トップページへ
【講演】 「詰まらない、切れない血管にする運動のコツ」
トップページ第17回講演会>【講演】「詰まらない、切れない血管にする運動のコツ」

豊田章宏さん  さあ、それでは、今日最後の講演になります。体験情報ということで、「詰まらない、切れない血管にする運動のコツ」というのを広島県理学療法士会呉支部の皆さんにお願いしたいと思います。 今日は講演開始前から会場の外で、ゴムバンドを使ったいろいろな運動の指導が行われておりましたけど、この理学療法士会のご好意で行われておりました。
 昨年もこの運動関係のコーナーは非常に好評でありまして、やっている皆さんもびっくりするぐらい、会場全体がノッてやって頂きまして、 非常に活発に、元気よくお帰り頂いたという記憶があります。今年も最後に皆さん一緒に体を動かして頂きたいと思います。
 去年は、片山さんが労災病院脳外科の沖田部長をどこの誰なのか知らないで、壇上で運動指導をしていただくという面白い一幕がありました。 ほんとにあれから1年がたちますが、ぜひ今日も皆さんで楽しんでやって頂きたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。(拍手)

片山信久さん 広島県理学療法士会呉支部の皆さん


片山信久:
 お願いします。去年、そういう事態があったのですけど、呼んでいただいてありがとうございます。
 私は、広島県理学療法士会呉支部の支部長をやっていますけれども、今日は、コントやダンスを皆さんでやって頂こうと思います。 今回は、色々な施設で行おうと思いましたが、なかなか仕事の都合で練習はできないので、呉共済病院のスタッフだけでやらせていただきました。
図1:ロコモティブシンドローム
図1:ロコモティブシンドローム
(クリックすると拡大表示します)
 去年来られた方は聞かれたと思いますが、このロコモティブシンドロームについて、筋力が落ちると、バランスが悪くなり、こけやすく、外出しにくくなるよという話を、去年させて頂きました。 今年は、こちらの、さきほどもずっと、検査、薬剤師の先生が、言われていた内容の締めですけども、分かりやすく、ちょっと重なるところもありますが、説明したいと思います。 そして、ショートコントですけど、うちの新人3人が一緒に毎日練習をして、やってきましたので、しっかり、皆さん反応してあげてください。拍手とか、よろしくお願い致します。
 そこで、まず人間ドックです。そのコントからいきます。じゃあ、どうぞ。(拍手)


{男性2人、椅子を持って登場}
男1: あ〜、病院の雰囲気って、なんかいやですねぇ。
{もうひとりは、芸人のすぎちゃん役らしい?}
すぎちゃん: そうだねぇ〜。
男1: 俺、1回検査してもらったほうがいいかも知れないですね。
すぎちゃん: う〜んまあ、そらそうだ。
男1: どうしますか。なんか変な病気でも見つかったら。
{男2登場、人間ドックのスタッフらしい}
男2: 人間ドックをお待ちのすぎちゃんさん。
すぎちゃん: はい。
男2: けんちゃんさん。
男1: はい。{男1は、けんちゃん}
男2: 順番に中へどうぞ。
すぎちゃん:
けんちゃん:
はい。
はい。
{椅子を置いて帰ろうとする。すぐに気付いて取りに戻り、会場の笑いを誘う}
{場面が変わって、人間ドックの中らしい}

すぎちゃん:
離せぇ!
けんちゃん:
ちょっと、ちょっと。
すぎちゃん:
離せぇ!
けんちゃん:
どこに行くんですか。検査始まってしまいますよ。
すぎちゃん:
離せっつってんだ!
