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【市民公開シンポジウム】「脳卒中を知らんにゃあ、いけんじゃろう!」
【脳卒中はどこまで治せる? 最先端治療と限界】
トップページ第13回講演会>脳卒中はどこまで治せる? 最先端治療と限界>
【脳卒中予防のあれこれ、本当に効果があるの?】 ・ 【これって脳卒中? 自己診断のコツと対処法】

豊田:  皆さんカード頂きました? 脳卒中予防の十か条のカード、貰ってない方いらっしゃいます? お届けしますよ。皆さん届きました? 大丈夫です?
 さて、さっきお薬の飲み方とかの話が出たんですけど、その中にもあったように、お薬手帳を持ってきてください…と、言われるんですけど、 最近よく言われるジェネリックとか、(桃太郎侍がCMで出てきますよねぇ、)ではいろいろな名前が出てきて、僕らも分からない名前があるんですが、実際のところですね、 ジェネリックって一体なんなの?っていうこともやっぱり知っておいた上で選ぶほうがいいだろうと思います。 その辺の情報も今日はご紹介しておこうかなと思います。
 ジェネリック医薬品のことちょっとご説明いただけますか?
中嶋:  ジェネリックという言葉…、テレビでかなりやってますからご存知ですよね。聞かれたことのある人・・・
− 会場で挙手 −
 あ〜、多いですね。
豊田:  何といっても桃太郎侍がでてますから・・・
中嶋:  そうですねぇ〜。なぜジェネリックというのを宣伝したり進めようとしているのか…ですね。 新しいお薬を作るのには研究・開発にものすごいお金がかかるんですね。 創薬されたメーカーさんが新しい薬を出された場合、ある程度利益を確保しなければなりませんので特許期間というのがあるんですね。 その特許期間が切れた場合ですね、他のメーカーさんがそれと同じ成分の薬を物まねして作ることができるようになるんです。 最初に出たお薬は大変お金がかかってますから、大変高くお値段が設定されています。薬の値段は国が決めるんですね。会社が自由に決められるわけではないんです。 最初に出たお薬は高いお値段になってますけども、あと物まねで作る薬は研究・開発代がかからないんで安い値段を設定されるんですね。 ですから安い値段のものを使えば医療費が抑制できるだろうからということで国が一生懸命進めているわけです。 薬の値段が安いから。同じ効き目、同じ成分であれば安いほうがいい。宣伝してますけども、はたしてそうなんでしょうか。 実はですね、同じ効き目かどうかは分からないんですね。
豊田:  え、分からないんですか?
中嶋:
スライド・「生物学的同等試験の個別データ」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「生物学的同等試験の個別データ」
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 はい。そのテストがされていないですから。普通お薬が出てくるときには臨床試験といいまして、 病気の方に実際に飲んでいただいてどの程度効果がありますよと試験されています。 でも、ジェネリック医薬品というのはその試験がなされていないんですね。ではなぜ同じ効き目といって売っているのか・・・。 一応、薬の溶け方とか、人の体の中に入る薬の量は同じということは証明されているわけです。 この試験は行われているんです。同じ成分が同じ量だけ体に入れば同じ効き目だろうということで許可されてるわけですね。 それがこのグラフなんですけれども、実際に薬を飲んだときに、どれくらいからだの中にはいっていくかを表したグラフです。 薬が体内に入っていってだんだん出て行くという量を示したグラフなんです。これが同じだから同じ効き目だろうということで許可になっています。 さきほど医療費抑制のためと言っておりますけれども、とくに呉市の場合には、非常に医療費が高くなっちゃってるんですね。 かなり税金を入れなければならないぐらい医療費が高くなっちゃってるんで呉市のほうから通知がいってますよね。 ジェネリック医薬品を使ってくださいということで。決めるは皆さんですから薬局薬剤師、お医者さんと相談して、決めていただいたらいいです。 しかし、ジェネリック医薬品への切り替えを進めていくのも問題はあります。
スライド・「ジェネリック医薬品の不安要因」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「ジェネリック医薬品の不安要因」
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 効果や副作用の現れ方が不明であるということですね。品質にいろいろ問題があるんじゃないかといううわさが出るんですね。 錠剤を作るときに薬として効く主成分は同じなんですけれども、錠剤にするための添加物が違うんですね。 メーカーによって加えられているものが違います。中には不純物が若干入っている可能性があるものがあります。 ということで、信頼性がどうなのかというお医者さんの不安感というものが非常に強いということがあります。 3つ目に日本国内の創薬力が衰退すると書きましたけれども、新しいお薬の開発には大変なお金と期間がかかるわけなんですけれども、 ジェネリックメーカーさんが薬をどんどん売ることで、新しく薬を開発する薬メーカーさんの売り上げがどんどん落ちるんですね。 そうすると薬を研究・開発しているメーカーさんが日本人に合った薬を一生懸命開発しているのに、その力がどんどん弱くなってくると日本人に合った薬が開発されるのかという不安感があるんですね。 そこら辺は経済的な問題とかになりますけれども、将来、日本人に合った薬がなくて外国から全部入ってくるのは困ったもんだと思っているんですが、 そういった心配もあります。不安感もあるし、これを進めることで起こってくる問題もいろいろとあるわけですね。
 では、そういった問題ばっかりなのかということなんですけれども、さきほどのグラフなんですけれども、先発医薬品といってもひとによって体に入る量に差があるんですね。 ジェネリック医薬品の効果が弱いんじゃないかという不安があるにしても、ジェネリック医薬品にも幅がありますけれども、これだけ先発医薬品と呼ばれるものでも効果に差があります。 ジェネリック医薬品も当然少し差があります。はたしてジェネリック医薬品だから効果がないのか、とは言えないわけですね。 飲む人によって違うわけですから、病気の人で試験をされてると言いますけれども目の前にいる患者さんについての試験はなされていないわけなんですね。 結局は飲んで頂かないと効くか効かないかは分からないということもありますから、まあ医療費抑制のためにはぜひ協力してくださいというのが行政側が言ってる理由ですね。
