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【講演】 脳卒中 高血圧と心臓と
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豊田章宏
 続けてですね、さきほどの北村先生のお話でもちょっと出てきましたけど、血圧とか心臓についてのお話です。これも脳卒中に非常に大きく関係してくることです。 特に心房細動という不整脈ですが、これは歳をとってくるほど起こりやすいというお話がありましたね。その辺を心臓・循環器の専門家からもう少し詳しくお伺いしたいと思います。 ご紹介しましょう。中国労災病院の循環器医長でいらっしゃいます、松田圭司先生です。どうぞよろしくお願い致します。(拍手)

写真・松田圭司 さん 松田圭司 さん
   中国労災病院循環器科医長


 よろしくお願いします。皆さんもお疲れ様です。中国労災病院循環器科の松田圭司といいます。本日は講演の機会を頂きまして豊田先生ありがとうございます。 私は循環器科という立場で高血圧の患者さんや心房細動、不整脈の患者さんを診察する機会が多くあります。 しかし残念ながらその患者さんが脳卒中を発症され豊田先生、北村先生にお世話になることが多くあります。いろいろと考え発症されないよう努力しますが、それをゼロにすることはできないのが現実です。 最近自身が考えるのは、医者の頑張りも必要ですが、一番大事なのはやはり自分の病気を自身がよく理解し、何故その病気に対しこういう治療をしないといけないのか、 それを放っておいた場合はどうなるのか等をよく知ることが一番大事ではないかと考えています。病気の理解が大事な理由として、例えば「あなた薬飲みすぎじゃけえ止めんさいよ」と、 その人がどんな病気か正確には分からないのに薬を止めろという方がおられます。しかし実際その薬を止めることによってどのような病気が今後起こるか知らずに言われる方がほとんどです。 病気をしっかり自分で理解していくことで、この薬を飲まないといけない理由はこういった理由だと理解が深まり、他人の間違った意見に耳を傾けることが少なくなります。 今後は、医師、看護師、コメディカルももちろんそうですが、患者さん自身が自分に関わっている色々な病気に対する理解を深めることによって、自身の病気の発症を抑えていくことが大事になると思います。

図1:血圧とはなんでしょう?
図1:血圧とはなんでしょう?
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 ではさっそくですが、心臓から考えた脳卒中ということで話を始めさせていただきます。まず心血管疾患と高血圧です。北村先生の発表と重複するところもありますが容赦ください。 まず基本的なところですが血圧とは何でしょうか。簡単にいうと血圧とは血管にかかる圧力のことです。血圧が高いと血管に負担がかかるので血管が固くもろくなっていきます。 柔軟性を失った血管は壊れやすく様々な病気の原因になっていきます。上の血圧、下の血圧とは収縮期血圧、拡張期血圧ですが、 収縮期血圧というのは心臓が収縮して全身へ血液が送り出されるときに血管にかかる圧力のことです。 拡張期血圧は心臓が拡張して次に送り出す血液を貯めているときに血管にかかる圧力です。よく下が高いのが悪いとか、上が高いのが悪いとか言われますが、基本的に我々は収縮期血圧、上の血圧をメインに考えて治療をしています。 その理由として降圧薬は基本的には収縮期血圧を下げ、拡張期血圧はそれに伴って下がります。拡張期血圧だけを下げる薬はありませんので、そのため収縮期血圧をメインに考えます。 また昨今自動血圧計で測定する自宅血圧が大事といわれていますが、収縮期血圧に関してはある程度正確ですが、拡張期血圧は比較し誤差が多いと言われています。 その理由もあり主に収縮期血圧を指標にして血圧管理を考えています。
図2:血圧は常に変動しています
図2:血圧は常に変動しています
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 また患者さんによく聞かれる事として、100mmHgだった血圧が150mmHgになって大丈夫なのかという事がありますが、血圧自体は常に変動していると言われています。 例えば激しい運動、無酸素運動で走っているときは200mmHgを超えることもありますし、寒いときとか排便後も血圧は上がっています。 救急受診された患者さんの訴えとしてよく耳にすることとしては、血圧が上がったから眩暈がしたとか、血圧が上がったから頭痛がしましたという事を聞く機会があります。 ただ血圧の上昇に伴う症状は高度でなければほとんどないと言われており、実際は眩暈のため血圧が上昇したと思われますし、頭痛がしたから血圧が上昇したと考えられます。 血圧は様々なストレスで上がったり下がったりを繰り返しており、また血圧は一日の中でも上昇下降の日内変動があります。 通常起床とともに上昇し、夜間は低い値を示します。しかし夜間十分血圧が下がらない方と脳卒中との関連が報告されています。 また朝方の血圧上昇、モーニングサージといいますが、これ自体が脳卒中と関連しているともいわれています。