けんちゃん:
あ〜、怖いなあ。どうしたんですか。検査受けないんですか。
すぎちゃん:
ん〜もう、僕は検査やめときますぜぃ。
けんちゃん:
何を言ってるんですか、いまさら。
すぎちゃん:
いやあ、もう、今日は体調も悪いし、今日は帰らせてください。
けんちゃん:
だったら、よけい診てもらったほうがいいんじゃないですか。
すぎちゃん:
いや、もう、先生にも悪いし、今日は帰るぜ。
けんちゃん:
絶対受けたほうがいいですよね、先生。
{男2は先生だった}
先生:
お二人の年齢的にも、受けた方がいいと思いますよ。
けんちゃん:
すぎちゃん太ってはないよな。
すぎちゃん:
太ってはいないぜ。
けんちゃん:
あと、動脈硬化症は食生活も関係してるって聞いたことあるんだけど。お前、食生活悪そうだな。いつもテレビ出るときはコーラ持ってぇ。
すぎちゃん:
え、まあ、すぎちゃん、揚げもん毎日食べてるぜ。
けんちゃん:
揚げもん食ってるの。
すぎちゃん:
揚げもんラブだぜ。
けんちゃん:
絶対悪いな。遺伝とかも関係あるんですかね。っていうのが、僕のおじいちゃんが動脈硬化症で脳梗塞になって倒れたんですよ。関係があったら怖いなあと思いまして。
すぎちゃん:
それは関係ありそうだぜ。
けんちゃん:
あと年齢もするんですかねえ。
すぎちゃん:
年齢もあると思うぜ、やっぱり。
けんちゃん:
写真:ショートコントの場面1 皆さんも、動脈硬化症について、いろんな知らないこと分からないことがたくさんあると思います。いかがでしょうか?
(客席の前のほうで「ある、ある」という声と…)
ありますよね。知らないこといっぱいあると思います。 (会場から拍手が…)ありがとうございます。
今日は特別に、動脈硬化症についてとても詳しい先生をお呼びしてるんで、僕が合図をしますんで、皆さんで「動脈硬化症の先生!」と一緒に大きな声で呼んでみてください。いいですか?そこの二人。
すぎちゃん:
あ、はい。(会場から笑い)
けんちゃん:
いきますよ、せ〜の
(全員):
動脈硬化症の先生!
(片山先生、両手を上げながら再登場)
片山:
は〜い。(会場から笑い)動脈硬化症みたいですけど、僕。
 さきほどずっと、動脈硬化について説明がありましたので、簡単に言いますけども、動脈硬化っていうのは、 全身にたっぷりの栄養を送る血管が厚くなって、先ほどのコントでそのまんまじゃないかって言われていましたけど、そのままですね。 硬くなるということですね。で、この様に、アテロームとかできて、狭くなっていきますね。アテロームというのが一番多いですけれども、 こういう硬化ができると、脳梗塞とか心筋梗塞が起こるということです。細動脈硬化っていうのはちっちゃい血管ですね、 腎臓とかそういうところの細かいところがちょっと切れたりします。でも今回はアテローム硬化についてよく知っていたほうがいいと思うので、 これについてお話しします。さきほども何回もありましたが、この黄色いのがコレステロールです。 コレステロールをこのパックマンみたいなのが追いかけて食べようとしています。マクロファージというのですが、これが血管の壁の中に入っていきますね。 壁の中に入って行って、どんどん膨れていって、破裂します。このマクロファージが。破裂して、まだどんどん膨れ上がって血管が狭くなっていきます。 この時はまだ、血流は流れていますので、症状はないですね。だから狭心症とか、そういう病気になります。 脳も血管が狭くなると、何らかの認知症とか見当意識障害といって、物忘れとかが出たりしますので、早めに血液の検査とか、 脳ドックを受けた方がいいかも知れません。
 今度は詰まる話です。このようにだんだん膨れていって、だけども血管というのは時々けいれんみたいなスパズムというのが起こりますけども、 プラークといって、こういうコレステロールの塊ができて、それがスパズムで剥がれてくるんですね、そうすると血小板がひっついて、 怪我したら血が固まりますよね、それと同じで、このように血小板がくっついて、そこへ血を固めようとする凝固因子ってのが出て、 どんどんどんどん膨らんできます。最後に、血が流れなくなってしまいますね。これがもう、梗塞ですね。
 次のコントいきます。生活習慣病について3人、お願いします。
男1:
生活習慣病って知ってるか?
男2:
なんか、テレビではよく耳にしますけどもね。
すぎちゃん:
俺も聞いたことはあるけどな、成人病とは違うのか?
男1:
昔は成人病とも言われとったらしいいよ。
すぎちゃん:
そんな大した病気じゃないんだろ?