スライド・「ジェネリック医薬品への変更(案)」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「ジェネリック医薬品への変更(案)」
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 そういうことで、薬を変えるのはちょっと不安だなあと思うこともあるかと思います。そういった場合、どういったタイミングで変えたらいいのかということを提案してみたいと思います。 いままで飲んだことのない新しい薬を使われる場合ですね、この場合はさきほど言いましたように先発医薬品であっても、ジェネリック医薬品であっても効果がどの程度でるかが分からない、 副作用がどの程度でるのかが分からない、ということになりますので、まずジェネリック医薬品を使ってみるというのがひとつの手ではないかということ。 2番目は用量の変更をする場合、細かい用量を変更するものについてはですね、先発メーカーの薬の量を変えるほうがいいと思います。たとえばワーファリンなんかでも4分の1錠とか先生方調整されるんですね。 薬潰したり切ったりですね作ってる薬剤師は大変なんですけれども、そういう細かい量で調整されるものについては、ジェネリック医薬品に変えることでズレが大きくなる可能性がありますから、 その場合はやっぱり先発医薬品を調整していただくほうがいいかと思います。けれども、いままでのお薬の倍量とかですね、半分にするとか、そういった大きな差で変えられる場合は、 ジェネリック医薬品に変えられてもそんなに大きな誤差は出ないんじゃないかということで用量を変更する場合にはジェネリックをちょっと使ってみていただくのもひとつの手ではないかと思います。 3番目、たくさんの種類のお薬を飲まれてるとですね、いっぺんに変えちゃうのも不安だし、いっぺんに変えちゃって何かあったときにどの薬が問題なのか分かんなくなってくるわけですね。 そういった場合にはひとつずつ変えてみればちゃんと効果があるから、副作用が出なかったから、いままでと同じような効果で安い薬使っていただける、支払いが減るんだから、 いいことばっかりですよね。そういう要領でひとつずつ変えていくのもひとつの手ではないかということで、ジェネリック医薬品に変更する場合のポイントを提案させていただきたいと思います。
豊田:  なるほど。要は正直いってよく分からない部分があるっちゅうことですよね。 ただまあ、牛丼は牛丼でもいろんな店によってみな違うということもあるし、中の紅しょうがの質が違うかも知れないし、だけども牛丼は牛丼であると、有効な肉の量は同じですよ、 ということですけど、周りのごはんの量とかタレの量が違うかも知れない・・・そういったことですね。 ですから、いい面も悪い面もあるでしょうから、安いに越したことはないでしょうし、ブランド物着て行くときもあれば、ユ●ク●着て行くこともあるでしょうし、 そこは皆さんが使い分けると。ただ、知ってて使い分けれればいいですけど、知らないまま何かあるとまた困るので、ご理解をいただいておけばということです。 僕らもこういう情報があまり入ってこないんですよね。ありがとうございます。
ちらし・「市場原理が医療を滅ぼす」(クリックすると拡大表示します)
ちらし・市場原理が医療を滅ぼす
 ただ、お金、お金、と言ってると、医療もどんどん潰れていっちゃいますよということもあるんですよね、実際は。高齢者の医療費削られてね、実費負担とか大変じゃないですか。 国もお金、お金というとどんなことになるのか。今日、実は1枚パンフレットを入れておきましたけど、これ広島である講演会のご案内です。 実際、アメリカの医療ってすごく進んでるよってテレビでやりますけど、実際はどんだけ崩壊しているかっていうこと。 あんまりお金、お金っていうと、こないだの株式市場、なんたらブラザーズっていうプロレスラーみたいなリーマン・ブラザーズの件がありましたけど、 結局あんまりお金、お金って言ってると、そのトップのひとだけお金使って、あとはとんでもないことになってしまうよってこともあります。 これもぜひ、皆さんよろしかったらアメリカの医療の実情というものを知っていただいて、日本の医療がそう悪くない状況にあるということ理解いただくことも大事だと思いますので、 機会がありましたら行ってみてください。
 さあ、脳卒中に話を戻します。脳卒中になっちゃったらすぐ病院へ・・・といのがありましたね。 さっきご唱和いただきました。じゃあ、自分が脳卒中になったかどうか判断つかないことには、救急車の呼びようがないですよね。呼んでいいものかどうか。 これって脳卒中なのかどうなのか。症状を皆さん知っておいて頂かなくてはいけないですね。 そこの症状をぜひ示していただきたいと思います。
寺澤:  脳卒中ではどういう風な症状が出てくるのかといいますと、いくつか症状があるんですが、すべてに共通するのはいままで元気だったひとに突然に起こるということです。 その中で脳梗塞、脳出血の症状ですけれども、半身の脱力感、右の手足、あるいは左の手足(まれに両方の手足のこともあります)、半身のしびれ感、じんじんした感じ、 あるいは感覚が分かりにくいような感じですね。これが一番多いです。次に多いのが言葉の障害ですね。構音障害というのは呂律が回らない状態ですね、 失語は言葉がなかなか出てこないという状態ですね、それから視野障害、目の症状ですけれども、視界の一部分が見えなくなった状態、 あるいは複視といってこれは物が二重、三重に見える状態を言いますけども、脳卒中で見え方の症状がでてくる場合があります。それからめまい、平衡障害もバランスが取れない状態ですね。 これが脳梗塞、脳出血の症状で突発的に起これば脳卒中を疑わなければなりません。
豊田:  急激に起こるということですね。これ文字で書いてあるとなかなか分かりにくいので、実演をしてもらいましょう。
松井:  そうですね。うちの学生、3年生がですね、この症状を少し練習してきたので・・・(学生)出てきてください。
− 学生、客席の左右、前、中、後に配置する −
豊田:  皆さんもぜひこれ見ていただいておいて、たとえば家族の方とか、一緒にいる方がこういう症状がでたら救急車呼ばなきゃいけないので、ぜひ、見ておいてください。