図3:高血圧による障害
図3:高血圧による障害
 話は少し変わりますが最初に心血管病といいましたが、この高血圧という病気は全身の動脈に障害をもたらします。 心臓であれば心不全、心筋梗塞、狭心症ですし、脳であれば脳出血、脳梗塞ですし、その他の全身の動脈硬化、さらに腎臓、腎臓硬化症、慢性腎臓病という疾患の原因になります。 心血管病とはこのすべてを含んだ動脈硬化性の病気のことをいいます。
図4:高血圧と脳卒中
図4:高血圧と脳卒中
 血圧が高いほど脳卒中が起きやすいという一つのデータとして 日本では久山町での研究が有名です。 580名を対象に追跡32年間の研究ですが、収縮期血圧が120mmHg以下の人は1000人中7.3人の脳卒中発症率ですが、180mmHg以上の人は61.7人の発症率で血圧上昇に伴う脳卒中の発生率上昇が証明されています。
図5:高血圧と心・血管障害
図5:高血圧と心・血管障害
 フラミンガム試験は世界的に有名な研究ですが、その研究においても脳卒中との関連で血圧が低い人の危険率は低いですが、血圧が上がると危険率が一気に上がることが報告されています。
図6:血圧の基準値
図6:血圧の基準値
 血圧の基準値は至適血圧が120mmHg以下かつ80mmHg以下で正常血圧が130mmHgかつ85mmHg以下であり 高くなるにつれ1度高血圧、2度高血圧、3度高血圧と分類されています。 ただもう少しで血圧に関する新基準がでると言われていますが、簡単に言うと70歳以上の方はもう少し基準が甘くなると言われ140mmHg程度であればいいのではないかという基準に代わることが予定されています。
図7:心血管病の危険因子
図7:心血管病の危険因子
 先ほどの北村先生のご講演にもありましたが 心血管病の危険因子は高血圧だけではありません。高齢、喫煙、高血圧、脂質異常、肥満、メタボリックシンドローム、内臓肥満、若年発症の心血管病、家族歴、糖尿病、等が報告されています。 心血管病は、先ほども申したように脳出血、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、腎臓病、頸動脈狭窄、眼底の病気等、つまり全身に動脈は流れていますので 全身の臓器がやられてくる可能性があるため心血管病と呼ばれています。
図8:心血管病の発症リスク
図8:心血管病の発症リスク
 今回高血圧をメインに話をしていますが、高血圧以外のリスクの程度や数によって心血管病リスクが高くなると言われています。つまり正常血圧でその他のリスクも無い人は心血管病の危険は少ないですが、 血圧も高くその他糖尿病や腎臓病等を有する患者さんは、心血管病の発症リスクが高くなります。
図9:心血管病の発症リスク
図9:心血管病の発症リスク
 血圧が高いほど高血圧以外の危険因子が多い程心血管病リスクが高くなりますが、それは様々な研究で報告されています。
図10:生活習慣の改善を
図10:生活習慣の改善を
 血圧が高い方の生活管理として、食塩制限、栄養バランスの良い食事、体重の維持、運動、禁煙、節酒をバランスよく行っていくことが大事と言われています。
図11:減塩が効果的
図11:減塩が効果的
 呉は減塩の町として全国的に有名で、減塩サミットも行われました。次の講演で減塩の話もあると思いますが減塩に関してもバランスのいい管理が大事になると思います。 自分で考え、自分で実践していくことが大事で、他者からの強制では逆効果になることもありますので、自分自身が長期間にわたり実践可能な生活習慣を決めていくことが大事になっていきます。
図12:運動も有効
図12:運動も有効
 経験的に言うと有酸素運動を生活習慣の改善の中心に置くと長く持続できる頻度が高いように思われます。是非有酸素運動をベースにして心血管病発症のリスクを減らすことを考えていかれれば良いと思います。
図13:降圧薬によるコントロール
図13:降圧薬によるコントロール
 しかし、生活習慣病の改善においても血圧が高い場合、高血圧の危険性はいままでのお話のように相当高いと考えられているため、降圧薬の服用が必要になると考えられます。
図14:降圧薬の研究成果
図14:降圧薬の研究成果
 心血管病の累積発生率と降圧薬の関係を示した研究ですが、降圧薬を服用することによって、服用しない場合5年間で60%近く心血管病に罹患しましたが、20%近くまで減らというデータが報告がされました。 その後も降圧による心血管病発症リスクの軽減が多数報告されており、血圧自体は上昇しても症状はないのに何故下げないといけないかという理由として、これらの多くの報告がバックグランドになっています。