男1:
いやいや、日本人の3分の2の人が、この生活習慣病で死んでるって言われてるんよ。
男2:
だったらそれ、僕らもヤバくないですか? とくにすぎちゃんさん。タバコ吸ってませんでしたっけ。
すぎちゃん:
おほう、吸ってるぜ。しかも、俺にじいちゃん糖尿病だったぜ。
男2:
なんか、生活習慣病も遺伝が関係してるって聞いたことあるよ。
すぎちゃん:
俺の人生も終わったぜ。
男2:
それは、不規則な生活を直したらいいと思いますよ。
すぎちゃん:
でも、揚げ物とか脂っこいもの大好きなんだぜ、すぎちゃんは。
男2:
でも、自分の健康は自分で守ることが一番ですね。
すぎちゃん:
でもなあ、そんなに変えられるもんかねえ。
{キャラ設定が分かりにくいのですぎちゃんさん以外は「男」で}
男:
写真:ショートコントの場面2 いやいや、健康が第一だろ。皆さんも生活習慣病について、あのう疑問に思ってたり、知らないことだったり、いっぱいあるんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
(会場から「ある、ある」の声)
ありますか。ありがとうございます。ありますね。今日は、またまた特別に、生活習慣病についてとても詳しい先生をお呼びしてるので、 皆さんで、僕が合図しますんで、「生活習慣病の先生!」とさきほどより大きな声でお願いします。いきますよ。いいですか。
すぎちゃん:
はい。
男:
いきまーす。せーのー。
(全員):
生活習慣病の先生!
(片山先生、両手を上げながら再々登場)
片山:
生活習慣病の先生(片山信久さん) はーい。このくだりが続きます。
 まあ、生活習慣病ってどんな病気かっていうのは、皆さんもご存じなように、不適切な生活習慣で病気になることですが、このようにいっぱいあります。 今日は、主に高脂血症、高血圧、糖尿病についてちょっとお話をしたいと思います。生活習慣病の怖いところは、サイレントキラーと言われて気づきにくくて、 また合併症を招きやすく、いろんなものが重なってしまいますね、このように。高血圧、糖尿病、高脂血症と、そういうのが怖い病気です。
図2:改善したい5大生活習慣病
図2:改善したい5大生活習慣病
(クリックすると拡大表示します)
 改善したい五大生活習慣、ご存知ですか。生活習慣で5個悪いと言われているのは、運動不足、塩分、食べ過ぎ、タバコ、飲み過ぎ、あとストレスですね。 先ほどのコントにもありましたけども、多分、皆さんの時代は成人病と言われていたと思いますけども、成人病の考え方といったら、 年齢とともに病気がでるので、その病気を治しましょうという、早く治しましょうというのが成人病の意味ですが、それじゃあちょっと、 病気になってからでは遅いということで、生活習慣を改善して病気の発生を抑えることが大事でしょうということで、生活習慣病と名前が変わりました。
図3:生活習慣病は遺伝する?
図3:生活習慣病は遺伝する?
(クリックすると拡大表示します)
 先程、遺伝するのかという話が出ましたけれども、遺伝は多少あると思います。遺伝っていっても、皆さんの親が糖尿病とか、 高血圧だからなるというわけではなくて、病気が10点満点としたら、もともとの遺伝が3点とかだったら、それに足して7だったら病気になると思ってください。 だったら10点にならないような生活をしたらいいと思います。足す6までOKというふうに考えて、こういう遺伝の種があったとして、これを3点としたら、 さきほどの五大習慣をずっとやって、水をまきますね。そういう生活を。そしたら芽が出てきます、生活習慣病っていう。 だからそういう生活習慣を治すようにしたら、この芽は出ないのではないかと思いますので、皆さんもそのように考えられたらいいと思います。
 これは平成16年のグラフですけれども、死亡率が一番上位を占めているのが、癌ですけど、この癌というのは、いろんな病気の癌です。 乳癌とか、肝臓癌とか、膵癌とか、そういうのを全部合わせた高さですけど、心疾患、脳血管はひとつずつですね。これを足すと多分これは超えます。 だからこっちがおそらく多いと思います。
図4:脳卒中死亡の内訳
図4:脳卒中死亡の内訳
(クリックすると拡大表示します)
