【講演4】 地域包括ケアシステムとは |
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芳谷伸二 さん 広島県地域包括ケア推進センター 次長* どうも、ありがとうございます。いまご紹介いただきました、広島県地域包括ケア推進センターの芳谷です。今日は「地域包括ケア」についてご紹介します。 今日も何度かこの言葉が出ましたが、「地域包括ケアとはこういうことか」ということを理解いただければと思います。 また併せて地域包括ケアを作っていくために大切な「地域リハビリテーションの力」についても、お配りしていますパンフレットを見ながらご紹介したいと思います。
特別養護老人ホームの入所も、介護が必要になって在宅での生活が難しくなったときに利用できるように、対象の範囲も要介護3以上の人となります。 また介護保険のサービスの自己負担額も、ある一定以上の所得のある人は1割負担から2割負担にすることも予定されています。
そして、地域包括ケアシステムとして「住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために」ということを目標に、中学校区をひとつの単位として、 医療と介護の専門職が協力しながら働ける環境づくり、地域住民や地域のお店や企業が助け合える環境づくり、 そしてみんなが健康に過ごせる仕組みを地域包括支援センターと市町が中心になって、みんなで協力しながら作っていく取り組みが進められています。
その町の強さを生かし、最後の最後まで自分たちの町でなんとか生活できる、そういう仕組みを作っていこうという取組みが、県内いろいろなところで始まっています。 「住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために」は、そのような地域包括ケアシステムを作り、ここだったら安心だと思える仕組みがあることが大切ですが、 それと併せて自分自身も「自分の力」を発揮することが大切です。
一つは自分の将来のことを考えておく、そしてそれを誰かに伝えておくことです。 自分が病気になって最期を迎える時、どこでどのように迎えたいかを考えておき、誰かに伝えておくことはとても大切です。) 自分らしい最期を迎えたいと思っていたけど、最後の最後で自分の気持ちを伝えられなかったということがあります。 自分はこれからをどう生きて、どういう最期を迎えたいかということをご家族や子供さんたちと話をしておくことは大切なことです。 誰かに伝えておくということでは、ある地域では一人暮らしの人が救急車を呼ばないといけないようなことがあっても、 自分のことを正しくわかってもらえるように、緊急時に必要な情報をペットボトルに入れて冷蔵庫に入れておく取り組みが行われています。 1年に2人〜3人はこのペットボトルのおかげで早く病院に繋がっているそうです。 また、認知症になり、自分の思いをうまく伝えられないために、周りから誤解されてしまうこともよくあります。 自分の思いをうまく伝えられなくても自分のことをわかってもらうことは大切です。自分のプロフィールや好きなこと、嫌いなことなどをまとめておいて、 いざというときに介護してくれる人に手渡すことができれば、自分の求める介護が受けられます。 ですから今から少しずつ将来のことを考える時間を持ち、必要なことは誰かに伝えておきましょう。 二つめは相談できる人を持つということです。 今日はじめに話がありました地域包括支援センターは、どこに相談したらよいかわからない時に、まず相談してほしいところです。 これからどうしたらよいかわからない時にすごく力になります。 医療の面ではかかりつけ医を持つことも大切です。自分の病気とうまく付き合っていくためにも、自分の病気のことをよく知ってくれている、 病気に関して気軽に相談できるかかりつけ医を持っておくことは大切です。
四つめは、終の棲家を意識した住まいを考えておくことと、ある程度の経済的な貯えも大切です。 できれば自分の寿命のギリギリまで健康でありたいですよね。そのために健康寿命を伸ばすことは大切です。
ですからこけないための体操をしたり、しっかり栄養を取ることなどは大切です。そしてそれと併せてこけない環境づくりも大切です。 家の中にはこけそうなところがたくさんあります。これからの季節はこたつを使う季節になりますが、 めくれた敷布団やこたつのコードなどでも足がひっかかってしまいます。 こけない生活をするというのも、健康寿命を伸ばすために大切だという事を知っておいてください。
いろいろと予防をしても脳卒中になるかも知れません。転んで大腿骨頚部骨折がおきるかもしれません。病気やけがをして多少動きにくくなっても、 自分らしく元気で生活できます。 よく脳卒中になって麻痺してしまったら何も出来ない。自分で動けないので、介護が必要になると思われているようですが、 脳卒中になっても自分らしく元気で生活されてる人はたくさんおられます。
閉じこもった生活がよくないということは、みなさんはよくご存知だと思いますが、閉じこもった生活がどんなに怖いかについては、あまりご存じないと思います。 以前、ある都市で閉じこもりの実態調査が行われたのですが、そこで分かったことは、 半年間あまり家から外へ出ない生活をしていると階段で2階に上がることが難しくなる。それくらいの体力低下がおきる。 それからもう半年家から外へ出ない生活をしていると、お風呂に入るときの浴槽のまたぎ越しや、玄関の上がりがまちを降りることなどが難しくなります。 そのような変化は家から外へ出ない生活を続けているとおきます。ですから「閉じこもらない生活」が、自分らしい生活を保つために大切なことで、 体力を維持するためには、1週間に3日以上は外に出る必要があるといわれています。 それともうひとつ、けがや病気をして体が動きにくくなっても、生活の中に目標があることは大切です。
今日ここでご紹介するこの車椅子(製品名:プロファンド)ですが、これは自転車のペダルのようなものを踏んで車いすを動かします。 片足でもペダルを動かせます。自転車のような感覚で進み、方向は手元のレバーでコントロールします。 自転車ほどではないですが、ヒューッと漕げますので、すごく快適で気持ちよく動けます。 こういう車いすを使い自分の趣味として車いすでサイクリングを行い、1年後に平和マラソンに出るということはすごくいいリハビリにもなるんじゃないかと思います。 そのように何かのイベントに参加する、何かの大会に出る、旅行に行くということはとてもよいリハビリの目標になります。
まず今歩いている人はできれば歩き続けましょう。当たり前のことですが、ついついいろいろな場面で車椅子の誘いがきます。 「大変そうだからどうですか」「車椅子に乗りませんか」「デイサービスの玄関から送りましょうか」「トイレに行くのに車椅子に乗ったらどうですか」 など車椅子の誘いが来ます。せっかく言われるからとどっしりと座ると、どんどん動けなくなります。ですから歩ける人はぜひ歩き続けましょう。 歩くのは難しいという人で立てる人は立ち続けましょう。面倒だとか、しんどいと思わずに、1回でも多く立ちましょう。 ある人は、ごはんをとぐことを自分の仕事として毎日実践されています。長く立っておれないので、何度も立ち上がる。 それがその人の足の力を強くしてくれて元気を回復されました。立つ力は多くの人が保つことができます。1回でも多く、面倒がらずに立ちましょう。
地域包括ケアというと、行政がやるものとか、専門職がやるものとかと思ってしまいますが、これからは地域総ぐるみで進めていかないとできません。 私たちの町が住みやすい町になるよう、私たちができる、まずは今日ご紹介したことを一緒に取り組みながら、進めていきたいと思いますので、一緒に参加していただければと思います。 どうぞよろしくお願いします。 どうもありがとうございました。(拍手)
(*講演当時のものです)
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