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アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
トップページ第20回講演会>アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒

豊田:
アルコール控えめは薬過ぎれば毒
アルコール控えめは薬過ぎれば毒
図22:飲酒と脳卒中
図22:飲酒と脳卒中
(クリックすると拡大表示します)
 タバコとくればお酒ですね。「アルコール、控えめは薬、過ぎれば毒」とあります。次のスライドでは、飲酒と脳卒中の関係が示されています。 脳梗塞と脳出血とに分けて書いてありますが、どちらも高血圧の有り無しで発症する確率に差が見られます。お酒の影響については脳出血のほうが高いようですね。 1日1.5合以上飲む方は率が高いということになるのだと思いますが、皆さんはどれくらい飲んでおられますか? 毎晩飲んでおられる方はいらっしゃいますか?  毎晩までは飲まない? まあ、ちょっとだけという方はいらっしゃいますか? 会場にはあまり大酒飲みはいらっしゃらないようですね。
 脳卒中になった方が外来に来られて、「先生、お酒飲んでもいいですか?」って聞かれることがありますが、ゲストの先生方はどう答えられますか?  まずは神経内科の杉本先生いかがでしょうか?
杉本:  そうですね、医師の発言は家庭生活に対する影響が大きいですからね。私はあまり手綱を緩めない形で言う場合が多いです。 もちろん、ちょっとはいいですよって言うのですけれど、「お酒ですか、いいですよ」って言うと、その発言を利用して、 患者さんが「医師にいいって言われた」と配偶者の方に都合よく伝えて飲んじゃうっていうことが多々ありますので、そこに配慮しながら言っています。
豊田:  では脳外科の三好先生はどうですか?
三好:
写真:三好浩之さん
 そうですね。僕の場合は、さきほど杉本先生がおっしゃったようにご家族との話もあるのですが、たとえばちょっとで止められる、 とくに1合とかその程度で止められる方だったら、まあ飲んでもいいですよと言います。 たとえばちょっとでも飲んだら深酒になっちゃっていっぱい飲まないと落ち着かない人とか、毎日飲まないと全然ダメだとか、いう方だったらお勧めはしていません。 できたら止めてもらいます。また、年齢にもよりますけど、それが楽しみで80何年やってきたんだと言われたら、それはまあ何か起こったとしても、 しょうがないかも知れないし、その辺を覚悟の上でどうですかねって感じで話をさせていただいています。 なので、その人に応じて、その人の今までの状況とか、ご家族との関係性だとかに応じて説明も使い分けています。
豊田:  循環器科の松田先生はどうです? お酒に関しては。
松田:  そうですね、僕は自分がよく飲むので何も言えないんですけど(笑)。脳梗塞のほうは分からないですが、心筋梗塞に関してはですね、同じ梗塞なんですけど、 実は心筋梗塞になって禁酒したほうが予後が悪いというデータがあって、逆に1合とか適度に飲んでおられたほうが、禁酒するよう予後がいい。 それよりもちょっと多い量でも禁酒のほうが悪いというデータがあるのです。 よく患者さんの奥さん来られて、この機会にタバコも酒も止めるように言ってくれませんかと言われるのですけど(笑)、 あの、僕はちょっと甘いのかも知れないのですが、一応優先順位を付けて、絶対タバコを止めさせるために、お酒には少し逃げ場を残すっていうことをする場合があります。
豊田:
写真:豊田章宏さん
 ということで、会場の皆さん、禁酒に関しては主治医のお酒の飲む量にもよるということです…(笑)。
 先生に聞いたらちょっとはいいと言われたから飲むっていうのは気をつけましょう。この「ちょっと」が問題で、本当にちょっとならいいんですけど、 「どれくらい?」って聞くと 「コップにちょっとですよ」とおっしゃいますが、そのコップのサイズにも色々とあります。本当に1合で済んでくれればいいんですけどね。 それで済めば少しは飲んだほうがリスクを下げるケースもあるかも知れません。とにかくご自身の健康に関わることですので、ここにあるようにですね、 飲みすぎは禁ということでございます。
図23:節酒(1日飲酒量の目安)
図23:節酒(1日飲酒量の目安)
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 はい、このスライドですね。禁酒って書いてないです、節酒って書いてありますね。適度の飲酒ってことですね。1日の目安としてはビール500ml。 これぐらいまではいいだろうってことですね。中ビン1本、缶ビールだとロング缶1本です。日本酒ならば1合。ウィスキーならダブル1杯。 ワインだとグラス2杯ということになります。缶ビールとかビンビールとか、1本、2本って数えられるものはいいんですけど、 例えば焼酎ともなるとどれくらい入れたか分かんないですよね、色も付いてないですから。6対4で割るって言ったらお酒が6の人もあるし、 お湯が6の方もありますので、この辺はちゃんと個人で気を付けていただきたいと思います。このお酒の話ですが、栄養管理の上ではいかがでしょうか?  よくお酒飲むからご飯を抜く方とかいらっしゃるじゃないですか。
外裏:
写真:外裏貴子さん
 いま言われたように、酒は百薬の長で、多少飲んでいただくのはいいと思うのですよね、食欲増進にもつながるかなあと思うんですけど、 その時のおつまみが少し原因になることがあるかも知れませんね。塩辛いものとか、脂っこいものがおつまみになるとそれが影響を与えることがあるかも分かりません。
豊田:  なるほど、お酒だけの問題ではないというご意見も出ました。お酒の多少はいいけれども、一緒に食べるつまみは日本酒だと塩辛い干物、 ビールだったら脂っこいから揚げとかが美味しいですよね。「から揚げ」=「酸化したよくない油」、「ビール」=「アルコール」、危険なコンビが完成しますね、 危ないですね。これからはお酒の量だけではなくて、これに伴ったつまみとかもね、考えていただきたいと思います。

講演当時のものです)
 
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