 これは昭和35年のグラフですけど、昔は脳出血が多かったのです。なぜかと言うと食べるものが漬物とか、 そういう塩気の魚とか、そういうことが多くて、だんだんと最近になると、フライドチキンとか、ハンバーガーとか、ファーストフードがどんどんできてきて、 やっぱりコレステロールが溜まるようになって、脳梗塞が増えてきたのですね。脳出血が減ってきたっていうグラフです。
 高血圧ですけども、高血圧はこの左心室からゴンッゴンッ全身に送るように出てきます。だけど大動脈弓が硬いと、勢いよく出るのを抑えられないですね。 それで血圧が高くなる。また、手足の先の細かい血管が硬いとそれも高くなる原因のひとつであります。先ほども水分は、 利尿剤を使ったらいいとかいう話が出たのですけども、塩分を摂ると脳が「水が足らないよ」って命令するのですね。そうするとのどが渇いて、 よく飲むようになります。体液量が、血管の中パンパンになりますね。そうすると血圧が上がります。あとは血管の収縮が硬くなり、あと腎臓の機能も低下します。 そうすることによって、血圧が上がってくるということですね。高血圧と診断される指針は、140以上、90以上、 収縮期血圧と拡張期血圧の値が出ているのですけど、これは診察の時の血圧の値です。家では−5が適当って言われています。 だから家で測るときは135と85が正常と思ったほうがいいと思います。他に病気があった場合は、いまのは正常な方ですね。何もない方がそうであって、 糖尿病とか腎疾患とか、あと、尿たんぱくが高い人はこのように下げないといけないっていうのもちょっと覚えておいてください。
 高脂血症の話ですが、やっぱりコレステロールです。コレステロールが全身にあります。細胞を作り、ホルモンを合成する原料とか、 消化に大事な胆汁酸の原料として必要なものです。ただ食べ過ぎると、だんだん体に溜まってきますね。 これはアメリカ人と日本人のコレステロールの値を調べた表ですけれども、こっちが日本人ですね。だんだん上がってきて、アメリカ人と変わらなくなって、 日本人の女性はどうも追い抜かしてしまいました。そういうふうなグラフです。これも基準はある程度覚えておいたほうがいいと思います。 LDLは、なかなか運動では下がりにくいと言われています。ただコレステロールは運動とか食事で下げることができるので、 ぜひ皆さん知っていたほうがいいと思います。
 糖尿病ですけども、やっぱり食べ過ぎ運動不足で糖尿病になります。 で、T型とU型があって、T型は不規則な生活ではなくて、自然にインシュリンが出にくくなって病気になっている人ですけども、 U型は不摂生から出る糖尿病です。生活の改善をしたらならない病気です。これが正常な場合ですけども、 このように糖がインシュリンでどんどん分解して筋肉やら体の臓器が糖をどんどんとっていきますけども、 糖尿の場合はどんどん動きが悪くて溜まっていってしまうので、血糖値が高くなるっていうことですね。生活習慣っていうのは全身疾患なので、 まず運動と食事を減らすとか、バランスのいい食事をとるというのが大事だと思います。
 ここで運動の話になりますが、また3人を呼びたいと思います。どうぞ。
男1:
おぅ久しぶり。
男2:
久しぶりです。
すぎちゃん:
久しぶりだぜ。
男:
なんか、この前、人間ドック受けたんだけど、人間ドック受けて、先生から運動をしましょうって言われたんだよ。 で、実際、運動しましょうって言われても、どんな運動をしたらいいのか、全然わかんなくて、なんか運動してる?
すぎちゃん:
それはもう、激しい運動に決まってるぜ。
男:
激しい運動?
すぎちゃん:
すぎちゃんなんか、毎日10kgのダンベル持って、腹筋、背筋、スクワット、100回以上やってるぜ。ワイルドだろ?
男:
ワイルドですね。でもでも、そんな運動、全然ダメです。僕なんか、出勤前に毎日5km歩くようにしてます。 で、休日には、スイミングスクールに行って泳ぐようにしてますよ。
すぎちゃん:
ダメだぜそんな運動。
男:
ダメ? そっちだって10kgのダンベルなんか持って、自分の体を痛めつけてるだけじゃないですか。
すぎちゃん:
すぎちゃんの運動に文句をつけるのか?
男:
いや、ただ僕は注意してるだけですよ。
すぎちゃん:
なんだと!このやろう!
男1:
やめて! あー!
男2:
ケンカはやめろ、ケンカは。どっちもいい運動だろう。
すぎちゃん:
でも、どっちが本当に健康な運動なんだよ!
男1:
あ、それは、すごい気になりますね。
男2:
気になりますね。
すぎちゃん:
気になるよな!
