【講演3】 嚥下障害に対するリハビリテーション・対処法 |
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木村 徹 さん 中国労災病院中央リハビリテーション部 言語聴覚療法士* 労災病院の中央リハビリテーション部、言語聴覚士の木村といいます。カープのほうは神ってるんですけど、 僕の舌はカミカミなので、ちょっとお聞き苦しい点があるかも知れませんけれどよろしくお願い致します。(拍手) 一応、嚥下障害に対するリハビリテーション・対処法という題でお話させて頂きます。 今日、お話することは。嚥下障害と栄養不足。横江先生とお話がかぶるところがあるかも知れませんけれどよろしくお願いします。 で、嚥下リハビリテーションの進め方。治療的アプローチと代償的アプローチということについてお話します。
それは、食べ物が飲み込めなくなると、食べる量が減ります。そうすると必要なエネルギーを十分とることができなくなるため体力が低下します。 いわゆる不健康な状態になります。そして簡単に肺炎になったり、床ずれをおこしやすくなったりして、起き上がるのが大変になり寝たきりという状態に陥りやすくなります。 寝たきりになると、寝てばかりいてはおなかもすきませんし、寝ながら食べるのは大変なので、ますます食べ物が飲み込みにくくなります。 そしてまた食べる量がさらに減る、という悪循環になり、とても体が弱ってしまうのです。
ひどくやせていないか? 目が覚めているかどうか? 声は出るか? 痰はたくさんでているか? 口の衛生状態は? 口が異常に乾燥していないか? のど仏が下がっていないか? 呼吸の状態は? 首の筋肉の状態は? 首は動くか? 猫背か? このようなサインは栄養不足や病気の前触れかもしれません。気をつけてください。
これは、人間の体を縦に半分に切って横から見た図です。ここが鼻、ここが唇、舌、そしてここが気管、後ろ側が食道です。 このオレンジ色の塊は食べ物です。咀嚼して、ごくんと飲み込みます。正常な嚥下をするために必要な条件としては、口唇が閉じられる。 咀嚼してひと塊にした食物を送り込むために舌の蠕動運動ができる。 嚥下反射により… 軟口蓋があがって、鼻への道をふさぎます。 喉仏にあたる喉頭が前上方に持ち上がります。この時喉頭蓋という部分が後ろに倒れて、気管の入り口をふさぎます。食道が開いて、食物が通過します。 安全面を考えると… 咳ができるなどが挙げられます。そこでその条件を満たしていくためのリハビリについて順を追って紹介していきます。
『タ』 = 『タ』を発音するときは、舌を上あごにグッと押し当てます。食べ物を噛むときや飲みこむときには、舌は上あごにしっかりついていなくてはいけません。『タ』の発音はそれらの動作に必要な筋力を高めます。 『カ』 = 『カ』の発音は、のどの奥に力を入れてのどを閉めます。食べ物を食道へ運ぶためには、一瞬息をとめて気管を閉じる必要があります。『カ』を発音するときのように、スムーズにのどの奥に力が入るように鍛えます。 『ラ』 = 『ラ』を発音するときは、舌先を反り返らせ前歯の裏につけます。舌を反り返らす動きは、舌の動きをスムーズにする効果があります。
シャキア訓練:仰向けに寝て、両肩を床につけたまま、つま先を見るようにして頭を上げます。 おでこ体操:手を額に当て、手と頭で押し合うように手と頭に力を入れます。 どちらも、首・のどに相当な力が入り負荷が大きいので、訓練によって血圧が上昇すること、首に負担がかかることを留意して適用する必要があります。
人間工学:人間が可能な限り自然な動きや状態で使えるように物や環境を設計し、実際のデザインに活かす学問である。 また、人々が正しく効率的に動けるように周囲の人的・物的環境を整えて、事故・ミスを可能な限り少なくするための研究を含む。
立って食事介助を行うと下の写真のように介助者の手の位置が高くなることで、 患者の目線も高くなり、頸部が後屈します(図1)頸部が後屈することで自然と誤嚥(気管に食べ物は入る)を起こしやすい姿勢となります。 介助者が椅子に座って介助を行うと下の写真のように自然と患者さんと同じ目の高さとなり、頸部は後屈せず、前屈します(図2) その体位は食事摂取時の誤嚥を予防することにつながるため、介助者の姿勢が重要になります。
あと、口腔内に食べ物がある時には話しかけないようにし、飲み込むことに集中してもらいましょう。
(*講演当時のものです)
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