対があった場合選考されない。

診療担当表

診察室
1診(初診) 秋山 小林 重松 手術 小笠原
2診 小笠原 重松 秋山 小林
3診 重松 小笠原 小林 秋山
午後 手術   手術 検査

治療と仕事の両立支援

当院では、治療就労両立支援センターと協力して、治療と仕事の両立支援に取り組んでおります。
治療と仕事の両立支援の詳細ついてはこちらからご覧ください。

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