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診療科からのご案内【循環器内科】
2022.03.29
(中国労災病院 地域連携ニュース№173号(2021.12月号)より抜粋)
中国労災病院循環器内科部長の松田圭司と申します。私事ですが令和3年4月より循環器内科部長に就任させていただきました。新たに土谷総合病院より渡が当院第二循環器内科部長として就任し、橋本、塩田、大江を合わせた5人のスタッフが新たな気持ちで診療にあたっております。
虚血性心疾患、心不全、肺塞栓症、高血圧、不整脈、弁膜症、心筋症、心筋炎、閉塞性動脈硬化症等、今まで通りの循環器内科診療を行っているのと同時に、令和3年4月より当院で可能な治療を随時拡大しております。
令和3年4月からの変更点を報告させていただきますが、より幅広い患者様を診療させていただければと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
CVIT認定施設認定
日本心臓カテーテル治療学会(CVIT)施設に令和3年9月から認定されました。より積極的かつ安全な治療を心掛けるとともに、スタッフの教育、スキルアップにも生かしたいと考えております。
ロータブレーター再開
ロータブレーターは、14~18万回転で高速回転するダイヤモンドチップが植え込まれたBurrで、石灰化の強い冠動脈の石灰化部分のみ切削する治療です。硬くて通常のカテーテル治療では拡張困難な冠動脈を拡張しやすくする治療になります。
当院でも数年前まで施行しておりましたが一時中断、CVIT専門医の渡就任とCVIT施設認定後にロータブレーター施設も認定され11月より2例に施行しました。石灰化の強い症例でしたがロータブレーター施行後安全に冠動脈ステント挿入を行うことができました。今後も適応症例に関しては積極的に使用し、より安全な治療を心掛けたいと考えております。
リードレスペースメーカー挿入開始
当院では通常の永久的ペースメーカーは心臓血管外科で挿入しておりますが対象患者様がより高齢となり適応になりにくい場合も増えてきました。その為、循環器内科にてリードレスペースメーカーが挿入できる体制としました。
リードレスペースメーカーは大腿静脈よりカテーテルで右室内にペースメーカーを植え込む治療になります。早期の合併症報告はありますが長期的にみると通常のペースメーカーと比較し合併症を半分に抑えると報告されています。また入院期間もより短期で可能な治療になります。スタッフ5名中4名がリードレスペースメーカー挿入の講習を修了しており、令和3年9月より4例に挿入しましたがいずれも合併症なく植え込みに成功しました。
下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する積極的カテーテル治療
当院ではASOのカテーテル治療は放射線科で行っておりましたが、本年4月より循環器内科で開始、今後もより積極的にカテーテル治療を行っていこうと考えています。
下肢動脈用の薬剤溶出性ステントや薬剤溶出性バルーンを使用し、慢性的に閉塞した下肢動脈に対してもカテーテル治療を行い、より下肢を保存するような治療を心掛けております。間欠性跛行を認めるような症例に関してはぜひ循環器内科紹介をよろしくお願いいたします。
ECMOの積極的活用
当院では2台のECMO稼働が可能ですが、4月より院内心停止に対し2例、院外心停止に対して1例V-A ECMOを導入、3例ともECMOからの離脱が可能となり、無事退院されております。
令和3年10月より65歳以下の院外心停止患者に対しては除外基準がなければ全例ECMO導入することを院内規定として設定、より積極的にECMOを使用することを考えています。
循環器内科院内PHS稼働
令和3年4月より循環器内科院内PHSを土日祝日も合わせ循環器内科医が交代で持つこととしました。一年を通し院内PHSで循環器内科が駆けつけることが可能となったため、より迅速な治療が可能となりました。
その他
冠動脈慢性閉塞病変に関しては血管内超音波やレトログレードアプローチを用い積極的に治療介入することとしております。
また冠動脈小血管や、バルーン拡張のみで結果が良い症例に関しては薬剤溶出性バルーンを用いステントレスで終えることのできる症例も増やそうと考えています。
今後もより積極的にかつ安全を心掛けて幅広い循環器疾患を診療したいと考えております。よろしくお願いいたします。