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【情報提供】 はじめよう!減塩生活
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豊田章宏
 それでは、後半のプログラムを始めたいと思います。スライドを一枚お出し頂けますか。後半の2演題はですね、減塩プロジェクトのお話と病院での検査に関するお話です。

 ちょっとだけご紹介しておきたいのですけれど、脳卒中の予防とか治療に関して呉という地域は全国に先駆けていろいろな事をやっております。
 脳卒中の治療に関しましては、北村先生の話にもちょっとあったのですが、地域連携というものを構築しています。ここ10年で大きく医療制度が変わりましてね。昔は救急病院に運ばれて、しばらくそこで入院してリハビリもして自宅に帰るというコースが一般的でしたが、今では、2ヶ月もしないうちに転院をして下さいって話になるんですね。救急車を受入れる急性期病院と、その後のリハビリを専門にやる病院と、それから慢性期というか生活期を過ごす施設や病院と大きく3つのカテゴリーに分けられました。これは医療保険でのルールになっていますから、例えば労災病院でも、国立医療センターでも、共済病院でも、急性期の治療を受けた病院でずーっと診て下さいって訳にはいかなくなりました。
図1:脳卒中、呉地域の取り組み
図1:脳卒中、呉地域の取り組み
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 しかし、こういった分業制の医療をやる場合に、治療の継続性っていうものが断たれてしまったら皆さんが困るわけですね。 だから、皆さんに転院していただくのだったら、我々診る側も一緒にちゃんと連携しないといけないだろうということになります。 そこで呉では医療機関と介護施設が連携していろいろな勉強会をするようになっています。昔よりも密に連携するようになってきました。 また皆さんが転院する時に一定の治療方針を決めておいた方が間違いないわけですので、脳卒中地域連携パスというものを作って、地域全体で共通したものを使っています。
 地域でさらに安心して暮らすためには、脳卒中になって自宅に帰った後はそこでケアが途切れてしまうというのでは困るわけですね。 それで介護保険とかがあるのだと思います。しかし、医療と介護がバラバラではいけません。これらが全部一緒になって、さらに地域住民が一体となって健康で暮らそうというのが地域包括ケアシステムです。 病院から自宅に帰ったからもう何もできなくなったじゃ困るわけです。地域の中で本当にみなさんが参加出来て、 たとえばラジオ体操を老若一緒に地域ぐるみでやるとか、そういった地域発生型の対策をみなさんと考えていかないといけない時期が来たように思います。
 昔の方が、まだ盆踊りとかいろんな行事があって、みなさんが集う機会があって地域と言うものが成り立っていたように思います。 だんだん、個人情報だとか何とかがうるさくなってきて、お互いの住所も知らないっていうふうになってきましたね。 本当はもっともっと地域で、お互いの顔がみえてね。今日は○○さんの顔が見えないけど、元気かなあというのが本来の姿だと思うんですね。 それをもう一度作り直していかなければいけないんだろうと思います。それは、病院とか介護だけじゃなくてね、地域の皆さんと一緒にやっていかないといけないだろうっていう試みが今始りつつあります。 皆さんも是非こういうことを一緒に考えてみて下さい。
 それから、最後に予防についても様々な試みがされています。このフォーラムもそうですが、呉では数年前に「減塩サミット」っていう全国規模の集まりを大和ミュージアムでやりましたね。 これは本当に日本中から注目されました。クレオパトラみたいな日下先生が音頭をとってやられた会でしたが、レストランから病院まで町興しもかねた減塩対策として全国のモデルとなっています。
 今からお話しして頂くのはその減塩プロジェクトの一環だと思います。頸動脈エコー検査という頸の動脈を超音波で見る検査があるんです。 これは、今日の講演でも出てきましたが、諸悪の根源である動脈硬化を簡単にみることができる検査です。
 呉市がこの検査を組み入れたプロジェクトをやっているようです。行政がこういう事をやるのは珍しいことです。珍しいので、ちょっと発表をしていただきます。
 それでは、講師をお迎えします。呉市保健所健康増進課西保健センターの木原さん、よろしく願いいたします。(拍手)