図15:家庭血圧
図15:家庭血圧
 最近家庭血圧の重要性が増しています。家庭血圧は診察時血圧よりも収縮期も拡張期も5mmHgずつ低い値が基準になります。診察時の血圧は収縮期140mmHg以上拡張期90mmHg以上が高血圧ですが、家庭血圧の場合収縮期135mmHg以上拡張期85mmHg以上が高血圧になります。
図16:診察室血圧と家庭血圧
図16:診察室血圧と家庭血圧
 白衣高血圧というのは診察時のみ緊張で血圧が高くなることを言いますが、白衣高血圧は基本的には高血圧ではありませんので、 診察室のときだけ高い方は自宅で血圧を測ることによって実際に高くないことが証明されます。また仮面高血圧とは、早朝だけ上昇、夜間が上昇、 もしくはストレスで上昇する方は、診察室では正常血圧の場合があり、自宅で血圧を測ることによって判ることがあります。
図17:脳卒中は午前中に発症しやすい
図17:脳卒中は午前中に発症しやすい
 脳卒中も心筋梗塞も午前中に発症しやすいと報告されていますが、これは先ほどのモーニングサージ、朝血圧が上がることが原因とされています。
図18:家庭血圧を測りましょう
図18:家庭血圧を測りましょう
 朝方の高血圧は診察室では分からないため自宅での測定が重要です。家庭血圧の測り方として、座って、起床後1時間以内、排尿後、朝の服薬前、朝食前に測定します。 1日2回測定が推奨されていますが、朝を測定すれば晩でも夕方でも座って1〜2分安静にした後に測定であれば良いとされています。 測定は1機会1から3回、できるだけ長い期間測定し自分の血圧を把握しておくことが大事です。またその全ての測定結果を記録しておくことが大事です。
図19:放置すると怖い心房細動
図19:放置すると怖い心房細動
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 ここまでは血圧と心血管病変に関し進めていきましたが、これからは脳卒中と心房細動に関して進めていきます。
 この写真は北村先生もお話をされていましたが長嶋監督の脳梗塞発症時の新聞記事です。 長嶋監督は発作性心房細動を持っておられ脳梗塞、脳塞栓症に罹患されてしまいました。多少の動悸しかないと放置すると怖い心房細動と言われています。 長嶋監督は発作性心房細動があることは知っておられたそうですが、多少の動悸だと放置されていました。そのため、脳梗塞を発症され右麻痺が残存するという結果になってしまわれました。
図20:国民栄誉賞
図20:国民栄誉賞
 ただ大変不謹慎ですが、診察室で心房細動の患者さんが受診され「血液サラサラにする薬を飲まないといけないよ」と言っても 最初は「えー何でそんな薬飲まにゃいけんの」とか「いやーあんまり症状も無いから」と言われる方が多いですが、長嶋監督の名前を出すと皆さんすぐに服用することの重要性を理解していただけます。 これ自体ほんとに大変不謹慎と思いますが、長嶋監督はこれのみで国民栄誉賞受賞可能なほど、心房細動からくる脳梗塞予防に寄与されていると思います。
図21:心房細動での血栓形成
図21:心房細動での血栓形成
 心房細動は、心臓内の左房に血栓が出来、それが左室に入ることによって全身に飛びます。飛んだ後は 脳動脈に詰まることもありますし、 心臓の血管に詰まって心筋梗塞になったり腎動脈に詰まったり、一回飛んだものはコントロール出来ないためどこに詰まるかは分かりません。
図22:心房細動における脳梗塞
図22:心房細動における脳梗塞
 脳動脈に詰まった場合は脳梗塞、脳塞栓症という病気になります。少し難しい表現で言うと、左心房が上手く収縮できなくなることを心房細動といいますが、 心房が細かくしか動かないため、左心房に血液が鬱滞してしまいます。血液が鬱滞することによって左房内の左心耳が特に鬱滞しやすいため、 その中に血栓ができることがあります。その形成された血栓が心臓から脳に飛ぶことによって脳塞栓が発症します。心房細動を持っている患者の脳梗塞のうち、 約80%が心原性塞栓症と報告されています。
図23:不整脈の分類
図23:不整脈の分類
 不整脈と言うとひとつしかないと思っておられる方もおられますが、不整脈にはたくさんの種類があります。除脈性不整脈とは遅い不整脈ですし、 脈が速い頻脈性の中でも上室性不整脈、心室性不整脈、簡単に言うと、上室性は心房とか上の方から起こる不整脈ですし、心室性は左室や右室から起こる不整脈ですが分かれています。
図24:心房細動とは
図24:心房細動とは