男:
みなさんも運動について、どうでしょうか。いざ、運動をしようと思っても、いったいどういう運動をしたらよいのか。 たとえば、ウォーキングをしたり、ジムに通われたり、いろんな方がいると思うんですが、実際いい運動とはどんな運動なのでしょうか。 今日は特別に、運動の先生をお呼びしてるんで、最後ですが、皆さんで「運動の先生!」と呼んでみてください。いいですか。いきますよ。いきますよ。
男2:
はい。
すぎちゃん:
はい。
男:
せ〜の
全員:
運動の先生!
(片山先生、三度登場)
片山:
は〜い。またまた来ました。(会場から拍手)
図5:運動療法の種類
図5:運動療法の種類
(クリックすると拡大表示します)
 さきほど、すぎちゃんとけいちゃんが、ケンカしていました、運動の種類についてですが、有酸素運動とレジスタントトレーニング、 いわゆる筋力トレーニング、ふたつがあると思います。で、やっぱり生活習慣病はすぎちゃんじゃなくてけいちゃんの有酸素運動が大事です。 有酸素運動っていうのは、酸素を取り入れながら筋肉を動かして長時間やることを有酸素運動といいます。 有酸素運動の効果としては、脂肪の代謝を改善することや血圧を下げる、あと糖の代謝を改善する、あと肥満防止につながる、 あと難しいアジポネクチンを増やすって書いてありますが、これは血管の壁を直してくれる細胞らしいので、 これを活性化していい結果になるっていうふうに言われています。
図6:度を過ぎた運動は禁物
図6:度を過ぎた運動は禁物
(クリックすると拡大表示します)
 度を過ぎると、やっぱりやり過ぎは禁物すね。エネルギーは筋肉から作られて、糖を利用しますけれども、強い運動になると糖をエネルギーにするため筋肉の酸素供給が間に合わずに、 無酸素運動になってしまう。そうすると、乳酸と言うのが出て、聞いたことがあると思いますけども、無酸素状態で一生懸命運動してしまうと、乳酸が出ます。 じゃあ乳酸とは何かということですが、さきほど言いましたように糖を使わないで運動するっていうことです。 そうすると、どうなるかっていうと、やっぱり筋肉が疲れやすくなって、体を動かすのが嫌になってきます。
図7:心肺運動負荷試験
図7:心肺運動負荷試験
(クリックすると拡大表示します)
図8:ATポイント
図8:ATポイント
(クリックすると拡大表示します)
 その乳酸を、出ない程度のレベルを測るのに当院では、今のような心肺運動負荷試験を、心臓の悪い患者さんとか、糖尿の患者さんとか対象に、やっています。 これは出した二酸化炭素と、吸う酸素の量を測って、基礎代謝とか有酸素運動が出来ている、ATポイントを探します。 さきほどの運動をするとこういうグラフが出ますけども、これがATポイントです。この黄色いのが運動の重さです。 これが脂肪ですね。脂肪を使って、運動をしています。だからガーって上がっていきますけど、ここでガクっと落ちますよね。 ここが有酸素運動になっていますね。これは糖です。糖は、ATポイントからガーっと上がるので、ここで糖を使われて、脂肪は全然使われていない。 ここは無酸素運動になるので、ここでの運動は控えたほうがいいっていうことで、無意味ですね。あまり重たい、自転車でこいだりとか、 速いスピードで走ったりするのはやめた方がいいですね。適度な、ちょっと速めのウォーキングぐらいがちょうどいいですよっていう値です。 このポイントを知ることで、効果的な運動ができますよということと、あと、危険も少なくて、また痩せられるということですね。 基礎代謝っていうので、じいーっと、みなさん座っている時でも、エネルギーは燃えているので、そういう値が分かるというのと、 運動を継続することで、そのATポイントがちょっとでも重たい負荷のほうへ持っていけられるということが分かります。
図9:ボルグスケール
図9:ボルグスケール
(クリックすると拡大表示します)
