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【コラム】脳卒中の患者さんに対して、自動車運転再開支援を行っています!~中央リハビリテーション部~
2022.06.09
1960年に施行された道路交通法は、病名などによる欠格事項が明確化され、特定の疾患に対して免許を与えないとしました。1999年には障害者に係る欠格事項の見直しがされ、2002年に道路交通法が改正されましたが、その後疾患や障害を隠して運転したことにより事故を引き起こした事例が相次いだことで、2014年に新たに道路交通法が改正されました。この改正により、免許の取得および更新時に運転に支障のある病気に関する質問票の提出が義務付けられ、また都道府県公安委員会での安全運転相談を受けることが、必要になったため、免許更新時には医師の診断書が必要となり自動車運転に対する医療従事者が関わる機会が増えていきました。
当院ではこれまでも自動車運転再開支援として、身体機能や高次脳機能評価、ドライビングシミュレータ評価等の支援・介入を行っていました。しかし、明確な支援方法や基準が定められておらず、担当の療法士が各々で支援方針を決定していていたため、介入に難渋するケースが多々ありました。そこで、自動車の運転再開支援マニュアルや患者さんへ説明するためのパンフレットの作成、自動車学校との連携等を図り、脳卒中の患者さんに関する自動車運転再開のための取り組みを改善しました。
さて、先に挙げたドライビングシミュレータの利点としては、実際に交通環境をリアルに再現できます。自動車の運転にはどんどん変化していく状況や情報を認識し、瞬時に判断・処理することが要求されますが、その判断・処理に高次脳機能が必要になります。そこでドライビングシミュレータを用いて評価することで、短時間にこれらの能力の可否を判断できます。また自身の運転能力の把握もできることが利点として挙げられます。介入している患者さんのほとんどが、「自分はこんな検査をしても問題はない」「問題はないはずだ」と思っている方が大半です。そのような方にドライビングシミュレータを行ってもらうと、思いがけない結果を目の当たりにして、反省し訓練に取り組む事にもつながります。主治医や療法士、家族から免許を返納することを勧められても納得できなかった方が、ドライビングシミュレータの結果から返納を決意する方もおられます。
ドラビングシミュレータの結果がすべてとは言えませんが、自動車運転再開の是非を考える上では有用な機器です。今後も引き続き脳卒中の患者さんに対して、自動車運転再開支援を継続していきます。
現在、当院で入院された脳卒中の患者さんを対象に自動車運転再開支援を行っています。もし、この支援が必要な場合は、かかりつけ医の先生から患者サポートセンターにお電話でご相談ください。