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 心房細動はその中の上室性、上の方から起こる不整脈の中の、脈が速い不整脈として分類されています。心臓の収縮というのは洞結節という体内のペースメーカーから一分間に何回打つかが調整されています。 ここから電気信号が下に下り房室結節を通り心臓全体に刺激が回って心臓が収縮します。しかし心房細動の場合心房を電気的興奮が旋回します。 旋回により心房自体は250から350回1分間に打ちますが、その電気信号の何回かに一回が房室結節を通り心臓を収縮させます。 そのため規則正しくではなくて不整に電気信号が心室に入り不整なリズムで心臓は収縮します。 動悸などの症状が強い患者さんもいますがやはり1番生活の質を悪くする原因は脳梗塞を発症することであり、その予防が1番大事と考えられています。
図25:心房細動の罹患率
図25:心房細動の罹患率
 本邦の報告では、1989年と以前のデータですが80歳代で2.5%の心房細動罹患率と報告されています。
図26:心房細動の新規発症率
図26:心房細動の新規発症率
 フラミンガム試験でも60歳以上で発作性、慢性とも罹患率が上昇し、また男性の方が多いとい報告されています。
図27:心房細動患者数の今後の推移
図27:心房細動患者数の今後の推移
 また心房細動患者さんの今後の罹患率の予測として、2000年から50年間で約3倍程度になる可能性があると報告されており、現在80歳以上で約1割ぐらいの方が心房細動を罹患、もしくは既往があると言われています。
図28:心房細動の予後
図28:心房細動の予後
 心房細動患者さんの予後ですが、心房細動を持っている男性、女性とも心房細動を持ってない女性、男性と比べて、累積死亡率が高くなると報告されています。 死亡率が高くなる原因の一番は、脳梗塞、脳塞栓症の発症と報告されています。
図29:心房細動の分類
図29:心房細動の分類
 心房細動は最初に発症した初発性心房細動、心房細動になったり止まったり、7日以内に止まるのを繰り返す場合を発作性心房細動、7日以上続くと持続性の心房細動、 1年以上続いても止まることがないものを永続性心房細動、もしくは慢性心房細動と呼びます。 発作性心房細動を持つ患者さんはどこかの時点で、慢性的な心房細動になる、と言われています。
図30:不整脈の検査
図30:不整脈の検査
 不整脈の検査として、慢性、つまりいつも心房細動の方はこの12誘導心電図検査をすることによって心房細動を発見することが出来ます。 しかし発作性心房細動、起きたり起きなかったりの場合は発症しているときにとらえられないと判別できないため、 ホルター心電図という1日心電図を付ける検査を行ったり、運動して起きやすい人は運動負荷後に心電図をとり検査をします。
図31:心房細動、正常者との比較
図31:心房細動、正常者との比較
 心房細動患者さんと正常の方の比較ですが1番少ない報告でも2倍以上、多いものでは7倍ぐらい、正常の方よりも心房細動患者さんは脳卒中になりやすいと報告されています。死亡率も約2倍、無い人に比べて高いという報告されています。
図32:タイプ別脳梗塞発症率
図32:タイプ別脳梗塞発症率
 またこの10年くらいの研究では持続的心房細動と発作性心房細動の、脳梗塞発症率は同等であると報告されており、 どこかの時点で血をサラサラにする治療を発作性であっても持続性であっても開始しないといけないと言われています。
図33:心房細動の治療
図33:心房細動の治療
 心房細動に対する治療として、心房細動を止める治療をリズムコントロールと呼び以前の主とされる治療でした。 以前も現在もされているのはレートコントロールといって脈が速いことで症状が出現するため脈を抑える治療を行うものです。 もう一つは血栓塞栓症を予防する治療として抗凝固薬の服用が治療法です。
図34:AFFIRM Study
図34:AFFIRM Study
 AFFIRM Studyという有名な試験が2002年報告されました。結果はリズムコントロール治療とレートコントロール治療の間の予後を検討すると、 有意差はありませんが、リズムコントロール治療で死亡率が高い傾向があるという結果が報告されました。
図35:心房細動患者の脳卒中予防
図35:心房細動患者の脳卒中予防
 予後のもっとも大きな規定因子はワルファリン服用の有無が関与したという結果でした。また別の報告ではワルファリンの服用で脳梗塞を60%も抑制したというデータがあり、 やはり心房細動は血液をサラサラにしないといけない、という事が分かってきました。ただサラサラにするのはいい点だけではなく、出血する頻度を増しますので、どういう時点でサラサラにするかという問題があります。
図36:CHADS2スコア
図36:CHADS2スコア