松井:  シンシナチー病院前脳卒中スケールという名前なんですけれども、ご家庭とかですね、町で出会ったときに、 その症状を一時で判断できるというものなんですが、まず顔の症状と、手の症状と、言葉の症状と3つのことがあります。
 お顔のほうなんですけれども、学生さんたち、今は普通の顔をしてますけども、それがですね、 ちょっと脳卒中になってしまったということで、歯を見せてください。いーって片方の口唇だけが動いてないですね、 全然動いてないですね、その状態が異常であると見極めていただきたいと思います。
写真・手の麻痺を演じる学生さん(クリックすると拡大表示します)
写真・手の麻痺を演じる学生さん
(クリックすると拡大表示します)
 次は、なんか手のほうが力が入らないということで、手を上げてもらってみましょう。 両手を前に出すように上げてもらって、前にならえの状態ですね、それで10秒間数えます。1・2・3・4・5・と、だんだん手が落ちてきたりですね、 逆に上げられない、パタンとかたっぽだけ落ちてくる。麻痺があったりしびれがあったりするとパタンと落ちてしまうという症状が出てきます。 なかなか上がりにくいとか、すぐにおりてしまうとかですね、そういった上肢、腕の症状が出てまいります。
 そして言葉の症状です。正しく言えるかどうかですね。「今日はいい天気です。」と言ってみてください。 麻痺とか、脳卒中になってしまいますと声が口ごもったようになりますね。やってみてください。
豊田:  呂律(ろれつ)が回らない状況ですね。
松井:  そうですね、呂律が回らないとか、なかなか思ったことが言葉になって出てこない。
豊田:  これ「今日はいい天気ですね。」って標準語でなくても、「今日はええ天気ですのぉ〜」でもええですね。
松井:  いいですね。
豊田:  「ええ天気じゃけぇ〜」でもええですね。とにかく、言葉が、呂律が回らない。 顔面の神経が麻痺して「いーっ」と口を左右対称にできない、手を、上がらない人は完全に麻痺ですけれども、 軽い方でも10数える間にすーっと落ちてしまう。そういったことがポイントになるというわけですね。
松井:  はい。そういったことがポイントになってます。
豊田:  こういった簡単な見極め方ですね、その3つ。顔と手と言葉と、見てもらって、こりゃ脳卒中になったなとなったときには、 じゃあどうしたらいいのか。それをお願いします。
松井:  それでは第2弾としてですね、脳卒中劇団。準備はよろしいでしょうか。それでは見て下さい。よろしくお願いします。
豊田:  今日は大サービスですね。
松井:  紹介します。ナレーター役の○○さん。
(ナ):  こんにちはー、よろしくお願いします。
松井:  奥さん役がいまーす。うらぶれた夫役がいます。
豊田:  ここ、夫婦ですね。
松井:  はい。後ろがですね、彼が救急隊役をしまーす。そして、出てください。 こちらから糖分君と塩分君と脂肪君で余分3兄弟と呼ばれております。
豊田:  糖分、塩分、脂肪・・・、あぁ、脂肪らしい人いましたねぇ(笑)。
松井:  余分3兄弟です。このキャストでやってみますので、よろしくお願いします。
(ナ):
写真・ナレーター役と救急隊役(クリックすると拡大表示します)
写真・ナレーター役と救急隊役
(クリックすると拡大表示します)
 これから脳卒中になってしまったときの対処法について実演します。
 道中庄助(仮名)さん 66歳
 朝起きてトイレに行こうとしていた。少しフラついていたが、昨日のお酒が残っているんだろうと思っていた。 しかし、いつもと違い右手が重いような、しびれているような感覚がする。まだ手も指も動くがなんだかいつもと違う。 おかしい! そして用をたしているとき突然右手が重くなった。右足に力が入らなくなった。 倒れそうになるのを必死でこらえて妻のもとに行った。
 …が、妻はまだ寝ている。 妻を呼ぼうとするが声が出ない。 そうしているうちに体のバランスがとれなくなって倒れてしまった。ビックリして妻、目覚める。
妻:  「おとうちゃん…どうしたん…」
(ナ):  右手が動かない、声も出ない、しゃべろうとするが言葉になっていないようだ。
 妻はどうしようかと慌てていたが、・・・そうか!と手をうつ。呉大学の講座で教えてもらった脳卒中の救急対応があることを思い出した。 すぐに電話の前に行き「そうなったとき連絡表」をみて119番通報をした。
救急隊:  “はい、こちら山の上消防! 火事ですか? 救急ですか?”
妻:  「もしもし、こちら道中です。夫が急に倒れて声が出ないんです。右手が動かないようで麻痺しているようです。すぐに来てください。」
救急隊:  “場所はどこですか?”
妻:  「阿賀中学校のそばのアパートです。」
救急隊:  “意識はありますか?”
妻:  「はい、あります。」
救急隊:  “口の中から泡や食べたものを吐いていませんか?”
妻:  「出てません。」
救急隊:  “そのままの状態で横になっておいてください。 もし吐き気や意識がなくなってきたら身体を横にむけて顎を上げるようにして気道を確保してください。”
− 妻役、倒れた夫役を横に向け顎を挙げる動作をする −
松井:
写真・体を横に向けたところ(実演)(クリックすると拡大表示します)
写真・体を横に向けたところ(実演)
(クリックすると拡大表示します)
 いま顎を上げてもらいましたが、何か物を吐いたりですね、ぼごぼごといったらすぐに体を横に向けてですね、 顎を上げるようにしてください。手をお腹の上において、膝を曲げてくださいね。 そのまま膝を向こうへ押してください。そうすれば簡単に横に向きます。そして顎をですね、 上げるようにして食べ物を吐いたときにのどにひっかかったりしないようにしてあげてください。 こうした体位をとると誤嚥することもありませんし、その間に救急車を待てると思いますので、 気道を確保する・・・空気の通り道をつけるということがですね、重要なところだと思いますのでよろしくお願いいたします。
写真・余分三兄弟(クリックすると拡大表示します)
写真・余分三兄弟
(クリックすると拡大表示します)
 それでさきほど救急車が来ましたけれども、場所を確認するというのもですね、大きなところに何があるのかという、 皆様のお手元に救急対応の「○○ちゃんに連絡」とかありますけども、 そこにひとつ加え入れていただきたいのが目印になるものを何か書いておくとすぐに救急車が対応できるということを消防隊のほうから聞きましたので入れていただきたいなと思います。以上です。
 余分3兄弟まだ寝てますね。
豊田:  余分3兄弟、出番はどうなってますか?