写真・木原美香 さん 木原美香 さん
   呉市保健所健康増進課 西保健センター



 豊田先生紹介ありがとうございました。皆さんこんにちは。私は、呉市保健所健康増進課西保健センター管理栄養士の木原と申します。よろしくお願いします。
図2:はじめよう!減塩生活
図2:はじめよう!減塩生活
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 今日は脳卒中に関わる呉市の取り組みの紹介という話をさせてもらおうと思います。呉市では今年度、"はじめよう減塩生活"をキャッチフレーズに減塩をテーマにした健康づくりを始めています。 10月の市政だよりに"はじめよう減塩生活"の特集が掲載されました。ご覧になられた方も多いと思います。これですね。はじめよう減塩生活。食塩摂取量はまず1日8グラム未満を目指してということではじめています。
図3:塩分の摂り過ぎ
図3:塩分の摂り過ぎ
 先ほど北村先生、松田先生の方からもお話がありましたが、塩分の取りすぎを放置しておくと高血圧、高血圧は怖いですよねと松田先生の方が説明してくださいました。 それを放置すると今度は動脈硬化、動脈硬化も怖いですよという事さらにそれを放置すると心臓病、脳卒中、粘膜へのダメージということで胃がんという事も言われてきてます。 また、これを放置すると最悪の場合は死亡に至るという事になります。
図4:塩分・高血圧が関係する疾患
図4:塩分・高血圧が関係する疾患
 これは23年度のデータなのですが、およそ二人に一人が塩分の取りすぎ、塩分や高血圧が関係する病気で亡くなられています。呉市では46.3%の方がというデータが出ております。
図5:よくある食事風景
図5:よくある食事風景
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 このように塩分の取りすぎが良くないというのは、今までの話で理解ができたと思いますが、では実際に自分がどれくらいの塩分をとっているかはちょっとわからないですよね?これはよくある食事の風景ということで、呉市の市政だよりに載りました。
クレッシー君
 「お母さんこれ味が薄いよ。醤油ちょうだい。」
お母さん
 「何を言っているの。いい味がついてるわよ。あなたはいつも濃くしすぎよ〜。」
そこで、クレッシー君10月の市政だよりに目が行きました。
 「なになに。へー、塩分の取りすぎってこんなに怖いの」
ということで、急いで健診を受けに行きました。
図6:特定健診(集団)を受けよう
図6:特定健診(集団)を受けよう
 そこで呉市は今年度から集団での特定健診で、尿から推定食塩摂取量、どれくらい塩分をとっているかを測ることが出来るようになりました。
図7:塩分摂取量
図7:塩分摂取量
 まず健診を受けてもらって結果がでます。 その結果で、T度高血圧、上の血圧が140以上または下の血圧が90以上で、一日の推定食塩摂取量が8グラム以上の方に、体よろこぶ減塩プログラムを案内させていただいております。 現在7月の健診を受けられた方に案内が届いていると思います。
図8:カラダよこぶ。減塩プログラム
図8:カラダよこぶ。減塩プログラム
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 減塩プログラムは2回の教室です。1回目が講演会、今年度は日下先生の講演会を聴いた後で減塩ランチを試食し、みんなにうす味でもおいしいことを体験してもらいます。 2回目は減塩のコツとか、減塩のテクニックを、家でどのようにしたら減塩ができるか、このようにしたら簡単にできるという話を覚えて帰ってもらいます。 また、もう一回尿検査をし推定食塩摂取量を測定しております。
 さらにオプションとして希望者の方に自分の血管の状態を知ってもらう事ができる頸動脈エコー、先ほど豊田先生のほうから紹介をしてもらいましたが、 頸動脈エコーの検査を自己負担が1700円はかかりますが、受ける事ができます。
図9:頚動脈エコー
図9:頚動脈エコー
 ここで頸動脈エコーの話をさせてもらいます。頸動脈エコーってどんな検査だろう?
 首のところには心臓から脳に血液を送る血管があります。この血管を頸動脈といいます。首のところにゼリーのついたプローブを当てて血管の様子を見ていきます。このように横になって、プローブを当てて検査をしていきます。何がわかるのかという事ですが、動脈硬化の早期発見や進行具合がこれでわかります。
図10:頚動脈エコー
図10:頚動脈エコー
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 スライド、絵でみると、健康な人の血管はすごく内側がスムース、きれいなのですが、早期動脈硬化になりますと少し血管の壁が厚くなってきます。 それがまた進行してくると、狭くなって血液の通りが悪くなる。悪くなってきて動脈硬化が進行してきているという事になります。 実際、エコーの検査ではこのような感じで、これちょっとカラーを当てているので、ブルーに映っていますが、これが血液の流れです。厚くなっているのがわかる検査です。 ですから、減塩プログラムの案内が届いた方はこの検査を受ける事で、脳卒中を予防する事にも繋がります。 是非、案内が届いた方は考えてみていただけたらなと思います。
図11:一般健康教室
図11:一般健康教室
 では、案内が届かなかった人はどうだろう?ていう事ですが、こちら健診を受けて尿検査が8グラム未満の方は、小グループでの健康教室を、 呉市では実施しています。10人あるいは20人以上のグループで申し込んでください。 申込先・問い合わせは、西保健センターは電話番号が25−3543。東保健センターは71−9176。どちらでもかまいません。 是非興味のある方はグループを組んで、一般の健康教室を申し込んでください。
図12:スタッフ一同
図12:スタッフ一同
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 最後にはなりますが、呉市では市民の皆様の健康寿命の延伸を目標に減塩の取り組みをはじめたところです。 みなさん先程松田先生が言われましたが、減塩、減塩と頑張りすぎるのではなく、塩の取り方、うまい具合に減らすことができるということ、 私は適塩とか塩を意識する《ソルトコンシャス》っていう言葉が好きなんですが、塩をとってはいけないって言ってるのではないという事を頭の隅に置いておいてもらえたらなと思います。 適塩、いい減塩の仕方、塩のとり方で健康寿命の延伸っていうことを始めたいと思います。減塩について一緒に考えていきましょう。 また、是非みなさんも自分の健康状態を確認するために年に1回特定検診、がん検診、受けて頂きたいと思います。 ご静聴ありがとうございました。