 一般的によく使われているのがCHADS2スコアです。心不全があり、高血圧があり、年齢が75歳以上で、糖尿病があり脳卒中の既往がある、 これらが全部あると、脳梗塞の発症頻度が高く、少なければ低いため、それを点数化して薬の開始時期を規定しています。
図37:総括
図37:総括
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 最後に総括すると、やはり自分が実践できる、薬を飲むのもそうですし、他の人から飲み過ぎよと言われても、これは必要な薬だから飲まないといけないんだ、 と答えることができる、また頑張って運動しよう、塩分控えよう、と考え実践するのも自分です。自ら考え予防策をしっかり行うことにより、 健康的に長く暮らしていけるようになるのではないか、というのが今の私の考えです。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

豊田: 豊田章宏  松田先生、ありがとうございました。前半は血圧のお話、後半は心房細動など不整脈のお話と、非常に分かりやすくお話し頂いたと思います。 血圧に関しては白衣高血圧という言葉がでてきましたが、確かに我々も美人の看護師さんに測ってもらうと血圧が高くなるっていうことがあるかも知れません。 つまり、血圧は病院で測るだけじゃなくて、ご自身で自宅で測った記録を、診察のときに持ってきてもらった方がいいということですね。
松田:  そうですね。今よく手帳もお渡ししておりますので、ぜひ測っていただければと思います。
豊田:  会場の皆さんはご自宅で血圧を測っておられますか? 血圧計そのものを持っていない方も多いので、なるだけご自宅に備えて測ってもらった方がいいと思います。
 血圧は朝も晩も違うことがありますし、ちょっと興奮すると高くなるし、寒い時も違ってきます。松田先生のお話に朝方の高血圧が危ないってお話がありましたが、一方で運動もした方がいいというお話もありました。 朝起きてウォーキングするって方も多いと思うんですが、この点気を付けることはありますか?
松田:  朝方に急に寒いところに出る場合逆に血圧を上げることもあるので、ある程度温くして自分の体調に合わせて行うことが大事だと思います。急に寒いところに出て、 朝方上がっとるところをさらに上げる可能性があるので、自分の調子に合わせ行う事が大事と考えられます。
豊田:  それでは、ウォーキングとかするならいっそのこと夕方の方がいいですか?
松田:  そうですね、逆にある程度温くして十分準備体操してからやるのであれば朝方でもいいと思います。糖尿病を有する人も多いですが、食後の方が食後の血糖値上昇を抑えることができるので、 朝食事をして30分くらい休み ある程度温くなってから運動されるのであればよいのではないかと考えております。
豊田:  じゃあ、朝起きてすぐ出かけるんじゃなくて、朝御飯を食べてちょっと落ち着いてから、準備運動もしてからがいいということですね。分かりました。
 それから不整脈のお薬、これは勝手にやめると非常に危ないっていうお話がありましたね。確かにお薬をたくさん飲んでいる方がいらっしゃいます。 多い方は10種類以上飲んでいる方もあると思います。薬が多いから減らしてくれと言われる方も確かにありますが、中には薬を止めてくれっていう割には、 他にいろんなサプリメントを飲んでいる方もいらっしゃいます。本当に気を付けなければならいのは、手術を受けたりするときに薬を止めるときがありますよね。 これはどうでしょう?
松田: 写真・松田圭司 さん  そうですね、手術のときはやはり止めると、私も何例か残念ながら手術のためワーファリンを止めないといけないということで止めてしまい、 脳梗塞を発症された方を何例か経験しています。現在、目と歯の治療で可能な場合はサラサラの薬を止めずに施工することがガイドラインで決められています。 もしサラサラの薬を飲まれてる方で目と歯の治療をする方は、やはり止めずに施工していただける病院で治療されたほうがよいかもしれません。 目と歯の治療をして脳梗塞になった場合はすごく後悔されますので。他の消化器系の大きい手術の場合はその危険因子によって注射薬に変えてやったりという風な工夫をしています。
豊田:  そうですね、まあ大きな、命に関わるような手術をしなきゃいけないとか、そういう場合は入院してちゃんと管理してくれるのでしょうけど、 さっき言われたような白内障の手術とか、抜歯とかのときに薬を止めて脳梗塞になったのでは、 後々後悔しますのでそういうときはちゃんと相談してから手術を受けましょうね。
 松田先生ありがとうございました。皆さん大きな拍手でお送りください。(拍手)
松田:  ありがとうございました。
講演当時のものです)
 
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