 だけど、ああいう検査はなかなか出来ませんので、だいたいこのボルグスケールで判断したらいいと思います。 この間(11〜13)が適した運動ですので、ちょっとキツイっていうぐらいが、いいと思います。だから普段歩いていて、 たぶんウォーキングとかされているかも知れないですけど、話しながら出来るぐらいは、たぶんこれぐらいだと思います。11ぐらいだと思います。 だからもうちょっと速歩きで、息が上がるぐらいがこれぐらいだと思うので、そういうのを目安にして、ややキツイというのを覚えて、 それぐらいの運動をしてください。注意点としては、心臓が悪い人とか、血圧がこんなに高いと運動はよくないので、やらないほうがいいです。 あと体調が悪いときとか、あと膝の変形性関節症があるひとは、あんまり歩くと膝に負担がかかって、よけい悪くなりますので、 そういう方はそれなりの運動の方法を、労災病院のリハビリの先生とかに聞いて、やってみてください。あと、運動の時間ですが、 やっぱり有酸素運動は定期的にやるのが大事なので、ほとんど毎日やったほうがいいと思います。 この値は心臓リハビリテーション学会が出している値ですけども、それを週に3回から4回毎日ですね、30分から60分。 これは当院のリハビリの様子ですけども、自転車こいだり、歩くマシンを使ってやります。有酸素運動の種類ですが、さきほどの二つと、あと水中歩行とか、 水泳とか、あとエアロビクス、を、だいたい30分ぐらいやるのがいいかなあと思います。さて、ここで、皆さんにエアロビをやってもらおうと思いますけれども、 エアロビの先生(トレーナー)どうぞ。3人組もどうぞ。
 皆さん、立って出来る方は立ってやって、座ってやれる体操も考えているので、座ってやってもいいです。 あまりひっつくとよくないので、間隔を開けられたほうがいいかも知れないですね。じゃあポイントを詳しくお願いします。
トレーナー:
よろしくお願いします。いまから簡単なエアロビクスの運動をやるのですけど、いくつかポイントを、いまから皆さんと一緒にしていこうと思います。
豊田:
少し皆さんの間を広く取ってください。体調が悪い方は無理しないでくださいね。この運動で倒れても仕方ありませんから。ぜひ、ゆとりをもってやってください。
トレーナー:
手とか足とか、少し広げる運動もやりますので、ぶつからない距離をとって頂いていいです。
片山:
今回は、前には行かないようにしたので、横だけです。
トレーナー:
写真:会場の様子 まず、サイドステップで横に、足をやりながら、で、一緒に手も横に振って運動していきます。僕らがやりますので、皆さんも一緒にやりましょう。1…
(会場が一斉に動きます)
はい。ありがとうございます。これが1つめの体操で、次は、かかと上げをしながら、手も上げていただく運動をやっていきましょう。 では、みなさんお願いします。1…、2…、3…、4…、5…、6…、7…、8…。ありがとうございます。
(皆さんが真剣に聞いているからこその動きは、舞台から見ると圧巻です)
凄いですね、皆さんが手を上げていたのがこちらから見ると…。凄い。
(そうです。脳卒中フォーラムのお客さんをなめたらイカンぜよ!…ぐらい凄いです。 トレーナーの先生は、今回参加するのがはじめてのようです。)
片山:
感動しています。
トレーナー:
写真:トレーナーの動きを見て びっくりしました。次がですね。手を後ろに引きながら、屈伸運動をやっていきますので、また8回ほど一緒にやっていきましょう。いきます。1…、2…、3…、4…、5…、6…、7…、8…。もうひとつ、運動を紹介します。このような運動をいまからちょっと、いろいろ合わせながらやっていきますので、よろしくお願いします。
片山:
いまからやります。エアロビは、基本的には足踏みです。足踏みが大事なので、しっかり足踏みをしてください。曲は何だと思いますか?  きよしのズンドコ節ではありません。(笑)あの、よく介護予防とかでは、きよしのズンドコ節とか、 ブルーライト・ヨコハマとかが流れるのですけども、今回はちょっと若者向けのZARDの「負けないで」、 これは24時間テレビでよくマラソンランナーが帰るときに皆が歌ってる曲なんですが、それに合わせてやってみましょう。レッツ、ダンスです。
(ZARDの曲が流れる)
写真:会場の様子 しっかり深呼吸をしてください。
しっかり足踏みをしましょう。
サイドステップですよ。
右から。
かかと上げです。
手は腰に当てましょう。
スクワットです。
横へ開きましょう、2回やります。
はい、左。
反対。
足踏みしましょう。
次は手が入ります。
今度はこういう動きですよ。
はい、上へ上げます。かかと上げと一緒に。
はい、スクワットです。
手を引きましょう。
はい出して。
2回、右。
はい、左。
はい、足踏み。
写真:会場の様子 ちょっと長いですから、しっかり足踏みしましょう。