松井:  一応じゃあ、余分3兄弟、一言ずつ。なんか大きな声で言うと言ってましたけど・・・
塩分:  塩分の長男です。漬物の摂り過ぎ、漬け過ぎにご注意ください。
糖分:  次男の糖分です。あま〜い。・・・すんません。
脂肪:  末っ子の三男の脂肪です。脂肪の摂り過ぎには気をつけましょう。
松井:  はい、ありがとうございます。以上、余分3兄弟でした。(拍手)
豊田:  もう一度大きな拍手をお願いします。
 大事な点がいくつか含まれていましたね。倒れたときに吐物といって吐いたものを詰まらせて窒息して亡くなってしまうことがあります。 吐く場合は横に向けたり、息ができるように顎を上げてあげたり、それを気をつけてください。それと場所が分からないといけないですよね。 タクシーを呼ぶのでもそうですけど、なんとかさん宅の隣りと言っても分かりませんので、分かりやすいようにしておきましょう。
 よく分かっていただけましたでしょうか。それで救急車に乗って行きます。救急車で乗って行ったときに、今は新しい治療、とくに脳梗塞の場合、時間を争う治療があります。 それをちょっと説明をいただきたいんですが・・・
寺澤:  脳卒中が起こった場合、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血でそれぞれ治療に違いはあるんですけれども、突発的に起こりますので救急車を利用されることが多いと思います。 とくに脳梗塞の場合は、血液の流れをサラサラにする薬、最近はt-PAという血栓を溶かす薬が出てきて治療成績がだいぶ良くなっております。 脳出血の一部、くも膜下出血の場合、一方では手術による治療が中心になります。 それから脳卒中、いずれのタイプでも共通するのはリハビリテーションが機能回復のために非常に重要であります。 それからとくに脳梗塞が一番多いんですけれども、一度なってしまった患者さんは2回、3回と再発することがありますので、 血液の流れをサラサラにする薬、血圧を下げる薬を飲んでいただく、そういうことによって再発を予防していくことが重要になります。
豊田:  さきほどから脳卒中になった症状を覚えてもらうことと、救急車を呼ぶ方法ですね、なぜそれをしつこくお願いしたかと言うと、 今説明されたt-PAという血栓を溶かす薬は、脳卒中になってから3時間以内に使わなければならない薬で、 時間の制約があります。3時間といったらあっというまですよ。病院に来られてこの薬を使うまでに検査にかかる時間等々考えたら1時間、2時間のうちに来ていただかなければいけないですから。 昨日からおかしいんじゃけど、酒飲んで寝て様子見たけど治らんけぇ来ました、という方がいらっしゃいますけど、t-PAは使えないですね。これ実際呉ではどうでしょうかね。 このt-PAの状況というのは…?
大庭:  t-PAについてですね、全国的にかなり報告が出てきていると思います。かなり有効性が高まってて、最初出たときは年齢の高い方には副作用とか心配されていたんですけども、これ全然関係なくてですね、 年齢に関係なく使えるということが確認されています。やっぱり一番大事なのは、呉医療センターにもたくさんの脳梗塞の方が来られるんですが、 この薬が使える限界が発症から3時間以内ということで、なかなかすぐに救急対応されていない方の場合には、たとえば翌日に来られた場合、 せっかくこういういい薬があっても使えなくて治らないということがしばしばあります。やっぱりこういう機会に脳卒中のことを知っていただいて、 今日はほんとにいい機会だと思ってます。
豊田:  自分が脳卒中だと分からない限りは救急車呼ばないわけですから、ぜひ今日習ったことはご近所なりご家族に伝えて欲しいんですね。病院に行って聞いてももう遅いですから。
 さて、t-PAですが、魔法の薬とまではいかないですけれどもいい薬です。しかしこれも限界もあると思うんですけれども・・・
大槻:  テレビとかで、夢の新薬とか言うてましたね。NHKとか言うてました。新聞にもよく載ってましたね。 救急車で行って皆t-PAを打ってもらえるかと言うと、広島大学病院でもだいたい20人に1人ぐらいだと聞いてます。 3時間以内に打たないといけないんですけれども、来られたときには2時間半とか、3時間を越えてから来られる方、あといつ倒れたか分からないというのもかなり多いかと思います。 病院にこられてから医師が診察して、点滴の用意をして、レントゲンを撮って、お薬の説明をする。大学病院では平均すると67分かかってます。中間平均でいうと50分かかります。 つまりうまくいくには倒れてから2時間10分以内に到着してないといけないんですね。これにかなりの方が遅れてしまいます。 それからお薬は全員に効くわけではないということです。それから特効薬…聞こえはいいですけれども、その言葉の裏には必ず副作用というものがあるんだよということもご理解ください。 副作用ですけども、脳梗塞で血管が詰まってるのに、そこが出血を起こしていて、お医者さん良かれと思って使ってみたら悪くなる方もおられますけども、 この悪くなる割合というのが10倍以上増えている、だいたいですけれども16人に1人がお薬の治療によって悪化すると言われております。 しかしながらこうであっても実際の成績は良くて、広島大学病院ではいま17例使っておりますけれども過半数以上の方は2週間以内に歩いて帰っておられます。 中等度以上の割と具合の悪い方ばかりが来られますけれども、非常に成績としてはいいというのが事実ではあります。 しかし来るのが遅れる方、副作用で亡くなられる方もおられるんですね。
豊田:  皆さんは早く行けるように心の準備、診断をしなければいけないということと、さきほどのお薬の話もそうですけれど、 どんなものにも表と裏があるということを必ず分かっておいてください。なんでもそうです。いい話には裏があるんで、それをよく理解しておかないと、 あとでトラブルの元になります。正しい知識と正しい治療を受けるということが大事ですので、ぜひぜひそこらへんをですね、 マルチ商法にひっかからないのと同じようにですね、いい話に裏がありますので、ぜひ分かっておいてください。 さぁ、では治療の話をちょっと続けましょう。内科的な治療がありましたけれども、外科的な治療の話を、とくにこれ山根先生、予防的な治療になるんですか。