豊田:  はい、木原さんありがとうございました
 塩が恐ろしいという話をいっぱい、いっぱい聞かされた訳ですが、全く塩が効いていないと確かに美味しくないですよね。 呉でこの減塩サミットが行われた理由には、呉にはいい塩がいっぱいあるからということも一つありました。今ではもうブランドとなっています藻塩とかね。 ミネラルをたっぷり含んでいる塩分ですので、人工的に作ったいわゆる食卓塩っていう塩と違ってナトリウムは少ないはずなんです。 そういった良い塩とか出汁をうまく使って、減塩というか適塩っていう事をやって下さればいいですね。
 ところで、頸部エコー検査ですが、あれ普通に受けるといくらくらいしますか?
木原:  普通に受けると8610円です。3割負担だともう少し2千円を超えるのではないかと思います。
豊田:  検査代そのものはそれくらいかかるのですね。病気になって病院で検査を受ける場合は保険が使えるので負担は少ないでしょうけど、全額負担だと結構高いですね。 ご自分で健診で受けるよりも割安といったところでしょうかね。
木原:  そうなんです。あの是非、案内が届いた方は・・・
豊田:  該当になる方は受けられたほうがいいと思いますね。
木原:  それから、12月13日にここの2階の東保健センターである減塩プログラムの案内が届いていると思います。
豊田:  呉東部は今から始まるのですよね?
木原:  今からです12月の13日にあります。
豊田:  じゃあ、ちょうど今日はタイミングがよかったと思います。会場の皆さまも耳より情報としてご近所にお伝え下さいね。 木原さん、貴重な情報ありがとうございました。
木原:  ありがとうございました。(拍手)
講演当時のものです)
 
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