ももを上げたほうが効果的です。
交互へ
よいしょ

後ろへ
はい、足踏みしましょう。
もう1回あります。
はい、後ろ。
歩きながら深呼吸しましょう。
スライド注目してください。
(スタッフの動画フィニッシュで会場から拍手)
 いまので3分半ぐらいなのですけど、有酸素運動はさっき言ったように30分必要なのです。だから、これをあと2回ぐらいやったほうがいいんです。もう1回やりたいですか?  あ、もういいですか。OKですか。あははは。(舞台上のスタッフに向かって)じゃあ、ありがとうございました。
 質問なのですが、さきほどのボルグスケールで、みなさん13の人手を挙げてみてください。お…。15…。いないですね。11…、9…、7…。15の人います?  あぁ、やっぱりいるんですね。(会場の人とのやりとり)あぁ、腰が悪いのですね。 あの、共済病院にはジムがありますけど、そこでエアロビクスをやっています。その人らはだいたい30分やっています。遊びを入れてですけどね。 風船を渡し合いこしたりとか、足踏みしながらボール投げたりですね。
 これは、最近の中国新聞の一面なのですけど、みました? 厚労省が出した、いままで20歳から60歳まで運動指針を出していたのですけど、 ひとつの10分のジョギングとか、なんかいろいろ上げているのですけど、それを23エクササイズしなさいというものがあり、 それを厚労省は70歳以上もしたほうがいいのでは?とうことで、草むしりとか、農作業…などをやりましょうというのを出しています。 ここにロコモティブシンドロームのことが書いてありますね。去年来られた方は早く知っています。
図10:動脈硬化は動脈の老化
図10:動脈硬化は動脈の老化
(クリックすると拡大表示します)
 最後のスライドなのですけど、これは川に例えてお話をしますと、内蔵脂肪を蓄積するとこういういろんな、さっき話したことが、このへんの上流で、 中流ぐらいか、分かってきます。こういう糖尿とか高脂血症、高血圧が発見されたときはまだ大丈夫です。まだ生活習慣直してしけばいいです。 ただこの落ちてしまうと、心筋梗塞とか脳梗塞になると、麻痺とか起き、大変なことになるので、ここへ落ちないように、上流の治療をしましょうっていう事です。 そういうふうに皆さんも気をつけてください。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
豊田:
 ありがとうございました。皆さんにはよく体を動かしてもらいました。今日は頭も使い、体も使いでお疲れさまでした。 最後になりましたけど、大事なことは病気にならないことです。そしてもしなっても、また再発が起こることがあるんですね。 西城秀樹さんもそうでしたけど、1回なったから終わりじゃなくて、次を起こさないということが大事なことです。障害も最小限で食い止める。 そして元気で長生きできるようにしたいと思いますね。本当に片山先生、ありがとうございました。
片山:
 ありがとうございました。
豊田:
 熱演いただいた呉共済病院のリハビリスタッフの方々にもう一度大きな拍手をお願いします。(拍手) おそらく診療時間を削って練習されたかも知れませんね。(診療時間を削ったらアカンでしょ)
片山:
 毎日、8時ぐらいまでやってました。(豊田先生のボケに気付かずまじめに答えてます)
豊田:
 片山さんもいろんな先生を演じておられましたね。本当にありがとうございました。さて、いよいよ終わりが近づいてきました。 今日も中国労災病院の職員を始め、いろんなボランティアの方々が手伝ってくれました。ブルーのシャツを着ているフォーラムボランティア、 それから看護協会の看護師さんも手伝ってくれましたので、もう一度、お礼の意味も込めて拍手をお願い致します。(拍手)ありがとうございます。 また来年も行いたいと思いますので、今日来られた方にはまた案内の通知をお出しさせていただきますので、ぜひ捨てないようにお願いいたしますね。
 では、お忘れ物のないように、どうぞ気を付けて、階段で転んだりしないように気をつけてお帰りください。ありがとうございました。(拍手)
講演当時のものです)
 
≪- プログラムに戻る
<−4.「薬を正しく飲むために知っておきたいこと」


Copyright(c) 2012 Stroke Forum All Rights reserved