山根:
(写真)山根冠児さん:クリックすると紹介ウィンドウが開きます
パネリスト:山根冠児さん
中国労災病院
脳神経外科部長
 脳卒中に対して、外科的な手術があるんですけども、手術の対象となる患者さんの数の割合からいけばですね、脳卒中全体の1割未満だと思います。 場合によってはそういった患者さんが集まってきますから多く見えたりしますけども、全体からすればかなり少ない。 脳卒中の治療とすればですね、内頚動脈の狭窄とか、閉塞したとか、血液の流れを改善させる。 あるいは脳梗塞の原因となる狭窄の部位をですね、きれいにするということで将来の脳梗塞を予防しようというための手術ですね。 ただこれも内科的な治療に外科的な治療を加えるということで、まず内科的な治療を行って外科的な手術もしたほうがいいんじゃないかという症例に対して、手術をしているということになります。
豊田:  これは首の血管ですね。
山根:  そうですね。
豊田:
スライド・「アテローム硬化による頚動脈狭窄」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「アテローム硬化による頚動脈狭窄」
(クリックすると拡大表示します)
 首の頚動脈、血管が細くなって、垢が溜まっている状況をきれいに掃除しようと。ただ、薬の治療をちゃんとして、血圧も放りっぱなし、 糖尿病放りっぱなしにして手術だけしていいことはないですけど、狭くなったところをきれいにお掃除する手術があるよってことですね。 これは超音波で血管が細くなっているところを見た写真ですね。そしてこれは実際の手術の写真ですね。
山根:
スライド・「手術写真」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「手術写真」
(クリックすると拡大表示します)
 生々しいスライドで申し訳ないんですけども、首の血管ですね、血管の悪いところを開いてみると、こんなにですね、血管が狭くなっています。 血管の壁が厚くなるわけなんですけども、そこのところが凹んで穴が開いてある状況になって、厚くなったところの内容がですね、 出てしまって脳の血管に行ってしまったあとなんですね。この方は脳梗塞を起こした方なんですね、 このまま放っておきますとまた脳梗塞を起こす危険があるということで、私たちのところでは外科的にこれをきれいにして脳梗塞を予防しようという治療を行っております。
 これは取ったあとですけれども、きれいにしたあと血管を閉じて、血液を流しているところですね。
豊田:
スライド・「取り出した血栓」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「取り出した血栓」
(クリックすると拡大表示します)
 取り出した血栓が右側ですね。血栓というパイプの水垢みたいなものですね。こういったもので細くなってて、それを掃除する手術がありますよということですね。
 次のスライドは実際の血管の撮影で細くなっているところ。これは手術といっても血管内ですね。
大庭:
スライド・「頚動脈ステント留置術」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「頚動脈ステント留置術」
(クリックすると拡大表示します)
 さきほど山根先生のようなカスを手術で取れる方は、カスを取るに越したことはないと私は思っております。 ただ年配の方とか、80歳以上とか、なかなか手術が難しいという方には、今年(2008年)の4月からですね、心臓にやられていたように、 ステントという金属のパイプがあるんですけれども、そういったので直接それを首の中の血管に入れて、内側から、 まあカスはあるけどもそれも含めて広げてしまおうという方法がやっと日本で保険が通るようになってですね、 いま盛んにやっているところです。いまのところ非常に治療成績が良くて、どんなお年寄りの方とか、体の弱い方でも、 局所麻酔で済みますし、治療時間が1時間から1時間半くらいでできるような方法がやっとできるようになりました。
豊田:  これあの、首のところまで管を上げていって狭くなったところ中からジャっと広げちゃうわけですね。
大庭:  そうですね。足の付け根の大腿動脈から・・・
豊田:  足から管を入れてですね・・・。じゃあこっちのほうが楽じゃないですか。手術するより。治療を受ける側からみれば…。
大庭:  時間はかからないんですけれども、これは究極の手段として思っておりますし、いままで散々あれはしちゃいけない、これはしちゃいけない、 食べてはいけないとか、いままで出てたじゃないですか。じゃあ私は助かるのかなと、心配に思ってらっしゃる方けっこうおられるかと思うんですけれども、 大丈夫です。こういった治療法がありますので、安心してください。
 一番、この治療をして印象的に思ったのは、麻痺とか、めまいとか、言葉しゃべんないとか、 そういう症状がある方以外の方にも実は治療をしてまして、かなり細くなってる人なんですけれども、 まあおじいちゃん、おばあちゃんという方が多いんですが、治療後に印象的なのが、いままで世間が暗かったということなんですね。 これした後にですね、ブラインドが開いたようになったと言うんです。
豊田:  明るくなった?
大庭:  明るくなったと言うんです。これ教科書に書いてないんです。皆さんウソのように、この人新商法のマルチやってるんじゃないかと思うようなんですけれども、 そうじゃなくて本当に言われるんですよね。もしくは朝起きたときから夕方に暮らしているようだったと。 なのにこの治療したら先生、明るいんですよって言われるんですよね。
豊田:  血の巡りが悪かったためにということなんですね。
大庭:  そうなんです。それともうひとつ。治療する前はベッドから起きるのが億劫で、まあ散歩してくださいと言われてても、ちょっとぉという人がですね、 いきなり先生、病院の周りを3周しましたって言うようになると。信じて頂ければ助かるんですけれども。
豊田:  むにゅっと広げたときにカスが飛んでいくとか、そういうことはないんですか?
