2019年12月に中国・武漢市で最初の感染者が報告されて以来、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行しています。この対策として、日本をはじめ世界各国でワクチンの予防接種が導入されていますが、そもそも予防接種やワクチンとはどのようなものでしょうか。

人間は病原菌やウイルスに一度感染すると、再度感染した時のために体の中でその病原体を攻撃する物質（抗体）を作ります。この仕組みを利用して、ワクチンを接種することで病気に対する抵抗力を付けたり、その抵抗力を強くすることを予防接種といいます。

ワクチンには様々な種類があり、それぞれの病原体の性質に合わせて作られています。

生ワクチン

弱らせた病原体そのものから作られています。はしか・風疹のワクチンや、水ぼうそうのワクチンなどがあります。

不活化ワクチン

感染力を失わせた病原体から作られています。日本脳炎やインフルエンザのワクチンなどがあります。

組換えタンパクワクチン

病原体を構成するタンパク質の一部からできています。今回の新型コロナウイルスでは、ウイルスが人間の細胞に着地する「足」の役割をもつタンパク質（スパイクタンパク質）の一部を使ってワクチンが開発されました。

mRNAワクチン・DNAワクチン・ウイルスベクターワクチン

ウイルスが持つタンパク質の設計図となる物質でできています。これを接種すると、体内でウイルスのタンパク質が作られ、そのタンパク質に対する抗体を作ることで病気への免疫を獲得します。

現在、日本では新型コロナウイルスに対するワクチンとしてｍRNAワクチン、ウイルスベクターワクチン、組換えタンパクワクチンが使用されています。安全にワクチン接種を受けるには、持病や使用中のくすりを相談する必要がありますので、まずはかかりつけの医療機関に相談してみましょう。

(薬剤部)