大庭:  それもご心配なく。カスが飛べば脳梗塞になるんですけども、カスが飛ばないように茶漉し器みたいなですね、 フィルターを頭の中、奥のほうに入れまして、操作中にもカスをキャッチしてですね、安全にできるようになったのでこのたび保険適用になったということです。 医療行為ですので100%安全ではないんですが、いまのところ当院ではすでに50人以上やってますけども、とくに問題は起こっておりません。
豊田:  医療が進歩してきたということですね。さっきの手術と含めてそれぞれ適応を考えながらうまく組み合わせて・・・
大庭:  そうです。最終的な手段としてこんなのもありますから、皆さん安心してくださいということです。
豊田:  いろいろ世の中進歩してきております。じゃあ、血管が狭い人はそれでいいんですけれども、 詰まっちゃった人いますね。血管が詰まってしまって、それでもさっきいった頭に血液が足りないですから脳が活性してないと、そういう方にはこういう治療は・・・
山根:
スライド・「バイパス手術」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「バイパス手術」
(クリックすると拡大表示します)
 心臓の血管が詰まったときにバイパス手術というのがあるんですけども、脳のほうもバイパス手術というのがあります。 さきほどの血管は狭かったわけですけども、詰まってしまう患者さんがいらっしゃるわけですね。 そのために脳の血液が不足するという状況が起こってくる場合があります。そうしますと元気がないとか、麻痺も起こったりします。 脳にいく血液の流れを、補充するために右のほうのスライドにはですね、血管が1本脳のほうに手術でつなげているんですね。
スライド・「バイパス手術の術中写真」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「バイパス手術の術中写真」
(クリックすると拡大表示します)
 これは実際の手術の写真なんですけども、脳の表面の血管に頭の皮膚の血管を持ってきて、つないでですね、 頭の皮膚の血管から脳のほうに直接血液を送って脳の血液を補充しようという手術です。 これも実際に適応になる患者さんはそんなに多くないと思います。詰まってもうダメっていうわけではなくてですね、 詰まってもなんら変わらない平気っていう方もいらっしゃいますので、そういう方はたまたました検査で「あなた詰まってますよ」といってびっくりされるわけですけれども、 それでも全然問題ない方っていらっしゃいます。話が長くなりますので割愛しますけども、手術される方というのは適応にのっとって行っているということです。
豊田:  もともと頭の外の皮膚に行っている血管を頭の中へつないじゃおうってことですね。 皆さんこっから呉に出るのに休山トンネルがズバッと詰まってしまうと行けないじゃないですか。 呉越えを通して回して行こうと、別の道を作って行こうというのがこの手術ですね。
 最初にでてきましたくも膜下出血の動脈瘤というコブの話がありました。一部に遺伝の可能性がありますから気をつけましょうとありました。 それについての治療ですね。これはやっぱり裂ける前に治療しなければならない。これが実際の動脈瘤ですか。
山根:
スライド・「脳動脈瘤クリッピング術」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「脳動脈瘤クリッピング術」
(クリックすると拡大表示します)
 この手術はですね。破れる前に手術をしています。くも膜下出血を起こした動脈瘤もそうなんですけれども、いまは2通りの治療があります。 ひとつは外科的にこういった金属のクリップでコブの入り口を潰すという外から動脈瘤を潰して将来やぶれるのを防ぐ方法と、 あるいは、横にいらっしゃいます大庭先生がよくやられている血管の中からコブを潰して将来破れるのを防ごうという方法があります。 これも外科的な治療がいいのか、血管内治療がいいのか、いまの学会なんかでも議論が起こっているわけですけれども、 それぞれですね外科的治療がいい、血管内治療がいいってことがあります。要はですね、呉市なんかでも脳ドックで見つかることがあるんですね。 そういう時に身内の方、あるいはご自身がですね、私たちのところ、あるいは医療センターにいって、ご相談されることをお勧めします。
豊田:  スライドの左上のやつが、最初に出た、血管が薄々になってるいくらの玉ですね。赤く透けて。 いまにもプチッと裂けそうな、それをこういう洗濯バサミみたいなもんで挟んで、頭の骨を開けて手術する方法と、 あと中のほうから・・・、これ大庭先生、ちょっと説明していただけますか。
大庭:
スライド・「脳動脈瘤コイル塞栓術」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「脳動脈瘤コイル塞栓術」
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 右のスライドの真ん中の下にある、丸の中に細い管が入ってるんですけども、これがマイクロカテーテルというものなんですね。 足の付け根から頭の中のところまでニョロニョロニョロと入っていくんですね。これは僕が医者になりたての頃はなかったんです。 これが約10年前から可能になったんですね。その右側を見ていただきたいんですけども、動脈瘤の中がちょっと白くなってますね。 それがプラチナ製のコイルになってます。プラチナは体内に入れておいても錆びたりしません。 あれが中から動脈瘤をパッキングする治療になります。この方法を取ると、局所麻酔でしますから、これもまたお年寄りなんかにもきわめて有効で、 どんな体の弱い方でも治療ができるということと、時間があまりかからないということがメリットです。 ただ、(新しくはじまったばかりの治療法なので)長期フォローができていないのですが、とりあえずは助かります。 なんとしても命を助けてあげるのが我々の使命だと思っておりますので、これで助けるんですけれども、 これが脳神経外科の歴史の中で一番画期的な治療法に発展するのではと私は思っております。
豊田:  この管ってどれぐらいの太さなんです?
大庭:  先端が1ミリ(mm)ないです。0.6ミリ(mm)です。
豊田:  シャープペンシルの芯ですね。
大庭:  あのコイルが0.3ミリ(mm)とか、0.4ミリ(mm)です。1本です。保険は通っているんですが、お値段言いましょうか。1本15万円します。
豊田:  それが何本入るんですか?
大庭:  通常で5、6本入りますから、5本だとすると75万円のプラチナの塊を頭に入れることになります。
豊田:  婚約指輪の代わりにはなりませんよね。
大庭:  ちょっとお高いですが、これは命に代えないものですね。ですから安心していただければいいと思います。
豊田:  手術の方法と、新しく出てきてて、どっちがいいともまだ何ともいえない部分もあったり・・・
大庭:  まぁ、一長一短、どちらもありますし、ちなみに当院では6割がたの方がこの治療で、 4割の方はやっぱり切らなくちゃいけないという方です。何が何でもできるというわけではないですね。
豊田:  素朴な疑問ですが、このコイルを詰めている間にプチッと裂けることはないんですか。
大庭:  当然、それも無きにしも有らずなんですが・・・、だから、いよいよくも膜下出血になってから治療するよりはそうならないうちの治療が私はいいと思うんです。 なかなかこの治療するかどうかは難しい問題があると思うんですけれども、経験上、途中で少し血が漏れても、 まず助からなかった人はいません。軽い頭痛で済んでます。
豊田:  こういった新しい方法も出てきていますので、皆さんも話をよく聞いて、主治医とよく相談して、こういうことは普段聞いておかないとね、 いざ病院で「どうしますか」「今すぐ決めろ」と言われてもなかなか考えられませんから、皆さんも今日帰られたらですね、 もし自分が脳卒中になったら、脳卒中だけではなくてでもですよ、救急車呼ばにゃいけんときどうしようとか、癌になったらどうしようとか、 普段からちょっとずつ家族で話し合ってて欲しいんですね。そうしないといざ病院に行ったときに判断はつかないし、やれ承諾書は書きなさい、 同意書を書きなさいといわれても何の判断もできませんので、ぜひぜひ、これをきっかけにお家で話し合いをして欲しいと思います。
 時間が延びてまいりましたので、そろそろこの辺でエンディングに入りたいと思いますが、パネリストのほうから、 これだけは気をつけたほうがいいよと、これだけは言っておきたいというのがありましたらおひとりずつお願いしたいと思います。どうでしょう。 じゃあアイドル席から。
中東:
スライド・「脳卒中予防のためのライフスタイル改善」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「脳卒中予防のためのライフスタイル改善」
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 いま脳卒中の治療をお話いろいろ聞いてたんですが、まずならないことが一番ですよね。一番大切なのは高血圧を予防するということなので、 皆様の毎日の生活、これを気をつけないと、やはり脳卒中とか、心筋梗塞とか、そういった病気につながるんじゃないかと思いますので、 ぜひ、高血圧予防をしていただきたいと思います。そのためには、皆さんもご存知だとは思いますが、塩分を控えることですよね。 歳をとりますとね、だんだん味覚が鈍くなるんです。だから若い人と生活してる方は、若い人が味を付けたものが物足らないとか言われることもあると思います。 また、今、外食産業とがとても多くなってますので、外食や中食(なかしょく)っていうんですが、惣菜を買って帰ったものにも塩分結構入ってます。 ですから、まず、薄味に慣れるようにご自分で調節することですね。それにはダシをきかせる。かつおと昆布で取るとか、いりこで取るとかで、 要は風味を生かしていただく、香辛料を使う、そういうことで塩分を減らす方法を試みてください。 たとえば焼き魚・・・さっき魚に塩をする話が出ましたが、レモンを絞ってかけて食べる、ゆずやかぼすもありますね。 そういう酸味を使ういうのもやってみてください。それから材料を新鮮なものを使っていただいたら、結構薄味でも食べられます。 そういったところを気をつけていただきたいと思います。それと、血圧が上がるのはナトリウムが関係しています。 ナトリウムを減らすためにはカリウムを摂ることが必要なんですね。カリウムはどういったものに入っているかというと、 野菜や果物に多く入っています。果物は摂り過ぎると糖分の摂り過ぎになりますけど、 お野菜はしっかり摂っていただいたほうがいいと思います。とくに最近は野菜を摂る量が非常に少なくなっています。 野菜を摂ることによって、肥満防止につながってきます。肥満防止は血圧を上げない要素になりますので、ぜひそういったところも気をつけていただきたいと思います。 それから、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えるということなんですが、コレステロールというのは、卵やレバー、 そういったものに多く含まれているのは皆さんよくご存知だとは思います。飽和脂肪酸というのは、肉の脂に多く含まれています。最近よく魚を摂りましょうって言われてます。 魚の中には不飽和脂肪酸が多く含まれてますね。とくに青魚に多く含まれてます。でも脂肪が多い分だけカロリーは高いので摂る量はちょっと控えてください。 それとですね、最近ちょっと言われているのがですね、トランス脂肪酸というのを皆さんご存知ですか? マーガリンに使われている油なんです。 またパンに含まれるショートニング、これもトランス型の脂肪酸になりますので、できるだけマーガリンとかいうのは使わないほうがいいかなとは思います。
豊田:  マーガリンはダメですか?
中東:  はい。
豊田:  昔、バターはやめてマーガリンにしましょうって言われたんですけどね。
中東:
(写真)中東教江さん:クリックすると紹介ウィンドウが開きます
パネリスト:中東教江さん
済生会広島病院管理栄養士
ヘルシーグルメランチ
 そうですね、確かにバターは動物性の脂肪になるのでコレステロールにはなるんですが、量を控えていただければ動物性が絶対悪いわけではないので、 そこらを控えていただく。とくにトランス脂肪酸は酸化されやすい脂なんです。なので、心筋梗塞になるとか言われてます。 で、ヨーロッパとかアメリカではつい今年ですか、全面的に使用を禁止するとかニュースも出てましたので、 できたらそういったものも控えていただきたいと思います。それから、アルコールは適量に…、 要は飲み過ぎてはいけない。休肝日を作りましょう。週に2回は休肝日を作りましょうということなんですが、 やはり飲み過ぎないようにすること。量的にはビールですと、おまけして中ビン1本ぐらい。日本酒でしたら1合弱ぐらい。
豊田:  大槻先生聞いてますか、ちゃんと?
− 大槻先生うなづく −
中東:
スライド・「食事バランスガイド」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「食事バランスガイド」
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 ワインもブームですよね、ポリフェノール、抗酸化作用があるということで、ワインを飲まれる方いらっしゃると思いますが、グラスで2杯ぐらいですかね。 その程度にしておいてください。それからさきほど言いましたように肥満を予防するということ。 いまメタボと言われてますけど、腹回りが男性で85センチ(cm)以上、女性で90センチ(cm)以上ということになってますので、 ぜひ気をつけてください。それと運動ですね、これも生活習慣を変えるというか、運動することによって、血液の循環もよくなりますし、 有酸素運動ということもありますので、ぜひやってみてください。 それからタバコ。一番気をつけていただきたいのはタバコじゃないかと思いますね。すべての病気のリスクを高くするということなので、 禁煙に心掛けていただきたいと思います。それと食べる栄養のバランス、比率なんですけれどもね、私たち肥満を防止するためにごはんを減らしているんですね。 その代わり肉や魚の量が多くなってきてます。食事バランスガイド、これはスーパーに行っても見るのではないかと思うんですけれども、 何を一番たくさん食べなきゃいけないかと言ったら、主食になる糖質ですね、これはエネルギーの50から60パーセント(%)は必要なので、 ごはんはちゃんと食べるようにしてください。よく噛んで食べるようにしてください。 食物繊維を入れるには玄米や五穀米とか、十穀米とか、いろいろ雑穀の入ったお米も売ってますので、 そんなのを入れるとよいです。もしパンを食べるようだったら全粒粉パンやライ麦パンとか、そういう繊維の入ったパンを摂っていただくほうがいいかと思います。 それと副菜で入ってるのが野菜です。野菜は今も言ったように肥満防止にもなりますし、満腹感を出してくれますし、 腸の掃除もしてくれます。いろんないい意味で仕事をしてくれるのが野菜です。野菜の中にはですね、抗酸化作用のあるビタミンCやカロチンが野菜で取れますのでしっかり摂っていただきたいと思います。 その次に主菜になる魚とか肉とかいうのがきますのであまり摂り過ぎないように、ここは注意していただきたいと思います。 それから果物、果物もビタミンCを摂るためにも必要です。ですから摂り過ぎないように毎日摂っていただいたらいいと思います。 量的にはみかんだったら中くらいのが2個とか、りんごだったら半分とかね、そのくらいの量でいいです。 バナナは中くらいのが1本です。いくらテレビでバナナダイエットが流行ったとしても基本的には1本ですね。 バランスのとれた食事の上ではですね。ダイエットしようと思う人は私は分かりませんけど、それくらいの量でいいと思います。 それから乳製品、歳をとると骨がもろくなるとか言われてます。牛乳はカルシウムをたくさん含んでますし、 吸収もいいので1日に1合ぐらいで結構ですので摂っていただいて、まず生活習慣を変えていただいて、 高血圧を防ぐ、そして脳卒中の予防をしていただいたらいいかと思います。
豊田:  要は、もともとの日本の食事をしておけばいいってことですよね。ごはんと味噌汁とね、それを大事にしたほうがいいんでしょう。 バナナは欲しくてもいま買えませんので、おそらく売れ切れてますのでね。それから、いまのようなお話の中で、呉でもやってるヘルシーグルメランチとかですね、 そんな企画をやっています。塩分のコントロールをしたり、ぜひ、皆さん外食するときはカロリーの計算してあるメニューのあるところに行って、 こういう味付けをプロはするんだと、そういったことを学んで帰っていただければいいのかなあと思います。
中東:  そうです。これは呉市発信のヘルシーグルメランチというのが、今年から始まってます。市内に出ましたら、そういった店が何軒かありますので、 ぜひ減塩食、1食がですね2グラム(g)から3グラム(g)ぐらいまでの、カロリーが600カロリー(cal)ぐらいで抑えてありますので糖尿病であるとか、 血圧の高い人はぜひ行って食べてみてください。詳しいことは「くれえばん(呉市のローカル情報誌)」に出てますので、 また見ていただいたらよろしいかと思います。豊田先生も委員になっておられますので・・・。
豊田:  はい、奥様方ぜひ行っていただいてですね、どうせどっかのランチでおしゃべりをするのでしたら、健康メニューを学んでいただきたいと思います。 さぁ、だいぶ時間が押してまいりました。他に、これだけはっというのがございますか?  なかったらですね、最後の最後に皆さんと、ご唱和を願って覚えて帰って欲しい、予防の十か条、最後にご唱和いただいて終わりにしたいと思います。 では、ご唱和隊も入場してください。
松井:  学生の4年生の方いらっしゃいますか?
− 学生たちは出番が終わって、ホール客席の後ろで講演を聞いていた −
豊田:  そっからで結構でございます。大っきな声を出してください。
松井:  一番最初から行きましょう。「予防にはタバコを止める意志を持て」
会場:「予防にはタバコを止める意志を持て」
スライド・「脳卒中予防十か条」(クリックすると拡大表示します)
スライド・「脳卒中予防十か条」
(クリックすると拡大表示します)
 「不整脈見つかり次第すぐ受診」
会場:「不整脈見つかり次第すぐ受診」
 「高すぎるコレステロールも見逃すな」
会場:「高すぎるコレステロールも見逃すな」
 「糖尿病放っておいたら悔い残る」
会場:「糖尿病放っておいたら悔い残る」
 「手始めに高血圧から治しましょう」
会場:「手始めに高血圧から治しましょう」
 「アルコール控えめは薬過ぎれば毒」
会場:「アルコール控えめは薬過ぎれば毒」
 「お食事の塩分・脂肪控えめに」
会場:「お食事の塩分・脂肪控えめに」
 「体力に合った運動続けよう」
会場:「体力に合った運動続けよう」
 「万病の引き金になる太りすぎ」
会場:「万病の引き金になる太りすぎ」
 「脳卒中起きたらすぐに病院へ」
会場:「脳卒中起きたらすぐに病院へ」
豊田:  どうも、今日は長い間ありがとうございました。なかなか私が引っ張ってしまって長くなってしまいましたけど、ゲストの皆さんにもう一度大きな拍手をお願いいたします。 それから今日の会はですね、この会場、後ろを見ていただきますとブルーのポロシャツを着たスタッフがおります。 中国労災病院のスタッフと実習にきている学生さん、ボランティアでやってくれています。ひとつ大きな拍手をお願いします。 それじゃあ皆さん長時間お疲れ様でございました。ぜひお忘れ物のないように足元にお気をつけてお帰りください。 どうもありがとうございました。
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